「BLUE SEED ブルーシード(TVアニメ動画)」

総合得点
66.9
感想・評価
71
棚に入れた
528
ランキング
2690
★★★★☆ 3.7 (71)
物語
3.7
作画
3.4
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

現代に日本神話を絡めた異形バトル&ラブコメの傑作。林原めぐみ全盛期♪

「エヴァ」の前年に放送された、2クールの異形バトルアニメ。
「3×3EYES」(サザンアイズ)で当時一世を風靡した高田裕三先生の漫画が原作、林原めぐみさん演じるヒロインが超可愛い♪

現代を舞台に、奇稲田姫(くしなだひめ)、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)等の古事記や日本神話が蘇り、異形の化け物と戦ったり、ラブコメしたり。
90年代(というか80年代後半)的な古いノリ(ベタなラブコメや、パンチラ等)が目立ちますが、ストーリーは非常に良いです。
「守られ系ヒロイン」「守ってくれる強い男」「日本神話」
「異形バトル」「ラブコメ」が好きな方には是非オススメです。

{netabare}『物語』
島根県の出雲(いずも)で暮らす藤宮紅葉(ふじみや・もみじ)は普通の女子高生だと思っていたが、ある日、謎の化け物「荒神」(あらがみ)の「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」に襲われてしまう。
大蛇は紅葉の事を「奇稲田姫(クシナダヒメ)」と呼び、忌み嫌っていた。
大ピンチの紅葉。更に謎の少年「草薙(クサナギ)」も何故か紅葉の命を狙っていた。
しかし成り行きで草薙は紅葉を助けてくれる事に…
…実は紅葉は「奇稲田姫」の末裔であり、「奇稲田姫が死ぬ事で、全ての荒神を滅ぼせる」力を持っていた。
東京から来た荒神対策の国家機関「国土管理室」のメンバーから自らが奇稲田姫だと聞かされた紅葉は、己の呪われた運命に抗うべく、自らも国土管理室に入り、荒神と戦う決意をするのだった…。

…という感じに、日本神話のクシナダヒメ伝説を絡めつつ、現代舞台で物語がスタートします。
開幕、紅葉の姉である楓(かえで)が、国土管理室室長の国木田大哲の前で、意味深な言葉を残して失踪してしまう、ミステリアスな展開。
警察が居たりと現代が舞台なのと、独特の世界観を強く印象付ける開幕です。
現代舞台の日本神話ファンタジーとして、かなり面白くなりそうな予感。

3話以降は東京に舞台を移し、国土管理室の一員となった紅葉が、個性的な隊員と共に、荒神に立ち向かいます。
紅葉は普通の15歳の女の子なのであまり強くないけれど、健気に戦う姿と、紅葉を守ってくれる草薙さんとのラブコメの波動を終始感じさせてくれるのが良い感じ♪
また前半は国土管理室メンバーの個別エピソードにより、各キャラ丁寧に掘り下げているのも良い。
これが後半以降の紅葉と仲間たちの絆に結びつくので、構成が上手いです。

本作のユニークな設定としては、ヒロインの紅葉と、敵の荒神の微妙なパワーバランス。
紅葉は奇稲田姫(くしなだひめ)なので、「紅葉が死ねば、全ての荒神が滅んでしまう」
なので敵も迂闊に紅葉に手を出せないのだが…
奇稲田姫を恐れる荒神たちは「奇稲田姫の能力を封じる特殊セラミック」を使い、紅葉の能力を封じつつ殺そうとしていたのだ!
…この設定が実に巧妙です。
か弱い少女でも中々殺されない展開に説得力ありますし、セラミック使われて適度にピンチになりますし。
というか、日本神話の怪物どもが、セラミックという現代テクノロジー使うのが何か面白いw
神話的な要素と現代科学が融合した活劇、そんな雰囲気が魅力です。

