DOLLmimoza さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
不思議な世界観が好き
2001年に劇場公開され、当時見に行った。DVD化された時に映像が
赤っぽいなどと騒がれていたようだが、特に気にもしなかった。
その後何度も何度もTV放送されるし、認知度は相当高いと思う。
2014年「アナと雪の女王」が大ヒットし、「千と千尋の神隠し」の
歴代興行収入トップを抜くのでは?とさえ言われたが、
結局1位の座は奪われなかった。
スタジオジブリの記録的大ヒット作であり、今でも語り継がれている
作品である。
小学校を転校する千尋が、両親とともに車に乗って移動するシーンから
始まる。
前の学校の方が良かったとぶーたれる千尋。なんかマガママそうな
女の子の印象…歴代宮崎アニメのヒロインにしては少々ブサイクな感じ。
当時思わなかったがこの千尋役の柊瑠美。子役やってた女優だが、
今見ると声優としては棒というか素人くさい。まあそれが10歳の
千尋としての味わいだとも思えるが…。
他のキャスティングは俳優畑の人たちばかりだが合ってるし上手かった。
千尋の父役:内藤剛志さん 千尋の母:沢口靖子さん
ハク:入野自由(みゆう)元々子役出身。ジブリ作はこれ1本のみだが
深夜アニメ枠に移行~「電波女と青春男」丹羽真「あの花」じんたんなど
多くのアニメで知られる。
釜爺:故・菅原文太さん 湯婆婆&銭婆:夏木マリさん 歌手・女優。
まさかこの人がアニメの吹き替えするとは思わなかった。
湯婆婆と銭婆を演じ分けていたのは流石。
湯婆婆と銭婆の語源は「銭湯」だと思われる。すぐ気がついた。
坊:神木隆之介 俳優とジブリアニメの両方に活躍している。
リン:玉井夕海さん 宮崎さんの東小金井村塾の塾生とか。
リン役ピッタリで上手い!と思った。
「テーマパークの残骸だよ」と言う千尋の父親。
「めめ」「三千眼」などと奇妙な看板の店。
とても変な雰囲気と外観の商店街である。
ゲゲゲの鬼太郎の作者で有名な、水木しげるさんのアシスタントを
していたつげ義春さんという漫画家がいるが、その人の描いた
「ねじ式」という作品にこの世界観とそっくりなシーンがある。
宮崎監督は「ねじ式」を参考にしたんだと思われる。
作品が当たった要因はこの世界観にもあると思う。
摩訶不思議な世界。八百万の神々が存在し湯婆婆の湯に浸かりに来る。
そこに紛れ込んだ人間の女の子千尋=千の成長話。
両親が勝手に神々用の食べ物を食べてしまい、豚(リアル的な作画だった)
にされたことで見ている人を惹きつける。
当初、端役扱いだったカオナシは主役の千尋を完全に霞ませるほどの
インパクトキャラとなった。カオナシなくして大ヒットはなかっただろう。
「あっ、あっ、」としか言えないが、他者を飲み込むことで
その者の声で喋ったりできる。千尋を気に入ったらしく何かを
やたらと与えようとするのは単純だからか?薬湯の札とか砂金(実は泥w)
他者を飲み込んだのは養分にするためではなく、自分表現の
代理なのかもしれない。千のニガ団子を食べさせられ全員吐き出してるし。
カオナシとは寂しがりで、自己表現が苦手な現代の人間を
表しているのかもしれない。
ハクを救うために銭婆の所に千がカオナシと一緒に
電車に乗って行くシーンがとても好きだ。情緒感溢れる
音楽もとてもマッチしていた。あのシーンは絶賛したい。
これまでの千尋が異世界で体験してきたことは夢ではなく、
現実であったことを比喩しているシーンで(銭婆と坊ネズミ、
ハエドリらで紡いだ紫の髪留めがキラッと光る)
締めくくっていたのも良かった。
キャラ設定も良く、摩訶不思議な世界観が
うまくまとめていたジブリアニメであった。
頂点となったこのアニメを今後ジブリで作るのは
ムリだと思うほど個人的にも面白かった。
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ちょっとした疑問:湯婆婆の息子は坊(デカ過ぎる赤ん坊だ。
正直キモイww)父親は誰だ?
ハクが名前を取り戻してるから湯婆婆と話付けると言って
最後千尋を人間界に返すが、あの後湯婆婆に八つ裂きにされた…
と密かな後日談が世間ではあったが、それは都市伝説と捉えておこう。
宮崎監督がインタビュー等でふれていたならまだしも、
製作者ではない一部が、脳内補完した戯言を広めたに過ぎないと
思うからである。