「純潔のマリア(TVアニメ動画)」

総合得点
70.5
感想・評価
866
棚に入れた
4492
ランキング
1563
★★★★☆ 3.7 (866)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

westkage。 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

作品としてのインパクトは薄いが、物語がしっかり作り込まれている印象を受ける。視聴をおススメしたい良作☆

本作は石川雅之の漫画を原作とした作品です。原作は2008年11月~2013年7月まで連載。テレビアニメは2015年の1月~3月にかけて放映されました。中世ヨーロッパにおいて西暦1337年から116年続いたと言われる「百年戦争」を舞台とした物語です。
舞台は歴史上実在する戦争を用いていますが、魔法を使う魔女などが登場したりするファンタジー要素が強い作品です。1話の後半で主人公マリアは「ラ・ピュセル(ジャンヌ=ダルクの別称)」の名前を出していましたが、それ以外は歴史上の実在人物が取り上げられる事もないので、中世ヨーロッパの歴史に触れたい…という観点で視聴を開始する作品では無いと思います。聖書やギリシア神話に登場する名前のキャラクターも多々ありますが、名前だけ一緒でキャラクターとしては全然違っていたりするので(主人公マリアの使い魔アルテミス=ギリシア神話の女神、など)やや混乱する部分もあったりします。フィクション100%の作品として、肩の力を抜いて視聴を開始する事をおススメ致します。

あらすじ…中世・百年戦争中のフランス。世界には「魔女」が実在しており、戦争に自らの使い魔を介入させることで利益を得ていた。主人公‘マリア’は強大な力を持つ魔女であるが、他の魔女仲間と行動を共にしない一匹狼であった。マリアは無益な争いが嫌いで、度々人間たちの戦争を目にしては戦場に現れ、両軍に戦闘を辞めるよう力ずくで働きかけていた。ある日あまりにもマリアが人間の戦争に介入し過ぎる事を嫌った‘大天使ミカエル’は地上に降臨し、マリアに告げる。「巨大な力を多くの者の目の前で使用する事を制限する。そしてそなたが純潔を失った時、魔女の力一切を失う事でこれまでの罪の償いとしよう。魔女マリアよ、己の幸福と世界の幸福、そなたの天秤で量るがよい」と。

総評として…「作品としてのインパクトは薄いが、物語がしっかり作り込まれている印象を受ける。視聴をおススメしたい良作」と言った感じです。アッサリした絵柄も手伝ってキャラ萌えするような作品ではありませんが、その分多くの視聴者に受け入れられやすいデザインだと思います。序盤に俗っぽい表現のシーンがありますが物語の構成上盛り込まれているだけで、後半は全くそんなシーンもありません。総じて低俗な作品という印象は受けませんので苦手な方もご安心ください。魔女をめぐる時代背景から‘宗教’の話が多く介入しますが、宗教的概念について深く問うような作品でもありませんので、とても見やすいです。リアルとアンリアルが適度のバランスで融合したようなファンタジーさを兼ね備えた作品と言えるかもしれません。

マリアは自由奔放に振る舞う魔女ですが、純潔な乙女のせいかあどけない一面も見せる可愛い女の子です。気が強く、無鉄砲で、融通が利かない、でも内面はとても優しく清らかです。そんな彼女が人間と・神と・そして自分自身と向き合って行く物語は、後半になるにつれて魅力を増していきます。
「何度でも視聴したくなるような作品か?円盤を購入するくらい魅力的か?」と問われれば、それほどでも無かったかもしれませんが、是非最終話まで視聴して欲しいと推薦したくなるような作品でした。

*以下、ネタバレを含むため閲覧注意です。
{netabare}
「マリア」という名前を聞けば、誰もが「聖母マリア」の事を思い浮かべると思います。聖母マリアは処女でイエス・キリストを妊娠した…と言われますが、今作のマリアも最終話で処女のままエゼキエルを妊娠する事になります。大天使ミカエルの使いを身ごもったマリアは、まさに聖母マリアの再臨と言える印象を受けますね。また「エゼキエル」は旧約聖書に登場する預言者の名前でもありますので少し深いものを感じます。

マリアが処女であるという事実を聞いたベルナールも、聖母の名を冠した魔女が処女であるという事実を受け止められずに狂っていました。中世の魔女狩りにおける魔女は非処女であると考えられていた & 聖母マリアが処女であると言われている のダブルショックだったのでしょうか。

百年戦争の始まる前から「異端審問」はありましたが、これが「魔女狩り」に本格的に発展するのは百年戦争が終わった後の辺りからです。魔力を失って、ただの人間同然となったマリアはともかく他の魔女たちが今後どうなっていくのかを考えると少し辛い気もします。もっとも我々の住む世界とは違う訳ですから、魔女に関する今後だって違ってくるのかもしれません。というか、そう願いたいですね。

史実にある「魔女狩り」とは本当に残酷なものです。人間が歴史を追うごとに一つの種として成長を続けているのだとしたら、未成熟な子供が残虐な行為だと認識せずにバッタやアリをわざと踏み殺すような時期だったのかもしれません。世界大戦のある時代は自己主張の強い青年時代…といった所でしょうか?そう考えると現代の我々は、人間という種としては成熟した大人ということになりますね。少し話がそれてしまいましたが、そんな中世の時代背景や人物を調べながらの視聴も良いかもしれません。興味があれば…是非☆
{/netabare}

投稿 : 2015/06/13
閲覧 : 473
サンキュー:

40

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