「The Wound(ジ ウーンド)(その他)」

総合得点
計測不能
感想・評価
6
棚に入れた
21
ランキング
7907
★★★★☆ 3.8 (6)
物語
3.8
作画
4.2
声優
3.5
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ビアンキ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

不愉快で、素晴らしい。

半年ほど前
アニマックスにて放送の「広島アニメフェスティバル 特別番組」番組内で視聴

第18回(2014年)
文化庁メディア芸術祭 アニメ部門大賞受賞作品


ロシアの女性アニメ監督:アンナ・ブダノヴァ
が、自身のかつての体験をもとにして制作したという、
負の感情渦巻く、繊細なダークファンタジー
10分ほどの短編作品。


何をやってもうまくいかず、その上運の悪い、
太った少女が、ある日怒りに任せて落書きをする。
その落書きは化け物となり少女の「友達」になる。

化け物は少女が大人になっていくと共に、
少女が経験した不幸な体験や、少女の悲しみ、苦しみを糧とするかのごとく成長し大きくなっていく。
そして…
…以上あらすじ



本作の魅力を書いていく


まず、
絵本のようなタッチのアニメーションが素晴らしい。
絵本をそのままアニメ化したような、
画面全体がチラついているアニメーション。
「スノーマン」に近い感じ。

しかし全体的な色使いは、黒や灰色が圧倒的に多く非常にダーク。

作画クオリティも非常に高い。
一見すると余計な線が多すぎて雑なように見えるが、
これだけ多くの線を、アニメーションとして違和感なく動かすことの苦労を考えると、
恐ろしく労力のかかったアニメーションだと言えるだろう。
腕のいいクリエーターじゃないと作れない。これは。

そしてこの線の多いアニメーションは
かなりリアルなタッチで描かれた「人物」と、
完全に架空のものである「化け物」を、作品中に違和感なく共存させるには最適だと思う。

非常に手の込んだ、
クリエーターの情熱の「結晶」と言えるだろう。




本作は音、あるいは音楽にこだわりが見られる。
「不協和音」というのだろうか?
どれも痛々しい。

弦楽器が「ギィーーー」 と不快な音を奏で、
その弦楽器の中に、尖った高音を置いていくピアノの音。
それらが基本単発的に、時に集中的に流れている。

そういった「音」が混じり合い、本作の「音楽」を形作っている。

その他にもおそらく実際に録音したのであろう、
ハエの飛ぶ音や、赤ん坊の泣き声なども、音や音楽といえるだろう。


どれも不快だ。
どれも少女の「心の傷の痛み」が反映されたように、妙に高く、尖っている。

聞いてて気持ちのいいものではないが、
作品全体に「負」が満ちあふれている本作には非常に合っている。
演出としては優秀だろう。



「The Wound(ジ ウーンド)」というタイトルは日本語に直すと
「心の傷」という意味らしい。

本作に「救い」はない。たぶん。

上記のアニメーションに関しての感想で私は
「絵本のよう」と言ったが、
それはアニメーションだけではなく、この作品そのものもそうなのかもしれない。

私個人は、
本作は監督が贈る、
一種の昔話、教訓、あるいは伝説とか、反面教師に近いような
「萬話」だと感じた。

本作の解釈に関しては ほかの方の感想も是非聞いてみたい。



最後に、
短編ながらいろいろと考察の余地のある作品だった。
そのため さっきも書いたが、是非他の方の感想も聞いてみたい。

しかしこの評価を書き込んだ今現在時点で本作は
DVD化、Blu-ray化はされていない。
非常に残念だ、もったいない。

もっともっと知られて欲しい、
もっともっと色んな方に見てもらいたい作品だ。
もし見る機会があったら、是非見ていただきたい。

「傑作」と評価する。

下手くそで纏まりのない文章、お読み頂きありがとうございます。

あ、本作を登録していただきありがとうございます。
本当に最後になりますがこの場で感謝申し上げます。
ありがとうございます。

投稿 : 2015/06/06
閲覧 : 393
サンキュー:

6

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