じぇりー さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
タイトルに「釣られ」、先入観で見るなかれ
冒頭数話は、How to 釣り アニメなのかと思い、海にも釣りにも興味のない私にとってはやや退屈な印象だったが、中~終盤に向かうにつれ、これが結構アツめの青春モノだったり、SFファンタジーモノにシフトしていったので、当初の期待値の低さに比べれば楽しめた作品となった。
このハウツー釣り部分も、終盤の展開を考えれば必要なパートで、視聴者に釣りの基本を知ってもらった上でその後のストーリーに繋げていく役割を担うと同時に、人見知りの主人公が釣りの楽しさに目覚め、釣りを通して代えがたき友人を得ていく、という過程も描かれている。
終盤はやや突飛すぎてついていけない部分もあったが、メインの題材がそもそも「釣り」という、アニメとして異色な作品であるため、まぁこんな展開もアリなのかな…と思った。
フィッシング×ファンタジーの組み合わせで考えると、案外王道なストーリー構成なのかもしれない。
にしても、終盤の超展開パートに話数を割き過ぎな印象も同時にある。その前の、少年たちの交流の部分や、逆に衝突する部分などの心理描写をもう少し丁寧に描いてくれていたら、幾ばくか最後のくだりにも感情移入が出来たのにと思うと、ややまとめ方が残念ではある。
だが私としては、この作品の中で最も惜しい!と思った点は「音楽」にある。最近視聴した中ではトップクラスに入るOPテーマ曲およびアニメーションの中毒性や、BGMの秀逸さはさすがノイタミナ!と思わせてくれるのに対し、EDテーマにスピッツの有名曲のカヴァーを持ってきた点は少々安直だと言わざるを得ない。青春モノという意味では「空も飛べるはず」のテーマと、アニメの内容が全く噛み合わないとまでは思わないが、それでもOPがあれだけ良いのだから、EDもオリジナル曲で勝負して欲しかった。
そもそもの「フィッシング」という題材、絵のタッチなど少々見る人を選ぶ作品であるとは言えよう。ただ一つ言えるのは、「つり球」というタイトルで先入観を持って見てみると、結構意表を突かれる展開が待っているということだ。それが、良い意味でか悪い意味でかは見る人によって変わるだろうけども。