norimeru さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
むつかしいテーマと思いましたが・・
観始めたのは、とてもきれいなOPにひかれたから。OP曲(いつだって)がよかったのに加え、アニメーションが工夫を凝らした出色の出来で、こりゃ観てみましょと考えたわけです。
で、実際観てみると、当初微妙な問題を感じた作品でした。
原作を知らない悲しさです。小学校時代のエピソードなしで話が始まったので人間関係がつかめません。全体を通して考えれば大きな問題ではないのかもしれませんが、原作のある作品では少し考慮していただきたいところです。
正直に言えば、すこし挫折しかかったこともありました。それでも、不思議と魅入ってしまいました。
性同一性障害というテーマで、しかも中学生ぐらいの描写はとても難しいものだと思います。女の子になりたい男の子と、大人の女性になるのを受け入れがたい女の子(私的には高槻さんは、「男の子になりたい」というよりはこういう風に受け取れました)、それを取り巻く友人、家族や学校の関係を、上手に扱ったと思います。女装で登校したあと、コンビニへ行ったときのお父さんの態度、なかなかでした。
修一は女の子になりたいし、女の子の格好もしたいけれど、どっちつかずのように思え、それが観ていてもどかしかったところです。しかし、実際にセーラー服で登校してしまったあとから、むしろ自分のことを自覚したのでしょう。
少しでも自身がしっかりしたからこそ、困惑していた周囲もその事実を避けないでつきあうようになりました。最終話の学園祭、声変わりを自覚してそれでも前向きでいる修一と、倒錯劇を通して疎外感が少なくなった周囲との描写はなかなかだったと思います。
水彩画風といっていいのでしょうか。とても明るい(意識的に露出過多に表現したのかも)色調で、丁寧に作られた印象です。
素材や進行に好き嫌いはあるかもしれませんが、しっかりとテーマを見つめて作られた作品だったと思います。私的な感想は「よかった」と言えるものです。