29号 さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
名作になり得る要素を秘めた作品
原作は弐瓶勉氏による同名漫画。
原作は未読です。
監督は名探偵コナンの劇場版を数多く手掛けている静野孔文氏。
個人的に最も気になったのが、アニメーション制作を担当したポリゴン・ピクチュアズ。
国内外問わず映画やCMなどの3DCGを数多く手掛けた老舗会社で、押井守氏が監督を務めた「イノセンス」や「スカイ・クロラ」などにも参加されています。
今回のシドニアの騎士にて本格的に日本のアニメーションに参入したようです。
全12話。
さて内容ですが、
ストーリーは奇居子(ガウナ)と呼ばれる謎の生命体により太陽系が滅ぼされてから1000年後の話。奇居子との戦いを通しての人間模様や過去との柵なんかが描かれています。
{netabare}
遺伝子操作による人類の光合成や、クローン技術、不死など近未来的な要素も含まれています。
{/netabare}
作品の設定や雰囲気は「マクロスF」や「新世紀エヴァンゲリオン」のような未知との生物との戦いで、その未知の生物には何か裏があるがあるなというものを感じさせる作品です。
やはり注目すべき点は、作画というか3Dでしょう。3D作品を好まない方は多いと思いますが、宇宙を題材にしたSF作品とはやはり相性がいいですね。建物や構造物のスケール感や宇宙での戦闘シーンや街の風景、背景などはクオリティが高いですし、宇宙服の小さいキズや汚れなど仕事が細かい。
この2点は圧巻ですね。
ただ、キャラクターもCGってのは少し気になる所ではあります。
まぁキャラクターに関して言えば、CG云々ではなくデザインの方に少し問題があるかなと…。
キャラ1人1人の顔に特徴があまり無く、慣れるまで見分けるのが難しかったです。原作を確認すると結構のっぺりとした顔だったので、アニメの方がまだ見分けがつくかもです。
そしてもう1つ気になったのが、キャラクターの設定です。
戦闘もののレビューでは大体触れていますが、「なぜ闘うのか?」これがあまり感じられませんでした。
{netabare}
主人公の谷風長道は地上ではなく地下で育っているため、そこまで地上には愛着がないのでは?と思ってしまいます。
確かに1部キャラによくしてもらうような描写があるものの、自らの命を賭けてまでココを守りたいって強く思えるだけの材料が少な過ぎる。それならまだ機械的に殺戮を繰り返すマシーンのような存在の方がしっくりくる。
地上ではなく外部との接触が皆無な地下で育ったためにコミュニケーションスキルは低いと考えるのが普通ですが、すぐに周りに馴染んでます。ここは少し違和感を感じます。
好奇心旺盛な感じの言動や、振る舞いから地上のある程度「作られた人々」とは違い純粋な心を持っているって事をアピールしたかったのでしょうか?
にしても少し疑問に感じる設定です。
{/netabare}
他のキャラクターも全体的に語られてない部分が多いため、少し感情移入し辛い部分があります。
過去に何があったのかという点も含めてその辺りは2期に期待したい所です。
個人的にはシビアでダークな展開は好みなのでまずまず満足のいく内容でした。
途中鈍感主人公のハーレム路線突入っぽい雰囲気になりそうでしたが、伏線のようなものが少なく、寧ろわかりやすい死亡フラグが結構あります。設定や世界観が少し特殊でまだ未知の部分が多いのでこのぐらいが丁度いいのかもしれませんね。
{netabare}
12話の主人公が岐神の家に行くシーンは2期の伏線のような気がするのでひっそり期待したいです。
{/netabare}
最後にangelaが歌うOP「シドニア」が凄く良かったです。軍歌を現代風にテイストした感じで、作品の世界観に非常にマッチしています。癖になるサウンドなのでこちらも注目していただきたいです。
現時点では名作になり得る要素を秘めていると思いますので、願わくば置きに行った中途半端なハッピーエンドだけは勘弁していただきたいです。