karinchaco さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
とても不思議な設定の魔法少女もの。
自動車メーカースバルとガイナックスの共同プロジェクト。以前には販促用のwebアニメも作られていたみたいですね。
まあ、簡単にいうと魔法少女もの。謎の宇宙生物がエンジンのかけら(なんか大きな金平糖みたいなデザインのモノ)を集めて欲しいという願いをかなえるべく、主人公たち5人が奮闘するお話です。
設定的には、主人公たち5人は別の世界線から宇宙生物によって集められた(すばるとあおいの記憶に誤差がある)とか、エンジンのカケラをとりあうライバルキャラの容姿がすばるが迷い込む謎世界の住人にソックリ(っていうか同一人物?)とか、すばるたちが魔法少女に変身した後のステッキがなぜかドライブシャフトで先端にグリルが付いている謎のデザイン(スバルの企画なのでしょうがない?)とまあ、いろいろ複雑で説明するのが困難な作品です。ただ、SFの設定はかなり細かくしっかりしていますね。
その割に、ストーリーの展開がゆったりしたり、物語自体もあまり緊迫感にとぼしくすごくゆるくてなんだかとても不思議な気がしますね。
率直な感想としては、設定と物語の雰囲気がかみ合っていないのでは?と思いましたね。
物語自体は女子5人を中心にしたゆるふわ魔法少女もの。エンジンのカケラを集めるという目的もあり、ライバルキャラもきちんと設置されているという、どちらかというとシンプルなストーリーなのに、設定の複雑さというか情報量の多さがとてもアンバランスな印象を受けます。
なまじ、設定がシッカリしているが故の悩みというか、もっとシンプルにファンタジー色を強めてくれた方がこのストーリーには合っている気がします。
逆に、この設定を活かすんならもっとゴリゴリのSFドラマを見たかったですね。それには、それに応じたストーリーが必須になるのですが、どちらにしても中途半端だったんですよねきっと。
なので、佳作揃いの春アニメの中では小粒な印象が否めませんでした。
放課後のプレアデスと宮沢賢治
アニメに限らず、日本で制作される映画、ドラマ、小説など星空などの宇宙が絡むファンタジーものには何らかの形で宮沢賢治の要素が絡んでくることが多いです。この作品においても例外ではなく、第2話に賢治が作詞作曲をした星めぐりの歌をすばるとあおいが歌っています。
実は、この傾向にちょっと辟易しているんですよね。宮沢賢治がこの分野において第一人者なのはわかるのですが、どの作品見てもどこかしらにオマージュがあるっていうのはなぁ。なんて思ってしまいます。
ただ、この作品は前面に出てきていないということを考えると、まだましといえるんではないでしょうか?
エンディングについて
{netabare}冒頭のプレアデス星人の説明から、エンディングについてある程度予測していたのですが、結構思い切ったラストにしましたね。この中盤から終盤にかけてすばるとみなとの和解と5人の友情の展開からみてハッピーエンドに持っていくのが常套かと思っていたので、結構意外な印象を受けています。
ただ、それぞれの世界線に帰るというビターエンドは悪くないと思います。特に、すばるにとっては元の世界でもう一度色々な可能性を秘めながら戻るというのはこのストーリー的には必然だと思いました。
{/netabare}
私としては、みんなにおススメするかと言われれば微妙な線ですが、とても素敵な物語なのは間違えないです。こういった物語にありがちな宮沢賢治色もそれほど強くなかったですしね。