どらむろ さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
身近な死から少年少女を生きる輝きに導く、優しい死神。ハートフルなジュブナイルです。
近しい人の死を経験した少年少女に、心優しい死神少女・モモが、静かに見守ったり、ささやかな道標を見せてくれる。
電撃文庫のライトノベルが原作の、全6話のオムニバス形式のお話です。
全般に優しい雰囲気から、ほんの少しだけホロリとさせてくれる感じ。
小学生~高校生の少年少女の、仄かなラブコメ要素もあり。
…かなり地味な作品で、大きな起伏は無し。
感動や泣ける度も、そこまであざとくは無い。その地味さこそ、本作の良さかも。
合わない人にはとことん退屈かもですが、しみじみとした良作です。
{netabare}『物語』
ジャンルとしてはジュブナイルファンタジーでしょうか。
原作からして対象読者である若い世代向けのお話な感じです。
年齢的に幼い(小学生~高校生)少年少女が、身近な大切な人を亡くすのは、とても辛い経験…
そんな彼らを静かに見守る、白い髪の死神の女の子・モモ。
決して説教くさくは無い、さりげなく死者との絆や愛を繋げて、生きる希望へと導いていく。
…本作は意外と感動系でも泣ける系でも無いです。
泣ける度は1話か2話がピーク、以降はほんのちょっぴり良い話な感じ。
それでも、毎話、優しさと生きていく大切さが、さりげなく伝わってきます。
毎話の、ラブコメ…未満な幼い少年少女の微笑ましい関係性も良い感じ。
ラブコメの波動を感じる!ようでいて、一歩足りないような、もどかしさ。
これぞジュブナイル。
ラブコメというよりも、ジュブナイルですよ。
地味~なのですが、このもどかしさが良いんです!
全体構成を見ると、1話が一番直接的に悲劇的な悲しい死別。
2話も大切な姉を失ってかなり参っている少年のお話。
…と来て、3話以降はあまり直接的に悲しさ訴える話ではない、ように見えて、生きていく希望や意味を問うていく。
1話2話を先に持ってきた上で、3話以降の(ちゃんと生きていこう)と思える雰囲気になっている気がする。
1話で主役だった小学生の少年(モモと出逢い友達の死を乗り越えた後)が5話でも再登場、成長した少年が、渦中の少女(年上)をリードする流れも良かったです。
モモの関わりは最小限でも、モモの優しさと涙は無駄ではない、そう実感できるので。
全般に地味な内容で、あざとく感動を誘われるには些かパンチ不足な感も。
本作は、視聴の際はそれなりに気合い入れて観たい作品です。
散漫に視聴すると、記憶に残らないかも。
けれど。
ちゃんと観ると…すごくステキな物語です。
若者向けな内容かもだけど、大人が観ても良い感じ。
…リアルタイム視聴時は泣く程でもなかったのですが。
最近再視聴した際、涙ポロポロ出ました…。
モモが涙流すシーンでもらい泣きしてしまう!
最終話も、不思議と温かい気持ちになり、いつの間にか目頭熱くなりました。
『作画』
2006年度のアニメとしては、やや地味かも。
背景含めてクオリティーはそこそこ。
深夜アニメよりも、NHKアニメ寄りっぽい(本作は深夜ではない)。
モモはかなり可愛いし、各話の少女達も十分可愛い。
特に3話の眼鏡っ娘トマトちゃんかわいい。
全般の地味さも、本作の持ち味かも(好意的)。
『声優』
モモは小林晃子さん。出演作は少ないが、絶対少年の谷川希紗と並んで代表役か。
役柄から地味な印象だけど、モモの持ち味はしっかり出ていた感。
ダニエルの清水愛さんのお茶目な好演も光った。
各話では、1話の少女の斎藤千和さんが良かったです。
全般にややぎこちない感じ多く、最終話ヒロインの坂本洋子さんは素人っぽかった。
そこがむしろ本作の雰囲気には合っていた気もする。
『音楽』
OP「no one」ED「White Messenger」共に、優しくハートフルな雰囲気伝えてくれる。
EDは歌詞も分かりやすく、モモの気持ちが分かるので心打たれます。
作中含め全般に地味ではありますが、音楽は地味に良いです。
『キャラ』
白い髪の死神少女モモが可愛いです。
性格は一見クールで、介入は最小限にしつつも、お節介で少年少女達のアフターケア万全。
見た目は各話主人公たちと同年代なのに、優しげな雰囲気と語りかける口調はお姉さんのような、お母さんのような包容力を感じる。
「死んだ人は泣けないから…私が代わりに泣いてあげるの」
彼女が泣くシーンは心打たれます。
とても地味なキャラクターなのですが…ステキです。
ネコのダニエルのお陰で、大分暗い雰囲気緩和されてました。
狂言回しとして良いキャラでした。
各話主人公達も地味ながら皆主人公でした。
萌え的には3話のトマトちゃんが一番可愛かった。
委員長キャラいいですねぇ♪
全般に優しい世界で、モブ含めて善意のキャラクターなのも好印象です。{/netabare}