ichinana さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
萌エ○ロ折衷・・・でも至高の作品です
岡本倫先生の原作漫画のアニメ化です。
萌え×エロ×グロと色々混ざっていますが、海外での人気は大変高いです。
そもそも萌え×エロですら嫌悪感を示す人がいるというのに、そこにグロをトッピングした日には視聴者層が制限されてしまうのは致し方のないことでしょう。ですが私は本作を隠れた名作として多くの方にお勧めします。
アニメはExtra含めて全14話。アニメオリジナルな点もありますが大筋は原作に準拠しており、各話も丁寧な作りになっています。特にアニメ化最大のポイントはOP曲LILIUMです。
LILIUM・・・英語ではlily・・・一気に宗教色が強くなります。本作が海外で高評価で日本ではイマイチなのは、このキリスト教的世界観が受け入れられるかどうかも多分に影響している気がします。
百合の花、「処女・純潔・清廉」のシンボルであり、アダムの最初の妻リリス(Lilith)が語源ですね。その後彼女は堕落したため(理由はかなり非道いので興味のある方は調べてみてください)、百合は大天使ガブリエルの表象になります(有名な受胎告知の場面ではガブリエルが聖母マリアに百合の花を授けています)が、lilyという単語は残りました。反するものを残す、キリスト教らしい慣習です。
おそらく原作のメインテーマは「種の保存」と「異種間の恋愛」の二律背反だったのでしょう。アニメ版ではさらにOP曲で宗教的な教示を加えることで、視聴者に多角的な視点を与えることに成功しています。この点については、やはりキリスト教圏内の人々の方が感じ取りやすかったのではないかと思います。ですがエヴァみたいな複雑な暗示や伏線があるわけではないので、そこまで構える必要はないはずです。
原作も含め、萌えアニメ寄りの画風、フェティシズム的なエロ、そして容赦のないグロ描写など確かにアニメを見慣れていない方が視聴を続けるにはハードルの高い作品です。しかしその外面とは対照的に、本作の内包するテーマは重く、またその描写方法も非常に秀逸です。“ストーリーを重視してアニメ楽しみたい”という方には、是非一度視ていただきたい作品ですね。