おぬごん さんの感想・評価
4.3
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
アニメにおける「原作の消費」を考えさせられた
1期の放送以降人気が上昇し、今やラノベ界のトップを走る作品となった「俺ガイル」の2期
まず一番に目に付く変更点は、絵が目に見えて豪華になったところですね
製作会社やスタッフが変わり、恐らく製作資金も増えたのでしょう
放送中のCMで、1期のBD-BOX→2期のBDなんて順番で放送されることも多く、毎回「やめたげてよお!」という気分になりましたw
優秀なキャラクターデザインと、ややリアルになった作画は最後まで乱れず、見せ場も多く見事でした
また1期同様、キャストによる演技も良かったですね
八幡のモノローグをはじめとした会話が肝の作品なので、ここはやっぱり重要です
今回の2期では特に、佐倉綾音演じる一色いろはのあざとすぎる演技と、戸松遙のギャル演技が最高でした!
ギャグではクリスマス編の、玉縄の意識高い系ネタが最高に笑えましたねwww
あと千葉県民としては、サイゼネタも面白かったです
OPとEDは、この2期の内容を踏襲した歌詞で、どちらも素晴らしいです
特にOP「春擬き」の、やなぎなぎの美しい声とは裏腹な、確かな力強さ、そして2番サビ直前の歌詞には鳥肌が立ちました
…さて、2期の内容は、原作のエピソードをかなり大胆に消費して、各キャラの心情にフォーカスするものでした
生徒会選挙やクリスマス会といったイベント自体はカット、もしくはダイジェストで済ませ、そこに至るキャラの心情をたっぷり時間をかけて描く、といった具合ですね
俺ガイルの一番の魅力は人間関係の中でのキャラの複雑な心情描写にあると思いますから、
その選択が完全に間違っていたとは言いません
しかし合間合間での八幡のモノローグ等のギャグや、各キャラの絡みもまた魅力の一つです
この2期ではキャラの心情を描くあまり、そういった面が物足りないように感じました
戸塚きゅんや材木座の出番も少なかったですしねえ
逆に、メインキャラの心情にダイレクトに関わってくる雪乃の姉の陽乃は、その立場上カットすることができませんから、毎回のように出番があるんですよね
大学生とはいえ暇すぎだろ!みたいなw
また原作をスピーディに消費していった結果、
最終回でその前日に出たばかりの最新刊に追いついてしまうという異常事態になりました
アニメは原作の販促という側面も多分にあるわけですから、あのラストで原作最新刊に追いついてしまうというのは、商業的目線で見てかなりの失策だったように思います
「何このラスト!続きが気になる!」…でも続きは原作でも読めず、次の新刊は数ヶ月後…
これではコンテンツの熱が冷めてしまいます
また作品の展開も終盤に差し掛かっており、残りの展開でアニメ3期が作れるかどうかもかなり怪しいです
映画化するような作品でもないですし…
アニメ化というのはやはりコンテンツにとって影響は甚大で、前作の1期のように作品を一気にスターダムにのし上げることもできれば、作品の熱を一気に奪うこともできてしまいます
この辺は一般層に広く作品をアピールできる実写化と、アニメ視聴者というそもそも閉じていて常にコンテンツを消費し続ける層にアピールするアニメ化の大きな違いですね
同じラノベ原作のTBSアニメ「はがない」の2期なんかも、まさにアニメに熱を奪われたような印象があります
俺ガイルほどの質と人気がある作品であれば、3期の制作も可能だったはずです
それをみすみす潰すような今回の2期の構成は、やはり疑問です
勘違いして欲しくないのですが、決して面白くなかったわけではないのです
8話の先生と八幡の会話、それを受けての八幡の必死の告白、雪乃の反応、そして結衣の存在なんかは、この作品が「文学的」と賞されるのもうなずけるほどの素晴らしいものでした
だからこそ、作品のためにも、もっとじっくりとした構成で見たかったかな、と思います
最初の修学旅行なんかはそこのバランスをかなり上手く描けていたと思うだけに、残念です