クリスマスローズ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
12話がなければ雰囲気アニメとして佳作
転校が多く人間関係を築けなかった男の子、駆くんの抱える闇(作中では唐突な当たり前の孤独と呼ばれている)を、ヒロインの透子が理解する12話の内容が破綻している。
透子は夢の世界で駆と立場が入れ替わり、転校生として町にやってくる。
そこで「これが駆くんの言う唐突な当たり前の孤独」と悟るシーンがあるのですが、これ脚本が酷すぎますよ……
この体験で透子が味わったのは「仲が良い友達との絆が失われた事による孤独」であって、駆の「転校ばかりで人間関係が存在しない孤独」とはまるで別物。透子に共感しながら見ている人ほど混乱する説得力の欠片もない展開です。全く違う質の孤独を拡大解釈して強引にキャラ同士共感させるって、メタファーを多用し過ぎて作り手の思考も抽象的になっていたのでしょうか?
文学作品調のアニメらしいですけど、十二話の脚本ロジックの破綻が酷すぎて、裏の意図を考察できるほど作り手からの情報を信頼できません。
止め絵演出の多用を見るに、不条理でままならない所も含めて青春の1ページを切り取る作風だと思われ、雰囲気を楽しめる人には良い作品かもしれません。