ビアンキ さんの感想・評価
3.5
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
「無理」が見える。
数年前に地上波で視聴。
正直、ちょっとうろ覚えな部分がある。
何か間違った記述をしてしまったら申し訳ない。
原作は未読。
早速だが、本作の感想を書いていく。
良い点
本作の終盤。
節子が衰弱していく様。
ここでの節子の表情が素晴らしい。
視聴者に「死んでしまうのではないか」とドキドキさせ、嫌でも緊張感を持たせる。
そして徐々に徐々に衰弱し、ついに死んでしまう。
花が枯れ落ちたような悲しさ、寂しさを持った死に様は、視聴者の心に突き刺さるものがある。
今、感想書いてて
節子の衰弱し、死んでいく様って、
枯れていく花の観察日記みたいだなと、ちょっと思った。
なんか不謹慎な気がするけど
ともあれ
この見せ方、演出力。
圧巻。
これは実写的な演出だからこそ光る部分だと思う。
しかし実際の人間がやる演技では難しいだろう、
アニメーションだからこそ出来た、素晴らしい演出だった。
賛否両論であろう点
中盤だったか、
主人公:清太と、親戚のおばさんの諍い。
全編中では、ほんのわずかなシーンではあるが、
多くの人の記憶に残るシーンとなっている。
聞くところによると
監督の高畑勲氏が、本作を作る上での
テーマを反映させたのがこのシーンらしい。
それだけ製作者の中で重要なシーンなだけあって、
多くの人の記憶に残るだけのインパクトを
持っているシーンになっている、のだろう。
このシーンに対してどう感じるのかは人それぞれで、
その考えに対して、1つの正解はないと思う。
私個人の感想を書いておくと、
どちらにも共感できた。
ろくに仕事もせずに、ただ妹を楽しませ、
遊んでばかりいる清太に好感を持たず
軽い嫌がらせをし、終いには清太の母親の着物を売ろうとする親戚のおばさん。
母親が死に、辛い状況ながら精一杯
妹と一緒に兄として生きるものの、
おばさんの嫌がらせに耐えられずに、おばさんの家を飛び出す清太。
おばさんにとってみれば、
戦時中に転がり込んできて仕事もせず、
それなりの待遇を求めようとする清太と節子は、ただのお荷物。
そんな清太たちに、ほとんどご飯をやらなかったり、
誰も着ない清太たちの母親の着物を売るのは、
おばさんと家族が生きていくため、
また清太たちを家に置いてやる対価として当然。
そして
まだ子供の清太にとっては、
そんな状況に耐えられず、おばさんの家を出て行くのも
また当然だと思う。
賛否あるのは良く分かる。
しかしこの記憶に残りやすいシーンが無かったら、
「火垂るの墓」はここまで有名な作品になってなかったんじゃないか
と私は思う。
最後、気になった点
原作を読んでいないので、違っていたら本当に申し訳ない。
指摘してくだされば、修正あるいは消去する。
本作は
原作小説を忠実に再現した作品として知られる
「赤毛のアン」の監督であり、
アニメーションで実写的な演出を多く用いるとされる、高畑勲監督の作品である。
おそらく本作も、原作小説のシナリオを忠実にアニメ化したのだろう。
しかし
この作品のシナリオは、「アニメーション」
という表現方法に合っていない気がする。
確固たる確証や根拠があるわけじゃない。
しかし、私は見ていてそう感じた。
実写的な「演出」を多用しているものの、
表現方法が「アニメーション」。
これは良い点で書いたとおり、「部分的には」成功している。
ただ 全体を通して見てみると、
本来、「実写映画(あるいはドラマ)」といった表現方法に合ったシナリオを、
無理矢理「アニメーション」にしているように
私は思えてならない。
そして持論だが
シナリオに合わない表現方法を使った所で、
名作・傑作にはならないと私は考えている。
よく「名作」とされる本作だが、
私個人は、印象に残るシーンの多い
佳作だと思っている。
本作が好きな方、あるいはそう信じて疑わない方には申し訳ないが、
私には本作が「名作」だとはとても思えない。
まとめ
シナリオが「アニメーション」という表現方法に合っていないと思うが、
記憶に残るシーンが多数ある、強いインパクトを持った「佳作」と評価する。
下手くそな文章、お読み頂きありがとうございます。