本作の見所は、紅葉ちゃんと草薙さんとの、90年代風なベタなラブコメです。
現在だとちょっと見られないような、ベタで微笑ましい感じは素晴らしい♪
パンチラ上等だったり、この時代ならではのノリは、現代からするとやや違和感あるかも?
心停止した紅葉に草薙が人工呼吸、蘇生した紅葉ちゃんがドキドキするシーンは非常に萌え♪
13話「好きです! 究極! 告白タイム?!」は原作者の高田先生本人が脚本、かなりアレな感じのラブコメで笑えますw
…勿論、真面目にバトルする作風なので、バトルを通して守る男と守られるヒロインの絆が深まる過程も丁寧かつ説得力あり。

個別のバトルやラブコメしつつ、全体のストーリーや謎も進行していく。
荒神の王であるスサノオの復活を目論む謎の男ムラクモの暗躍、スサノオ復活に向けて、徐々に緊迫感と終末感が深まる展開は引き込まれます。
13話辺りで一つのピーク。
ここからしばらくは個別エピソードでテンポは落ちますが、紅葉ちゃんが健気に戦ったり、日本各地の御当地エピソードあったり、中々。

20話で再び故郷の出雲に帰ってからラストまでが急展開で目が離せず。
追い詰められていく国土管理室。
これまで命掛けで守ってくれた草薙さんの危機…
紅葉が「奇稲田姫である自分が死ねば、荒神倒せる。私は死んだ方がいいのかな…?」と悲しむが、管理室の先輩から励まされ、あくまでも奇稲田の運命に抗う決意固める展開は胸打たれます。

終盤の終末観と絶望感は相当なモノ。
スサノオの力で惑星直列!(聖闘士星矢の冥王ハーデスみたい)
このままでは日本は滅亡か!?
総理大臣がアメリカに東京ごと核攻撃を要請するか、どうか!?
…と、日本神話からの、現代日本の存亡を掛けた、非常にスケールのでかい戦いは凄いです。
終盤の奇稲田姫の神秘的な力で命を懸けて日本を救っていく展開は、圧巻かつ感動的でした。

総じて
エヴァ前後、90年代中盤の傑作のひとつです。
ちょっとノリが古い面や、中盤のテンポダウンはありますが、全般的にバトルもラブコメも謎が深まるストーリーも非常に良い。
今なお色褪せていない名作級アニメです。


『作画』
流石に90年代で古さも目立ちますが、当時としては藤宮紅葉ちゃんのキャラデザは非常に可愛かった。
現代でも通用する可愛さ。紅葉ちゃんの絵的な可愛さだけなら、エヴァの綾波より上です。
バトルはあまりバリエーションは無いが、迫力や疾走感は十分。
日本神話が蘇った、幻想的で神秘的な雰囲気を感じさせるシーンも良い。
懐古補正の過大評価かもですが、同時期の作品の中では傑出している(ような気がする)。

『声優』
藤宮紅葉を林原めぐみさんが非常に可愛らしく好演。
高田祐三作品のヒロインは林原めぐみさんが定番ですな。
私的に、女らんまや綾波レイやリナ・インバースよりも断然好きです。
これぞ林原さん全盛期!
喜怒哀楽、時に可愛く、時に勇敢に、時に恋したり、切なくて泣いたり等の感情が凄い。
次回予告やED曲も非常に可愛い♪

草薙さんの井上和彦さんのカッコ良さも申し分が無いです。
ムラクモの中田譲治さんもミステリアスな敵として存在感あり。
室長の大塚明夫さん、松平さんの榊原良子さん、小梅の三石琴乃さん、竹内さんの折笠愛さん、八重樫の上田祐司さん等々、全員はまり役でした。

弥生みつきさんはアニメの出演少ないのですが、本作の楓姉さんは非常に印象的でした。

『音楽』
OP「CARNIVAL・BABEL 〜カルナバル・バベル〜」が非常にインパクトあり。
あんまり主題に沿っているように思えないのは90年代らしい。
でも大好きです。カラオケで歌う候補に入ってます♪
ミステリアス東京~♪~な出だしから、碧(あお)い~碧い時が溶け出した~♪なサビがカッコイイ♪
日本神話っぽく無いのですが、OP映像も合わさり、これから激戦がスタートするぞ!な高揚感がヒシヒシと伝わってくる。
ちなみに、エヴァの碇指令の人が歌ってます。

ED「Touch and Go!!」は紅葉ちゃん(林原めぐみさん)が歌う、ピュアピュアなラブソング。
紅葉ちゃんの草薙さんへの切ない恋心が伝わってくる良曲です。

また、終盤の山場で奇稲田姉妹が儀式で歌う「まつりうた」も幻想的で美しい。
日本神話ファンタジーここに極まれり!

