ビアンキ さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
アニメ映画「ニモ」本編は未視聴
「じゃあなんで評価してんだよ!」
というこの感想文を閲覧してくださった方々の疑問にお答えしますと、
わたしが見終わり、ここで評価したいのは 「近藤喜文監督のパイロットフィルム版」です。
あにこれ内にこの作品の感想を書ける場所がなかったのでここに書きますが、あにこれにとってルール違反に当たるようであれば削除なりしていただいてかまいません。
2014年 アニマックスの夏期間の特番内で視聴。
パイロットフィルムなので作品そのものは3分ちょいくらい、短いです。
内容は
就寝前、寝間着姿でベッドの横のテーブルの上の飛行機のおもちゃをいじる少年、突然ベッドがぐらりと動く。
瞬間、少年がベッドの方に何気なく目をむけると、ベッドは浮いており、何故かそのベッドの上に赤い帽子、茶髪の髪の見知らぬ?少年が!
「ジャンプ!」見知らぬ少年がベッドに乗れと手を差し伸べる。
その手に引かれ寝間着姿の少年は浮いたベッドの上へ。
徐々に高度を上げ、天井まで浮き上がるベッド、
見知らぬ少年がいう。「レディー」
「テイクオフ!」
その一言でベッドは一気に高度を下げ、床に…
悲鳴をあげた次の瞬間、寝巻き姿の少年がベッドの上で見たのは、月明かりにてらされた夜の外国(地理的な知識のない私にはどの国か分からない…)の街並み、いや異世界だった…
こんな始まり。
この異世界の表現とベッドや飛行機で空を飛ぶ浮遊感が素晴らしい。
まず異世界の表現。
このパイロットフィルムの監督がジブリ作品 「耳をすませば 」の監督であり、スタジオジブリ内でも実力者だったとされる近藤喜文氏だからだろうか。
このパイロットフィルムでの水の表現、ジブリ作品のように生きているようである。
浮遊したベッドの底が、石が水を切るように水面につけば、水は弾力を持ち、トランポリンのようにベッドを弾く。
見知らぬ少年が乗る飛行機の底の車輪が水面を切りつけると、水は飛行機の動く通りに水上に水の壁を作る。
その水上にできた水の壁にベッドがぶつかると「 ドボン」 という音を持って水の壁は崩れ去る。
そして後半、月明かりの中で水の中に沈む、いや 水に覆われているビル群。そんな景色をベッドが駆け抜ける。
これは本当に綺麗だった。もう何か文章じゃ書けない(笑)
この外国の街並みの異世界で使われている、光の表現も素晴らしいものだった
キラッと一瞬光る 電車のライト。
薄暗い夜の町並みの中で、ビルの窓や街灯から覗くオレンジの光。
そして視聴者に強いインパクトを与えるであろう巨大な月。そして その月の美しい月明かりが本作そのものも明るく、妖しく、美しく印象付ける。
ベッドや飛行機の浮遊感。「ぶわっ」という強い風の音と共に、水や光の表現同様非常に丁寧に描かれた、風になびくベッドのシーツ。飛んでいるベッドや飛行機に近い、あるいは手前に迫ってくるようなカメラワークは強い臨場感を出している。
飛行中流れるクラシックの音楽も疾走感、浮遊感を生み出す一因だろう。
このパイロットフィルムの最後 、寝間着を着た少年のベッドはビルにぶつかり、ベッドは壊れ、少年は海上いや、宇宙へ落ちていく。
そして寝巻着の少年は現実へ戻り、ベッドからずり落ち、今までの異世界の冒険が夢だったということがわかる。
3分ほどで綺麗にまとまった素晴らしいパイロットフィルム いや、作品だった。
どこかで見る機会があれば是非見て欲しい一作である。
下手くそな文章お読みいただき、ありがとうございます。