じぇりー さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
毎話落涙してしまった
それまで女性子供との関わりが希薄な生活を送っていた男が、他界した祖父の隠し子を引き取り急に子育てをすることになったというハートフルなヒューマンドラマ。
母親に見捨てられた幼女・りんは、普通ならその隠し子という忌むべき存在故に誰からも引き取られず施設送りになってもおかしくない状況だった。それがどういう訳か、そんなりんを不憫に思ったか同情したか、保護者となって育てる決意をすることになった男・大吉。この2人を中心に物語は展開していく。
本作は、そんな大吉の子育てに悪戦苦闘する姿と、徐々に情緒豊かでしっかり者に成長していくりんの姿がほのぼのと描かれている。
毎話、大吉のりんへの優しさや愛情・りんとの生活の中で気付きを得ていく場面と、りんの天真爛漫な姿に落涙してしまった。いや、このアニメは恐らく涙を誘うよう意図して作られたものでは本来なく、普通なら見ていてほっこり癒される場面でも、なぜか私にはりんの健気さや無邪気さがいじらしくて泣けてきてしまうのだ。
やはり子育てとは子供だけが育っていくものではなく、大人(親)も成長させてくれる人生において貴重な体験なのだと、改めて本作を視聴して感じた。
大吉がりんの子育てを通じて、他の周囲の人々(親族、会社の同僚、りんの同級生の親たち)との関係性にも変化が現れる点も非常に良く描かれていた。
子供を育てるということになると、それに真剣に向き合えば向き合う程、生活の軸は子供中心になっていく。大吉もその例に漏れず、子育てのために仕事やプライベートな時間を犠牲にしなくてはならない訳だが、その状況を大して苦に思わず、りんの成長を手助け・見守る生活を楽しんでいるようにさえ見える。
とはいえ、大吉とりんは戸籍上も血縁上も本当の親子ではないため、大吉の存在があくまでりんにとって「父親」ではなく「保護者」となっていることで、この作品が「家族」を描いたものであっても「親子」を描いたものでないという点を忘れてはいけない気がする。
つまり、子が生まれて親になれば必ずついて回る「子育て」という期間を、敢えて不器用な独身男がチャレンジしていくというところにこの物語の良さや、だからこそ浮き彫りになる子育ての難しさや得るものの大きさみたいなものがあるのではないだろうか。
本当に自分の涙腺はどうかなってしまったのかと思う程、特典映像のショートストーリーでさえも泣いてしまった。とにかく万人にお勧めしたい作品!