「スクラップド・プリンセス(TVアニメ動画)」

総合得点
69.0
感想・評価
273
棚に入れた
1778
ランキング
1939
★★★★☆ 3.7 (273)
物語
3.8
作画
3.6
声優
3.8
音楽
3.5
キャラ
3.8

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

剣と魔法の王道ファンタジー、きょうだいの絆。榊一郎先生の代表作にして隠れた良作です。

富士見ファンタジア文庫のライトノベル原作、全24話。通称「すてプリ」
中世ヨーロッパめいた異世界が舞台の、剣と魔法のファンタジー。
神託で世界を滅ぼす「廃棄王女」とされた故に命狙われる15歳の少女パシフィカを、兄と姉(美形でめっちゃ強い)が守って、旅を続ける…。
旅を通してのきょうだいや人々との絆、苦悩しつつも皆に支えられ健気に生きるパシフィカの可愛さ、剣と魔法バトル等が見所です。

このジャンル(あまり多くは無さそう)では私が知る限り屈指の良作、というか一番好きです。
当時の放送局がWOWOWノンスクランブル枠な故か、今一つ不遇な感のある、隠れた良作。
「剣と魔法のバトルファンタジー」「貴種流離譚」「金髪の守られ系妹」「強くてカッコイイ兄」「強くて美人の姉」等が好きな方ならば、是非。

{netabare}『物語』
「すてプリの簡易あらすじ」
中世ヨーロッパ的だが魔法も存在する、ダストウィン大陸。
大陸の大国ラインヴァン王国で双子の王子と王女が生まれたが、王女は世界宗教「マウゼル教」の託宣(ほぼ的中率100%とされる)にて「世界を滅ぼす猛毒」「廃棄王女」とされ、秘密裏に処分されてしまった…。
それから15年後。
実は王女は密かに生かされ、カスール家の末妹パシフィカとして何も知らずに元気に育っていたが…
廃棄王女の生存が王家に知られてしまい、パシフィカの平凡な日常は終わりを告げる。
兄のシャノン(剣の達人。めっちゃ強い上に美形)と姉のラクウェル(魔法の達人。めっちゃ強い上に美人)の二人は、世界の滅亡よりも、大切な家族・妹を守る事を選択。
こうしてカスール三きょうだいは追手と戦いつつ、逃亡の旅を続けるのであった…。

…という感じの、王道バトルファンタジーにして貴種流離譚です。
ヒロインが姫で妹系、きょうだいの兄姉二人が守る…
2014年放送の「棺姫のチャイカ」と似た構成…
なのもそのはず、作者が同じ榊一郎先生ですしね。
(チャイカは兄妹、すてプリは姉弟ですけど)

旅をしながらパシフィカは色んな人々と出逢い、時に敵意や恐怖の対象にされて(私が世界を滅ぼすのなら、生まれてこない方が良かったのかな…)と悲しむシーンもありつつ、でも兄シャノンと姉ラクウェルの全幅の愛情や、数は少ないがパシフィカ達を応援してくれる人々の助けを受けて、過酷な運命を乗り越えていく。
…シリアスになりがちかもですが。
意外と終始明るい前向きな雰囲気で親しみ易いです。
戦闘の合間に結構日常回もあり、和んだり、笑えるシーンも多々あり。

パシフィカの天真爛漫で素直な性格や、一見イヂワルだけど実は妹を非常に可愛がっているシャノン、優しく包容力のある姉のラクウェル(優しいが妹を傷つける存在にはシャノンよりもコワイ)の三きょうだいの絆や信頼関係が成せる掛け合いのお陰で、割と深刻さが薄まっている感じです。
パシフィカ本人の芯の強さや、理解者たちの善意が合わさり、この世界の偽りのシステムを打ち破っていく…。

バトル面では正統派の剣と魔法のファンタジーとして、非常に見所あり。
シャノンが圧倒的に強いので安心感あり。
またラクウェルが用いる魔法が、まるでコンピューターのプログラミングめいた起動方式で、面白い。
(ここら辺は、正統派ファンタジーかと思いきや、実は…の伏線かも?)
…中盤以降、シャノンが超人的戦闘力を得て、次元の違うSFバトル展開も。
ファンタジーだと思っていると意表突かれますが、なんでもアリのバトルも燃えます。

