ハト さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「知っている人間」が作ったオンラインゲーム内に閉じ込められた人々の群像劇
まずはレビューを書く自分のことを。
自分は15年ほど前に初めてMMORPG「UltimaOnline」に出会い、その世界に魅了された。そこからEverQuest、EverQuest2、Dungeons and Dragons Online、World of Warcraftなどを十数年間やり続けてきた生粋のMMORPG民である。そんな自分が初めてMMORPGをしてる作品に出会ったのがこのログ・ホライズンだった。
本作は、電脳世界に閉じ込められるという古典的な設定。特にオンラインゲームに閉じ込められるという設定はよくあるものだが、ここまでMMORPGの世界観をリアルに再現した作品は自分の知る限り「ない」。
原作者はまさに「知っている人間」なのである。
世界観はファンタジー。世界で何千万人のプレイヤーを誇る老舗MMORPG「エルダーテイル」の12番目の拡張パック「ノウアスフィアの開墾」が導入された日に、どういうわけかゲームの世界に閉じ込められてしまう。ゲーム馴染みでもあり、それでいてリアルさも併せ持つこの新たな世界で、帰ることもできない様々なプレイヤーたちはどう生き抜いていくかを描いた群像劇。
とにかく世界観、世界観設定がすばらしい。Wikiができるほど決められた膨大な設定、リアルとゲームの仕様が混同した摂理。そのすべてがこの作品全編にわたって使われており、これぞ別の世界に閉じ込められる作品の面白さだと思いました。
ログ・ホライズンはずばり言うと先ほども上げた、「EverQuest」「EverQuest2」からはじまり、「World of Warcraft」で完成された海外のテーマパーク型MMORPGをモチーフに作られています。
●個人的にくすぐる点として、
種族にしっかりと亜人種がいること。
クラスにドルイドやスワッシュバックラーがいること。
クラスの特徴が実際にMMORPGにある特徴になっていること(ドルイドは脈動回復が強い)。
戦闘がTank DPS Healerとヘイトの概念をしっかり取り入れていたこと。
クールダウン、キャストタイム、Heal over timeがある。
レイドがまさにRaidだったこと。
MMORPGというジャンルはプレイ動画を見てもその面白さは伝わりづらいことがよくあります。しかしこの作品ではしっかりとアニメに落とし込み、地味にならないようにうまく見せ、しっかりと説明していたところも評価できるポイントでした。
ストーリーもしっかりと複線や積み上げをしつつ中盤、終盤にカタルシスを持ってきており、すばらしい。この世界のことがもっと知りたくなるそんなモチベーションの高さを与えてくれました。
音楽も盛り上がるところでMMORPGらしく壮大な音楽で盛り上げてくれます。
ただ作画はそこまでキレイなわけではないのが残念です。デザイン的にはNHKらしく誰にでも見れるやわらかいデザインなのはよかったです。