「魔法少女まどか☆マギカ(TVアニメ動画)」

総合得点
90.9
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ランキング
45
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

奇跡も、魔法も、あるんだよ

シャフトの新房昭之監督から魔法少女物を…と持ち掛けられた、
脚本・構成の虚淵玄氏曰く、本作はオリジナリティを重視した作品でもないとのこと。

最近も本作のヒットについて、
{netabare}「魔法少女がひどい目に遭うなんて、それこそエロゲーの世界では
手あかがつくほどのモチーフ…」
「地元の伝統料理を都会で出したら大人気になったみたいな作品。」{/netabare}
と述べ、チームで作るアニメについて、エロゲー業界から這い出て来た〝虚淵"個人を
ブランド化して持ち上げる一部ネット評価に釘を刺しています。

私は虚淵氏の真骨頂はむしろ、
映画や小説などで吸収した毒を、ゲームやアニメなどの二次元世界に落とし込む
〝翻訳"能力の高さにあると思っています。

例えば民放の1クール深夜アニメだと、全話、約12話前後、およそ30分の枠内で
アバン、OP、Aパート、Bパート、ED(次回予告)で来週まで視聴者は待たされる…。
と基本形式が決まっています。

ともすれば足枷にしかならない制約。
けど氏は自分が持ち込みたい要素の魅力をどう編集すれば、
テレビアニメで最大化できるか、よく研究しています。

加えて、本作の場合、新房監督が
アニメ以外の人間が書いた物を、いかにアニメにするか。
という命題の下、当時アニメの経験も浅かった、虚淵氏の脚本をほぼ通す、
バクチを打ったことも良い方向に転びました。
第一稿がすんなり通る自由放任ぶりに虚淵氏も困惑する程だったそうです。

そのフリーダムな雰囲気は現場や演出にも伝播。
例えば{netabare} マミさんの必殺技名をアフレコでいきなり、
謎のイタリア語ティロ・フィナーレに変更したり…(笑){/netabare}
さらに異空間設計の劇団イヌカレーによる前衛的な魔女結界表現に関しては、
まったく歯止めがかかる気配がなく…(笑)
{netabare} マミさんが魔女を屠った後に、ティーカップが飛来して
ティーブレイクする演出を主張する {/netabare}など大暴走♪(笑)
現場では聞いてないよ~が続発したとかw…わけがわからないよ(笑)

けれどそれが聞いてないよ(怒)で作品が空中分解せず、
聞いてないね(笑)でもいいね♪やってみよう♪と、
奇跡の融合を果たしたところが、本作の稀有な点。
シュールな笑いあり、涙あり、
テキスト型ゲームの伏線爆発時に特有の
ジェットコースターの如きカタルシス体験あり、
前衛芸術ありの、まさに魔法のようなエンターテイメントが現出。
奇跡も、魔法も、あるんだよ(笑)

正直、脚本も引き重視、次回へのつなぎ重視で強引だと思う所もあります。
例えば{netabare} さやかの絶望を煽るための仁美の使い方など。 {/netabare}
けどそんなことは後から意識することであって、視聴時は刺激的な演出も相まって、
続きが気になってそれどころではありません。

特に、{netabare}3話で「Magia」を初めてEDにねじ込むタイミング、
10話でEDにOPを持ってくるタイミング。{/netabare}
この辺りは、テレビアニメの枠を使い切った名演出だと思います。
後者に関しては劇場版でもその痕跡が残りましたね♪

はっきり言って、劇場版の方が絵も綺麗だし、説明も丁寧だし、新編への繋ぎも良好だし、
何よりレンタル契約するにもコストが三分の一で済みますw

でも、その奇跡と、魔法を、最大限、味わって欲しいから…。
私としてはテレビアニメ版で続きを楽しみにしながらの
視聴をオススメしたいです。

投稿 : 2015/05/27
閲覧 : 714
サンキュー:

83

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