あゆとも さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
あなどれない超能力者アニメ
超能力者物というと、とかく少年向けになりがちですが、これは数少ない大人でも楽しめるアニメだと思います。
ある時突然この世に数千人の契約者と呼ばれる異能の力を持つ者が現れた。彼らは合理的な考えを持ち、人間の心を失っている。人間を殺す事にためらいを持たず、与えられた仕事を淡々とこなす…
こんな事が実際にこの世に起こったら…という事を考えたら、リアルにこのような流れになるのではないかと思わせる内容でした。
厨二病的なバトル部分もわりと抑えられており、主に契約者と普通の人間との関わりが中心に書かれています。
前半が長いように思いますが、後から考えると契約者にも様々なタイプがいるのだという、意味がある前ふりです。15話位から少しずつ話が動き、終盤は勢いづいて終結する、という感じ。
吟味された言葉づかいがかっこよい。絵もきれいでキャラが立っていて2話で1つのお話が終わるテンポもサクサク見れて良かったです。
以下完全なネタバレと備忘録的な感想です。
{netabare}触ったら凍らせてしまう、真空を作り出す、重力を操作する、爆破させる、発火させる…こんな人間が身近にいて、人間の心を持っていなければ…政府は秘密裡に彼らを排除する事を考えるのは当然かもしれません。しかも相手は数千人しかいない…天文部で偽りの星を観測し、契約者の監視をさせる。一般人に対してはME技術を駆使して目撃者の記憶を消し、契約者の存在も都市伝説化させている。危険な契約者は契約者をして排除させる。そして、人間は用意周到に契約者を支配し、コントロールする事に成功しました。ダマして、信用させて。
でも、契約者は人間の心を持たない、合理的な考えしかしない、夢を見ない。とは本当でしょうか。ここに書かれている契約者はかなり非合理的で人間らしい心を持っている者もいました。夢を見るニック、亡くした娘を思い自分を罰する対価を選ぶブリタ、嫉妬の心を持つマキ、最後まで上司を信じようとしたノーベンバー…彼らをひとからげに「契約者だから」という理由で消滅させようとしたのはあまりに横暴だったのかもしれません。
組織の横暴に気付いたアンバーは最後には自分の命をかけてヘイに選択を迫ります。「契約者を生かすか」「人間を生かすか」でもヘイの選んだ第3の選択により、人間はより苦境に立たされた状態で契約者と向き合わなければならなくなります。
これも、契約者を信じられなかった人間への罰なのかもしれませんね。
志半ばで命尽きたアンバーは本当の未来は見えてなかったんですね。彼女はヘイの選択する未来をどう想像していたのでしょうね。
契約者も生き物です。50~60年もすれば寿命で自然に死んでいくんじゃないんですかね。そっと静観しているという選択肢はなかったんですかね。色々な事を考えてしまいました。{/netabare}