ムッツリーニ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
そして少年は王となる
銀英伝で有名な田中芳樹の小説をハガレンの荒川弘がコミック化と聞いて「面白くならないはずがない!」と期待していて、アニメも実際面白いんですが、コミック版ってまだ5巻くらい(まだ序盤も序盤)しか出てないんですね……
いったいどこまでやる予定なのか、そればかりが気になります。
尻切れトンボにならない事を祈ります。
↓見終わって↓
荒川氏が現在連載中の銀の匙が長期休載にはいった事とこの事が関係しているのかは解りませんが、随分と先の方まで放送しましたね。
ほぼ完結している作品のコミカライズとは言え、まだマンガになっていない部分の、それも(月刊誌なので)数年かけてようやく辿り着くような所までアニメ化するとはさすがにたまげました。
{netabare}物語自体は国を追われた王子が様々な出来事や真実と対面しながら成長を重ね、やがて国を取り戻すまでを描く、ある種完成された古典的とも言える内容ですが、シンプルであるが故に解りやすく、余り馴染みのないペルシア近辺の文化世界を舞台としながらもスルスルと飲み込めます。
ただし予定調和的な側面が強い作品でもあり、ダリューンやナルサスを筆頭に主人公のアルスラーンの側近達が非情に優秀すぎる上、敵側のルシタニア軍が内乱と自滅に近い格好で瓦解していくため、波乱や動乱とはいまいち遠くなっている点が残念ではあります。
加えて、アニメ・マンガ表現故の弊害とでも言うのか、記号的表現の限界と言うべきか、原作では時間をかけて緻密に描写されていた表現がわずか数秒で描写されてしまうため非常にあっさりとした印象になってしまう事と、表情や仕草による繊細な描写が難しい事がこの作品の魅力を引き出せていないように思います。
贅沢な事を端的に言えば、もっと面白く出来るはずなのに出来ないもどかしさを感じる作品、と言うのが私の印象ですね。ダイナミックな物語とか波乱万丈な起承転結とかそういうのではなくて、もっと些細な部分も大事にして欲しいと思いました。 {/netabare}
最終話は原作4巻の汗血公路まで。物語もようやく折り返しと言う所で終了しましたが、2期の放送も決定したようでとても楽しみです。