erimingo さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
1期へのリスペクトが足らん。駄作
俺ガイル。1期は面白かったです。
1話を見て主人公の変な魅力に惹かれ、原作は全て買い集め、今も新刊が出るたび購読しています。早見沙織と東山奈央がじゃなかったらこんな人気でなかっただろってほどの神がかったキャスティングと声優の実力に感心しました。
しかし、この作品、個人的には1巻と9巻真ん中40ページがダントツに面白いと思っているのですが。
その9巻で明確になった作品のテーマが酷い。「ぼくは本物がほちぃ」
そしてアニメ2期の制作スタッフはおそらくその9巻の内容が作品のメインテーマだと確信して、そこをベースにしてアニメを作ってるんでしょう。
先行PVを見て、OP曲の本物本物本物ほちぃ連呼とイケメン八幡のキャラデザ見て嫌な予感はしてたんですが。
さすがに、本物の人間関係ほちぃんです、それが作れないからぼっち続けるんです、これはテーマとして浅はかすぎるというか女々しすぎませんかね。
中高生に売れればそれでいいやと言わんばかりに、各ヒロインは主人公に惚れていって求愛系美少女化。雪ノ下をけがすのはやめてください。早見沙織にくだらんセリフをしゃべらせるのもやめましょう。もはや国宝なのです。
唯一、大人キャラである平塚先生はそうした謎哲学を否定して社会人としての交際・付き合い・振る舞いを諭し続けてはいるんですが、婚期逃したやら、もうちょっと年近かったらおれが結婚してたとか、攻略対象気味のヒロインキャラにされてて作品に締まりが無いですね。
1期はギャグが面白かった。原作の面白さである、既存の学校制度が抱えるスクールカーストやいじめなどの社会問題にさらっと切り込む上手さ。それがB級感あふれるキャラデと作画で上手く表現されていて良かった。
2期なんだこれ。女々しい若者がおくびょうな恋愛しとるだけやん…。
ギャグ要素をほぼ排除してシリアス一辺倒に寄せた結果、テーマの酷さが浮き彫りになりましたね。普段、アニメファンとの意見が合わない私ですが、今回は同じ不満を持った視聴者が多少いるのでは?(1期>>>2期)とおもったほどです。
たしかにこの作品、主に主人公に共感を抱く中高大生が多いのは理解できます。
スクールカースト、いじめ、SNSの普及による学校における閉塞感のリアリティ。
戦後日本社会における大きな物語の喪失を基点とした、動物化するポストモダン等、それら批評における結論を体現するかのような狭く浅い哲学と日常と部活モノ。
ネットによって可視化された日本の常民=マイルドヤンキーとおくびょうなだけの現代の若者オタク。
俺ガイルそのものは、それらが全て体現・表現されたような作品だと思います。
葉山や戸部、三浦なんてまさにマイルドヤンキーにしか見えないし、八幡は動物化した消費者でおくびょうな現代の若者オタクそっくり。
社会を見るのがつらいのは理解できますが、さすがに女々しすぎるからもう少し社会見ろやと。自分にも言い聞かせるようにそんな感想がただただ浮かびますね。
手放し絶賛してるアニオタは居ないと思います。アニメあんまり見たこと無い中高生なんかははまってしまうかもしれませんが、アニメはもっと社会とのつながりを描かないと、求愛系美少女に精神的な介護・奉仕をしてもらう部活モノ日常系アニメなんて、たぶん中高生にもすぐ飽きられると思いますね。
個人的には、材木座というキャラは好きです。こいつはどう考えても昔ながらのオタ。非常に痛いキャラとして描かれてはいますが、WUGの太田と似たような人間的な面白さを感じますね。
2期には、9巻を読んだときの感想ままに、八幡が誰ともくっつかずに寂しい独り身生活を送るという反面教師の姿を、我々視聴者に届けてくれることを期待します。
追記
本物云々のくだりはさらっとした人類補完計画の宣言みたいなもんですね。
そういう自意識の問題に帰結して、結局は君は美少女含む周りの人間と体も心もつながればそれで救われて、社会のことはどうでもいいんでしょと。
そういう意味ではエヴァの時代よりも、はるかに複雑化して悲惨なことになっている日本社会の現状を提示してますね。