「ユリ熊嵐(TVアニメ動画)」

総合得点
63.4
感想・評価
542
棚に入れた
2355
ランキング
4370
★★★★☆ 3.5 (542)
物語
3.4
作画
3.6
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.5

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

一見難解だが実は素直で分かり易い物語。「愛」がテーマの寓話、お伽噺?

「少女革命ウテナ」「輪るピングドラム」の幾原邦彦監督作品。
幾原監督作品らしく、かなり奇妙で難解な世界観やストーリーをもって、百合(女の子同士の友情や愛情)が描かれる。

極めて奇抜な作風故に好みが割れそうです。
尻上がりに面白くなっていくので、下手に考察に悩まず、頭カラッポにした方が楽しめるかも?
…タイトルに反し、テーマは意外と「百合」では無いかも。
「シムーン」が意外と百合とは言えないのと似ている。
※シャベール大佐さんのレビューが一番参考になりました。

{netabare}『物語』
人間(というより少女)とクマ(人間の少女に化けられる)との、禁断の愛と友情を描いた、寓話のような、お伽噺のような、不可思議なお話です。
その奇抜な世界観や雰囲気、「断絶の壁」「透明な嵐」「百合裁判」等々の謎ワードの数々…
序盤から混乱は必至の展開続きます。
…かなり考察のし甲斐のある作品で、ネット上には多くの優れた考察あって参考になります。

でも…私はあえて考察はしません。
本作は「下手に難しく考えずに、雰囲気を楽しんでいく」方が良い気がしました。
この独特な世界観や雰囲気が妙に魅力的で、ワケ分からんなりに惹かれたです。
(この時点で惹かれるか否か、各々の好み次第でしょうか)

全体構成は結構親切で、頻繁かつ計算されたタイミングで繰り返される「カイソウ(回想)」シーンで、少しずつ物語の全貌が見えてくる感じ。
分かり易いです。
ちゃんと視聴していけば、ちゃんと物語に入っていける。ちゃんと制作者の意図が伝わる。
「少女革命ウテナ」「輪るピングドラム」に比して遥かに親切な作品だと思う。

本作のテーマも意外に素直で、人とクマ、女の子同士…という禁忌を軸に、愛…もっと広い意味での友愛や慈愛も含んだ愛を描いていたのでは。
クマ等の摩訶不思議な世界観は、現実との乖離つまり空想ファンタジーにする事で、現実を離れて「愛の普遍性」を表現していたように思えました。
※「シムーン」という、世界中全員が女という世界観の百合アニメありますが、シムーンの狙いが多分男を排す事でよりピュアに友情ドラマ描き出す事だったのでは。
ユリ熊嵐もシムーンも、実は百合アニメであって百合アニメではない。

※「シムーン」とは別ベクトルで…
「ヨスガノソラ」というアダルトゲーム原作のアニメで、実の兄妹の禁断の愛を描いてましたが、オムニバスで色々な境遇の少女達との普通(でもないのだが)の恋愛の後に満を持しての禁忌を対比させて「近親相姦という禁忌であっても愛は普遍性を持つ」的な主張を感じました。

アニメとは即ち空想、現実とは乖離したファンタジーであり、現実では有り得ない世界だからこそ逆に現実よりピュアに描けるテーマもある。
ユリ熊嵐もまた、あまりにも現実離れした空想ファンタジーな世界観の中にこそ、現実にも通じるより純粋な感情や関係性を描きたかったのではなかろうか。
後述の作画や演出も含めて現実離れしたお伽噺調の雰囲気そのものが、全力でソレを表現している。
…しかも、意外と分かり易く。(分かり易いというのは重要です)
細けぇ事はいいんだよ!あまり小難しく考えないで、彼女達の心情を素直に見守るべし。
一見奇抜でも、最終的にはちゃんと伝わるよう計算されてますから!

本作の細かいストーリーは記述しません。
ただ…紅羽、銀子、るる…彼女達の純粋な想いや愛は、回を経る程にしっかりと伝わりました。
真相が判明していく後半以降、思わず涙腺緩むくらい泣ける名場面も。
ああ、そうだったのか…!ああ、あの時彼女はそんな想いだったのか!
本作は一度の視聴では無く、真相知った後の二週目の方が、もっと胸を打ちます。
時系列バラバラでカイソウで情報小出しにする構成は初見だと戸惑いますが、終わってみれば、素晴らしく絶妙に計算された構成だと分かります。
それでいて、意外に素直。そんなに難しいお話じゃないですよ。
素直で当たり前の物語でした。
それをワザと小難しくした…というイジワルな見方も出来ますが。
そうではない。
奇抜な雰囲気や構成で煙に巻きつつ、実はかなり完成度の高い物語です。
私的に名作の条件は、二週目以降でも面白い事。本作は名作です。


『作画』
寓話のような、お伽噺のような摩訶不思議な雰囲気がしっかり表現されています。
これぞアニメーションならではの世界。
小説や実写ではこういう作品世界は表現不可能でしょう。
キャラデザもクマも可愛いです♪

『声優』
荒川美穂さん、生田善子さん、山根希美さんの三人が独特なキャラクターをしっかり好演されてました。
後半以降の山場での演技は胸打たれる熱演もあり。

悠木碧さんの悪女キャラは意外な好演でした。
諏訪部順一さん、斎賀みつきさん、 山本和臣さんの裁判三人衆もインパクト大。
山本和臣さんは「美男高校地球防衛部LOVE!」のゆもと君、きらきら~♪がハマリ役でしたw

『音楽』
OP「あの森で待ってる」が非常に本作の雰囲気とテーマ体現していて良いです。
ED「TERRITORY」も終わってみると、しっかり主題歌していた事が分かります。
「ショオーック!クマショック!」等の奇抜かつ記憶に残る演出も含め、音楽面の魅力も非常に本作に貢献しています。

『キャラ』
あえて詳細な記述はせず…
主要三人娘が非常に可愛い。
椿輝紅羽(つばき・くれは)ちゃん、正統派の美少女です。昨今のアニメで中々居なくなった、正統派の美少女。
るるちゃんは健気で一番泣かせてくれました…。
銀子ちゃんが心情的に一番共感出来たです。

ユリーカ先生も哀しき女よ…
彼女は本作全編において「反面教師」の損な役回りかも。

百合裁判三人衆がインパクト大。記憶に残るキャラ達でしたw
全般にお伽噺の登場人物っぽい雰囲気でした。


『追記』人を選ぶ作品っぽい
2015年5月15日現在、あにこれの500文字以上のレビュー拝見しましたが、文字数多い熱心なレビューは概ね高評価多い。
その割に平均点低いのは、文字数少ないレビュアーは低評価多かったという事。
つまり、気に入る人は熱心に気に入り、そうでない人は早々に見切り付けた。
顕著に賛否両論な作品のようです。{/netabare}

投稿 : 2015/05/15
閲覧 : 367
サンキュー:

46

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