玄 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
君と過ごした季節
2周目を見てみて、この作品に対しての感想がちょっと変わりましたので。「薄味」を意識して、書いてみました。
◆この作品で描きたかったこと◆
四月は出逢いと別れの季節。実は私も今年の春、とてもつらいことがありました。「あの楽しかった時間は、あの張り裂けるような思いは、何だったんだろう。」「この悲しみの先に、果たして何があるのだろう。」散りゆく桜を見つめながら、そんなことを考えていました。
けど、ある日気づいたのです。あの別れを境に、自分の感受性が豊かになっていることに。前よりも楽しく、アニメを見ている自分がいることに。
悲しみは人を成長させる。これは公生もいっしょだったと思います。母の死。そして、かをりとの出逢いと別れ。君と出逢って、モノトーンの世界がカラフルに見えた。君と二人で、いろんな景色を奏でてきた。だからこそ、立ち上がれないほどに苦しかった。
でも、君にひかれてもう一度立ったステージは、これまで以上に悲しく切なく美しく、カラフルな音であふれていた。そう、かをりとの別れが、公生に演奏者としての力を与えてくれたんだと思います。
君がいる。君と過ごした季節は、公生の音楽の中に生き続けるのかもしれません。
◆個人的感想◆
でも、残念ながらこの作品は私のお気に入りにはなりませんでした。それは、私には味付けが濃過ぎたからです。
多用されるデフォルメされた絵。ちょっとクドい詩的な言い回し。音だけでは純粋に楽しめない演奏シーン。演奏に関しては私のクラシック音楽に対する無知が大きいのですが、切ない作品なので、もう少し淡めな表現でもよかったのかなと。いや、わかりやすくていいんですけどね。
この作品をケーキにたとえると、砂糖を入れ過ぎたフルーツタルト。私はもっと、素材をいかしたミルクレープが食べてみたかったです。そしたら間違いなく、トップクラスだったのに。
◆まとめ◆
この作品は良くも悪くも、たくさんの感動が詰まっていると思います。あとは、それぞれが、それぞれの想いを重ねて、何かを感じられればいいんじゃないのかなと。
別れの大切さを教えてくれた原作者に、誠実に作ってくれた制作スタッフに、心から感謝です。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。