あと、予告編でOP曲のアレンジも良い感じ。
BGMも戦闘時は疾走感と緊迫感あり、危機が深まる時の不吉な予兆など、雰囲気盛り上げてます。

『キャラ』
ヒロインの藤宮紅葉ちゃんがとにかく可愛い。私的に林原めぐみヒロイン最萌です♪
元気さと清楚な奥ゆかしさのバランス、現代的な女の子らしさ、奇稲田姫の辛い宿命に負けない健気さ強さ、心優しさや思いやり。
守られるだけではなく自分で運命切り開ける強く魅力的なヒロインです。
草薙さんへのピュアピュアな恋心はやや古いノリだが、今見ても十分に可愛いです。
…終盤は民衆から「お前死ねば敵も死ぬんだろ?さっさと死ねよ」的な扱い受けて悲しむのが辛い。
さすが、イケニエの姫、クシナダ姫ですなぁ。
そんな悲劇性もポイント高い♪

草薙さんは目が猫目なのと、最初は紅葉を殺そうとするのだが…
なりゆきとはいえ、いつも紅葉を守ってくれるナイト。
普段は紅葉にイジワルしたり、でも少しずつデレてきたり。
戦闘力は強いのだがライバルのムラクモの方が上なので、結構苦戦するのもポイント高い。
苦戦するが(荒神の力が一部ある体質のお陰で)しぶとい事もあり、ボロボロになりつつも、しっかり紅葉ちゃんを守ってくれます。
…この二人の関係最高です♪

紅葉の同僚となる国土管理室のメンバーも個性派揃いで、良き仲間達でした。
国木田大哲はチームの父親ポジ、颯爽とした美人で頼れる姉貴肌な竹内涼子さんもステキ。
竹内さんの室長への恋心も地味に本作の見所でしたw
メンバー随一の脳筋な沢口小梅は戦闘面で大活躍!現代兵器で荒神と互角に渡り合った女傑でした。
紅葉にとっては、引っ張ってくれる良き先輩であった。
松平梓は女科学者として科学力で神話の化け物を圧倒。
この人も頼れるお姉さんでした。子持ちですけど。
八重樫良樹は、何気に室長以外で唯一の男ですが、戦闘より後方支援で活躍。
濃い女性陣相手に苦労人な感じでした。
呪術で戦う山咲桜も中盤参戦、紅葉と共闘良かったけれど、もっと出番欲しかった。

敵の大ボスは荒神の王スサノオだが、実質立ちはだかるのはムラクモでした。
3×3EYES(サザンアイズ)のシヴァとベナレスみたいな関係ですな。
ムラクモはクールでスカした強キャラ、彼の存在感も本作の緊迫感に繋がっていた感じ。
紅葉の姉の楓もミステリアスで美しかった。
姉妹の戦いから和解までもストーリーの軸でした。

…他では、刑事の杉下俊一も少し活躍。
終盤、復活したスサノオにより日本壊滅の危機の際、冷静に対応した総理大臣も何気に評価してます。

『余談』
原作は全2巻しかなく、急展開でスサノオとの決着付けてしまうのですが。
アニメ版は2クールもかけて、原作者本人も脚本に参加する等、原作以上の出来になっているのでは。
原作版も好きなんですけどね。

『余談2』
本作は1995年放送の「新世紀エヴァンゲリオン」の前年、1994年のアニメなのですが。
終盤の展開、スサノオ(というより、実質ボスのムラクモ)の野望で、ちょっぴり「人類補完計画」っぽい?展開見られます。
なので、エヴァに先駆けた作品…
のような気がしています。
あくまで個人的な所感ですけど…。{/netabare}

投稿 : 2015/06/28
閲覧 : 852
サンキュー:

28

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