おぬごん さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「可能性」を宇宙の果てしなさで表現
元々は自動車会社のスバルとガイナックスがコラボし、youtubeで公開されていた作品
当時も既に評判が傾いていたガイナックスの異色コラボということで、ちょっと話題になりましたね
まあ震災の時期だったので、本当に最初しか話題になりませんでしたが…
序盤はメインの5人がパラレルワールドから来た存在だという変化球な設定が絡むものの、
大筋は王道の魔法少女モノとしてキャラ紹介回を挟みながら進んでいきます
この間は丁寧ではあるものの、平凡でやや退屈でした
土日の朝にやれよ!と思ったくらいですw
しかし主人公たちの力が増し、舞台が宇宙に及ぶようになると、一気に面白くなりました
特にミステリアスな雰囲気のななこを光速の旅を通し描いた8話は白眉で、感動しました
この辺になると宇宙の知識も多く使われるようになり、とても土日の朝にはやれないな~と思ってましたw
9話以降では主人公すばると謎の少年みなとのラブコメ路線が加速
最近の魔法少女モノは男キャラを廃し恋愛を描かず、むしろ百合を全面に押し出していくことも多い中、
王道に丁寧に2人の関係を描いてくれたのは好印象でした
(友人の百合豚は「騙された!」と嘆いていましたが…w)
さて、この作品のテーマは「可能性」です
作中で主人公たち思春期の少女が魔法を使うことができるのも、彼女たちが持つ「変わりたい」と願う心、可能性の持つ力による、という設定でした
これ自体は「まどかマギカ」や、ちょっと違うけど「魔法陣グルグル」もそうですし、珍しくない設定です
ですがこの作品で面白かったのは「可能性」を表現するために、宇宙を上手く使っているところです
言うまでもなく、宇宙は広大で、果てしない存在です
そんな宇宙を思う時、人は時には自分のちっぽけさを感じ、時にはその広大さに無限の可能性を感じます
作中のすばるの心情もまさにそれと同じで、宇宙を通し、見事に彼女の心情が表現されていました
でも壮大なスケールの中で描かれるのは、魔法少女モノの基本通りの、少女たちの成長なんですよね
それも、本当に少しだけの成長
ただそれが爽やかに、感動的に描かれていて、グッとくるものがありました
また宇宙は先述の8話のように「寂しさ」を表現するギミックにもなったり、単純に美しさを表現したり、豪華な背景と化したりと、とにかく宇宙の使い方が上手かった印象です
作画はさすがのガイナックス
動きでも、背景でも、キャラの可愛さでも常に魅せてくれました
また国立天文台が監修していることもあり、多少の演出があるとはいえ、天体や物理現象の描写は極めて緻密でした
私が一人で見ている時にはあまり気付きませんでしたが、ニコニコに上がっていた解説動画を見て驚きました
(参考:http://www.nicovideo.jp/watch/sm26380303)
音楽も、宇宙を駆け回るような雰囲気のOPや、劇伴の「月の光」をはじめ、良かったです
ただ欲を言えば、YouTube版のテーマソングもどこかで聴きたかったです
とても良い曲なので…
声優面では、桑島法子のイケメンボイスと、藤田咲の声の振れ幅に驚かされました
私が宇宙、天文学を好きなのもあるでしょうが、宇宙の広大さで可能性を表現するこのアニメは、想像以上に心に残る作品になりました