旅を続けるうちに、何故パシフィカが執拗に命狙われるのか?
この世界を支配する管理者の存在が、この世界の謎が、次第に明らかに…
序盤はファンタジーかと思いきや、実は壮大なSFだった…!
当時、この展開と世界観には大いに驚いたです。
※「ラストエグザイル」と放送時期がほぼ同時期、原作含めればすてプリが早い?
当時の私は相当にワクワクしてました♪(す、すげえ!ファンタジーかと思ったらこんな世界だったのか!?)
…ラストは些か超展開なのですが、パシフィカ達が築いてきた信頼や絆、管理者の完璧だが冷たいシステムへのアンチテーゼ、はしっかりと決着したので良し。

2クール通して良エピソード揃いでした。
パシフィカと似た境遇の者や、パシフィカとの関わり方で選択を迫られる人々、正義への迷い、淡いラブコメ要素等々…
個々のドラマもしっかりと描かれていて、最後まで面白かった。
原作とは違う部分もありますが、アニメ版も非常に良かったです。


『作画』
現在からみると古い部分や崩れている個所もあれど、十分良いのでは。
むしろ当時ならではの描き方、キャラ作画や中世の描写が良い。
戦闘シーンが中々。剣劇は良く動き、魔法詠唱バトルも熱い。

『声優』
パシフィカは折笠富美子さんヒロインで一番好きです。
名だたる名ヒロインばかりですが、パシフィカが最高です。
普段の天真爛漫で明るくワガママな妹キャラから、死んだ方がいいのかな…と兄に涙見せるシーンでの切ない泣きシーンまで、本当に可愛い上に感情伝わってくる。
これは、同時期の他声優さんで中々代替できまい!?
折笠富美子さんの代表的ヒロイン(と私は思っている)ので。

シャノンの三木眞一郎さんも非常にカッコイイ。
ラクウェルの大原さやかさんも、理想的なお姉様♪
ウイニアの川澄綾子さん、ファファルの桑谷夏子さんも中々。
エルフィティーネの豊口めぐみさんの、貴重なヒロイン演技も良いです。
ゼフィリスの水橋かおりさんの、機械娘→デレも中々♪

フォルシス王子の間島淳司さんも、終盤に熱演あり。
ちなみに後に「櫃姫のチャイカ」のトール役でもあり。
妹を中々守れなかった兄王子が、後の作品では守りし兄の主役…いい配役ですなぁ(感慨深い)。

『音楽』
OP「Little Wing」ED「大地の la-li-la」共に印象的な良曲、好きです。
ちょっと牧歌的な感じもしつつ、伸びやかに、希望を感じさせてくれる。
まさに冒険ファンタジーに相応しいのでは。

『キャラ』
廃てプリことパシフィカ・カスールちゃん可愛いです。
金髪ショートでお転婆な妹、でも自らの運命に押し潰されそうになって兄の前で泣いたり、それでも強く心優しい。
本人は全く戦闘力無い点もむしろ長所!まさに理想的な守られ系妹ですな♪

シャノン・カスールは「カードキャプターさくら」の桃矢お兄ちゃんを彷彿とします。
普段は妹にイヂワルしちゃう、でも実は溺愛している…
普段のやる気の無さや料理上手な所、戦闘ではチート級に強くて頼れるカッコよさ。
まさに理想的なお兄ちゃんなのでは。

ラクウェル・カスールはおっとり優しい系のお姉様だが、実は敵には容赦が無い辺りがステキ。
戦闘ではクレバーだが普段は抜けている辺りも萌える。
やはり素晴らしい姉であった。

この他魅力的なキャラ多数。
ゼフィリスは初期は感情の乏しい機械人形→シャノン達との交流でデレてくる、この手のタイプ大好きです♪

ウイニアとクリスのラブコメ、レオポルドは愛すべきバカ、意外に人気な暗殺者キダーフなど、キャラ層は厚いが主要キャラは絞られているので、各々しっかり描写されていて良い感じ。
エルフィティーネは中盤のサブヒロインな感じ、彼女も好きです。
獣姫とシャノンとのバトル…からの交流も、良い感じ。

敵黒幕は絶対者的な存在でそこそこインパクトはありました。{/netabare}

投稿 : 2015/06/21
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サンキュー:

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