セレナーデ さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
受け身の冒険は胸が躍らない
主人公の動かし方がふにゃふにゃ。自分と言うものを持たずに周りに流されて冒険していくから、未知の異世界を旅するファンタジー作品なのにちっともわくわくしません。急の病に倒れた重篤の母を救うためにえいやっと異世界に飛び込んだ、まではよかったものの、その後はあっちにふらふらこっちにふらふら。お母さんを助けたいけど、家を出ていったお父さんのことも気になるし、時々目の前に現れる友達のミツルくんのこともほっとけない。ハイランダーなる組織に加入したのも自分の意向ではなく女ボスから半ば強引に勧誘された故。なんの疑いも抱かず姿なき声に従って問題を解決して回るのも、ほとんど自分の意思を失っちゃってるようで、おいおいワタルしっかりしろよ、と。いつかわけのわからんサプリ買わされるぞ。
ともかく、主人公が自分の意思と力でトラブルに立ち向かっていく印象が希薄。何かが起こってから足を動かす受動的な冒険で全く胸が躍らないのです。周りの環境や世界の趨勢にあれよあれよと流されて、そんな受け身の旅の末に主人公が答えらしい答えを唱えても、説得力は感じられません。
しかもその答えというのが「人生楽しいこともあればツラいこともあるよね」という。なんのこっちゃ。喜びと悲しみは同格の価値があると学んだシーンなんてなにひとつなかったぞ。いきなりなに言い出すのさ。
一応これ、ストーリーの軸としては、宝玉を5つ集める旅という触れ込みのはずなんだけど、最後の3つはろくな印象がなくて、ていうか内2つはダイジェストで捌かれてる始末で、これもまた、とてもじゃないけど食い足りるはずもなく。
旅の仲間が増えてもなぜここまで無感動なのか不思議。要所要所で強烈に漏れ出すジブリ・コンプレックスにもつい苦笑いが。
自然の色彩豊かな世界観は魅力的でした。