「グリザイアの迷宮 & グリザイアの楽園(TVアニメ動画)」

総合得点
76.9
感想・評価
1228
棚に入れた
7505
ランキング
663
★★★★☆ 3.9 (1228)
物語
3.9
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

OZ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

大切な人を救う為に立ち上がった少女達の物語

2014秋アニメで放送された
前作にあたる『グリザイアの果実』が楽しめたので
引き続き観てみる事にした2015春アニメ

■大切な人を救う為に立ち上がった少女達の物語■
未来を描く事が出来なかった5人の少女達は
主人公 風見 雄二によって「生きる」意味を見出し
今度は窮地に陥った彼を救うべく立ち上がる
『グリザイアの果実』に続く第2期作品『グリザイアの迷宮 & グリザイアの楽園』

正直 エロゲ原作の作品は
オリジナル要素が前に出過ぎてしまい
今一つ"原作の良さ"を発揮出来ないまま
終わってしまう事が多い印象だったけれど
原作サイドと制作サイドが
しっかり意志疎通を取れていれば
面白い作品は生まれるのだなと再認識させられたものである。

今作品は大きく分けて2部構成になっており
第4話までの前半「カプリスの繭」編では
謎に包まれていた風見 雄二の過去が明かされ
第5話以降の後半「ブランエールの種」編から
メインヒロイン5人がストーリーの中心となり
雄二を救出する展開へと移行する。

終始テンポが良く飽きさせない構成である反面
クライマックスに向けての展開は思った以上に早く
黒幕であるヒース・オスロとの一戦が
引っ張ったわりにあっさり決着がついてしまうのと
雄二の手に仕掛けられた小型核から
どういった形で逃れられたのかが描写不足で
面白いものの味気なさも感じてしまう。

勿論 尺の都合があるので仕方ないところではあるが
詰めの甘さが残ってしまった感は否めず
上手く纏まっていただけに少々悔やまれるところだ。

一方で回を追う毎に耳に馴染んできたのがOP「刹那の果実」

特にブランエールの種編から始まる
第5話以降のOP演出が良い出来映えで
パイプオルガンを使ったイントロから
赤ちゃんに与えられた車のおもちゃが白い球状の物になり
少年がそれを地面に叩けつけるのと同時に銃へと形を変える
一連の流れが音にハマり
グッと作品内の世界へ引き込んでくれるだろう。

なお TV Ver.が気に入ったのなら
Full Sizeもオススメしたいところだ。
TV Ver.には無い転調が加わり
より厚みを増した一曲となっている。

原作のゲームをプレイしていない為
プレイ済みの方から観たら
物足りない印象を受けるかもしれないが
未プレイ者でも充分に楽しめる作品である。

■麻子と雄二■
魅力ある女性キャラクター達が多数登場する本作品で
今回お気に入りとなったのは
雄二の師でもあり親代わりの存在でもあり
最後は"大事な女”と言わしめた
大雑把でいい加減な性格だが
実に面倒見の良い姉御肌気質な日下部 麻子である。

油断さえしなければ
オスロにすら不覚を取る事はなかったであろう
折り紙つきの実力を持つ彼女が
後の雄二に影響を与えた言葉は多い。

「たった一つの道でいい 極めてみろ
 それがどんな道だろうと何かを極めた人間というのは
 他の何をやるにしても自分の得意分野に置き換えて物事の要領を得る
 そういう奴は何をやらせてもそつがない」

中でもこの台詞が現在の雄二を形成していると言える為
"師"を表す言葉として強く印象に残る。

しかし そんな麻子も一人の人間であり
やがて運命の日は訪れる。

後遺症に悩まされる日々を経て
どうなるのかある程度の察しはついたが
第4話「カプリスの繭Ⅳ」で
彼女が息を引き取るまでのやりとりは
本シリーズでもっとも胸を刺すシーンであった。

師弟や恋人や家族という全ての関係を含め
言葉では言い表せない深い絆で結ばれている二人に
観ていてグッときてしまったものだ。

ラストの楽園まで用意していたのが
麻子だったのも粋なシナリオである。

続いて前作の感想でも同じ様な事を書いたのだけれど
やはり主人公の雄二が魅力的に描かれていたのも大きい。

ハーレム展開でありながらも
彼の心の奥底には常に麻子がいて
意外に一途であったのが好印象だ。

無双系の主人公は数多くいるが
彼程硬派かつハードボイルドが似合う男もそういないだろう。

■あとがき■
期待は低めに観ていましたが
迷宮と楽園を併せて前作よりも楽しめました。

前作『果実』の天音編であるバス転落事故
「エンジェリック・ハゥル」を皮切りに
グリザイアの世界観に引き込まれていったね。

本シリーズを振り返ると
麻子が雄二を救い
雄二が由美子 みちる 幸 蒔菜 天音を救い
そして救われた5人の少女達が雄二を救う
愛情とは異なる"巡り廻っていく絆"が
本質のテーマであった気がします。

死ぬ為に生き続けてきた雄二が
生きる価値を見出させた少女達に
今度は生きる意味を教えてもらう
本当に魅せてくれるシナリオでした。

そして本作品で1番面白かったのは
第5話 「ブランエールの種Ⅰ」で
蒔菜とみちるが羊羹を取り合いする場面。

そんな二人を見て幸が
「シャブ落ちしたOLがチンピラのアレに
 しゃぶりつくような勢いですね」と
笑顔で話すシーンは笑いが堪えきれなかったよ。

流石エロゲ原作と言うか
もう完全に狙っていたよね。

斬新な羊羹の食べ方でした(笑)

それにしても最終話のCパートでは
まんまと一姫に持っていかれたな。
てっきり義手だと思っていたのに・・・。

でも 五体満足でホッとしたし
最後まで一姫の掌で踊らされていた感覚は
良い具合で後味が良かったです。

本編の後日談にあたる
『楽園アフター』も観てみたいところだが
過去に一戦を交えたらしい麻子VSオスロとの
戦いも観たいものだね。

機会があれば是非とも原作のゲームをプレイしたくなる作品でした。

満足度 ★★★★★★★☆☆☆ (7)

投稿 : 2015/06/23
閲覧 : 382
サンキュー:

46

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