空知 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
物事を真剣に考えるとこうなる
2017年8月20日追記
2017年9月20日、第12巻(ガガガ文庫)が発売決定です。
既に予約可能な状態になっています。
なんと、最終刊ではないらしい。
原作既読。
以前のレビューを更新します。
原作が終わった段階で、きちんとまとめるつもりでいたのですが、原作者が最終刊を出す気配が全くありません。
まず、この作品に対して一部の人達は「ひねくれボッチの物語」と言います。
確かにひねくれていますが、八幡の考え方はある意味、青春期なら誰もが抱く(少なくとも僕は抱いた)社会(学校の仲間を含む)と大人への反抗精神であり、その反抗精神的理論武装がちりばまられた作品です。
まあ、大人から見れば稚拙ですけど。
ですが、
大人が反論できず言葉に詰まる部分があります。
そういう青年の純粋さをテーマとして扱っていることがこの作品の魅力です。
私たち大人は時に青年期の反抗精神を振返って、社会の常識に慣れてしまった自分を見直す必要があると考えるときが僕自身にあるんです。
だから僕はこの作品を高く評価したかった。
結衣は八幡に言います。
「すぐにネガティブになるんだからぁ」と。
そう、世間というのは楽観的に生きたほうが楽に決まってます。
答えのない疑問に悶々とするよりは、何も考えずにのうのうと生きていたほうが楽なんだ。
ですが、八幡は常に問い続けます。
「本当にこれでいいのだろうか?」
「俺が求めているのはこういうことなんだろうか?」と
はい、実に青いですね。実に青い。ですが、こういう自らへの問いかけを忘れた人間は、事象への自己の「意味」などより「損得」だけを考える大人へと成長していきます。
でもこれは悪いことではなく、誰もが経験することであり、自然なことです。
ですから、八幡は考えに考えて自己矛盾に気付くのです。
「そういうお前自身、自分を一番大切にしようって考えている時点で汚い大人と何ら変わらないだろう」と。
じゃあどうしたらいいんだよ?
ってのがこの作品のテーマです。
よく思うのです。
「もっとポジティブになろうよ」なんて言葉を吐く人ほど『人生をより良く生きるための○○の法則』みたいな本を何度も読んでいるような、実は悲観的人間であることを私はよーく知っています。
八幡はそういう欺瞞を見抜いている。
青年というのは、経験はなくともウソは見抜ける。
それが若者です。
こういう反抗精神は理解してやりたいと僕は思います
「ネクラだな~」
「ネガティブだね」
「あいつってボッチなの?」
違う違う、一旦きちんと落っこちた所からでないと自分の成長ないんだよ。
って教えてあげたい。
この物語は、作者自身が「ひねくれボッチ」とか言ってますけど、僕は敢えて「あんたそんな視点から原作書いてたの?」と反論したいです。
円盤では、声優さんにまで会場に来た人たちに「みなさん、ボッチですか~?」なんてノリでガッカリでした。
八幡は、「群れを作る」ことを極度に嫌う。
仕事してても群れを入るとろくなことがないものですが、そういう社会風刺の部分もあります。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』という作品は内容的にサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』と同様、青春期の反抗精神と複雑さに似ています。
書けないのか、書く気がないのか、どちらかなのかは分かりません。
作品の終わりを永遠のテーマとして放っておくというのは、サリンジャーがやった手口です。
原作者は作品中でサリンジャーを純文学者として取り扱っていますから、自らを神格化したいという思いがあるのかもしれません。
そこまで思い上がってはいないよね、渡先生?
サリンジャーみたいに謎めいたことしてたら「あの作家はすごい!!」なんてことはラノベでは起きないから、絶対起きないから(笑)。
最終刊を書いてくださいね(^^;)
原作者としての責任ですよ。