Ellue さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
何度躓いてもまた前に進んでいく強さを感じ取れる傑作
原作未読。
競技カルタと言うマイナー競技を主題にしていて
それが表立ってきているのですが、
私は非常に中身の濃い物語とバランスのとれた設定が
この作品の魅力だと思いました。
物語の印象としては、登場人物達の繋がりや友情、成長が
丁寧に描かれており、それがこの作品の土台であったと感じます。
そこに競技カルタという珍しい装飾を加えることで
面白くさせているといった印象です。
そして、その土台である部分の出来が非常に素晴らしく、
毎回のように感動させられるエピソードが多いのです。
主人公である千早と幼友達の太一、千早にカルタを教える新が中心人物。
物語が進むとカルタ部を創設するのですが、そこに入部することになる
3名を含め、主人公だけにスポットが当たらずに
バランスよく他の面々にも話が振られており、
それぞれの成長やカルタへの想い等が描かれています。
逆に描かれそうで描かれなかったのが恋愛面。
主人公であり恋愛対象となるべき千早の恋愛に鈍感な性格のせいもあって、
太一や新の心の内を描写することはありますが、その数は決して多くありません。
そのあたりがスポ根に観られる要素かもしれませんね。
物語の見所は後半だと私的には思います。
前半は順調すぎるほどに部の創設や
競技カルタで全国大会出場など何事も成功していきます。
特に千早は「感じ」と言う音への反射神経の良さ、
その才能のみで勝ち続けていくのですが、
中盤以降、カルタでの対戦相手が強くなってきて
それだけでは通用せずに壁にぶち当たり負けが込んで来ます。
負けるたびに泣いたり落ち込んだりするのですが、
立ち直りながら強くなろうとするあたりが私は好きです。
千早に限らず、他の部員が部員が負けた時も励ましあいながら
また前に進んでいくと言う姿勢に心を打たれます。
主人公無双であったりする作品も多い中、負けながらも成長していくのが、
この作品を見ていて惹きつけられた部分の一つでした。
キャラクターも魅力の一つです。
主人公である千早は一つのことに一生懸命になって周りが見えなくなる性格。
その性格は作中でも残念美人と揶揄されていて、
空気の読めなさとかに嫌悪がある人もいるかもしれませんが、
この不器用さこそがこの主人公の魅力なのかな、って私は思えました。
そして、太一。
この作品の最初と最後で大きく見る目が変わるであろうキャラクターです。
千早がカルタの成長を描かれているのだとすれば、太一は人としての成長が描かれています。
小学生編では…まぁクソガキですw
高校編に入っても最初は特にいい印象はなかったのですが、
部長になって部の中心として部員をまとめたり、
カルタと真摯に向き合い始めて変わっていきます。
特に後半のイケメンっぷりはもう別人のようですw
部の他のメンバーも百人一首の歌が好きであったり、
自分の居場所を得る為だとか、カルタへの想いが断ち切れなかったり、
それぞれの思いを持って入部してきて、
そう言う描写も丁寧で分かりやすいので印象に残るものでした。
カルタのやり方にもそれぞれに個性を持たせていて
影が薄くなるようなキャラもいない絶妙のバランスでした。
音楽は雑音を極力排除する競技カルタを題材にしているのもあって
無音の緊張感を持たせたような場面も多く、劇中での音楽は全く印象に残っていませんが、
OPは競技している感じの疾走感がある曲、EDは作品に沿った曲で共にいい曲です。
作画は癖はないと思います。
インパクトに残る凄さとか美しさと言うのはありませんが、
無難な万人受けするものだと思います。
声優については多分、主人公の千早は意見の分かれるところなのだろうなと思いますが、
最後にはこの人しかいないんじゃないかと思えるほど馴染んでくるものだと感じました。
どのキャラにも合った声優が配されている印象です。
全話通しての物語の素晴らしさもあるのですが、
各話毎にも感動してしまうような構成の凄みにも注目して観てください。
何度も躓きながらもそれを糧にして前に進んで行くと言うところが
私がこの作品から感じ取れたところで好感が持てる部分ですが、
スポ根らしい熱い展開とかも見所の一つであり、涙あり、笑いありで
色々な面を見せてくれる素晴らしい作品だと思います。
二期もあるようですので期待して待っています。