GCR さんの感想・評価
2.3
物語 : 1.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 1.0
状態:観終わった
アンドロイドとの思い出が、人命より尊重される世界
あの「シュタインズ・ゲート」の脚本を担当した、林直孝氏脚本によるオリジナルアニメ作品。
以下の特殊な設定に基づいた、ハートフルなラブコメだそうで。
・ギフティアという人間と見分けがつかない、心を持ったアンドロイドが普及している近未来の世界
・ギフティアには耐用年数があり、81920時間(9年4ヶ月)経過すると記憶や人格が壊れ始める
・耐用年数を完全に過ぎると”ワンダラー”という暴走状態になり、体のリミッターが外れ、車を片手で持ち上げられるような人間の数十倍の運動能力を持ち、人間を襲うようになる
・ギフティアには人権が認められていて、GPSや強制停止装置等は搭載できない
・ギフティアに人権はあるがSAI社という企業により販売(レンタル?)されている
主人公ツカサは、そんなギフティアを耐用期限前に回収する、SAI社の第一ターミナルサービスという部署に所属されるのだが
第一TSでは予め余裕を持って、半年や1年前位に回収すればいいものを、「ギフティアと顧客の思い出」を重視する為、ワンダラー化の危険を顧みず、回収期限ギリギリ迄回収しない。
{netabare}
そのせいで、3年前にギフティアをワンダラー化させてしまい、社員1名が足に重傷を負い義足化、事態収束の為、Rセキュリティ社という私設軍隊が投入されギフティアを顧客の目の前で射殺するという大惨事を起こす。
そんな悲劇があったにも関わらず、3年後にまたツカサ達第一TSは大失態を犯す。
マーシャという8歳の小学生ソウタの親代わりになっているギフティアを
(寿命9年しか無いのに、小学生の親代わりさせるなよ…)
思い出づくりの為、無駄に回収を長引かせた結果、闇回収業者(笑)に拉致されワンダラー化させてしまう。
マーシャは超人的な身体能力で暴走した後、ソウタに襲いかかり首を絞め
消えることの無いトラウマを植え付けた挙句、目の前でドミネーターのようなビームガンで強制停止させられる。
すべて迅速な回収を行えば防げたのに、無駄に回収を長引かせた第一TSの責任である。
その他に、第一TSの連中は事ある毎に、Rセキュリティが諸悪の根源的な発言をするが
少なくとも劇中では彼らに非は一切見当たらず、むしろ事態の収束に多大な貢献をしている件や
そもそも闇回収業者は、あんな危険なアンドロイドを回収してどうするつもりだったのか?という疑問点や
Rセキュリティによって封鎖された区域に、小学生のソウタがどうやって移動して侵入できたのか等の
見過ごせない矛盾点が多数散見されるも、完全にスルーされた。
その後6話で、ソウタとマーシャの事件は
「あんな結末になったが、一般人に被害が出なかったのは不幸中の幸いだった」(原文ママ)という一言で片付けられ
誰が責任をとったのか等の事件の詳細については語られず
ソウタに対しての具体的なフォローは作中で提示されず
ツカサが何故かスーツ姿でソウタに頭を下げただけで一件落着。
ポリシーの「思い出づくり」の為に回収失敗した結果、顧客の小学生にトラウマを植え付けて仕事を大失敗しているにも関わらず
第一TSの連中は事後対策を練るどころか、反省する素振りすら見せず
ヒロインのアイラは、ツカサの本当のやさしさ(笑)に気付き本格的に惚れちゃいました
愉快な第一TSの先輩達は、そんな彼等を優しく見守りつつバックアップするのでしたという、薄ら寒い茶番劇で幕。
そして次回からは、待望のイチャコラ展開のスタートだぁってふざけんなよバカヤロウ。
その後は、反社会的勢力(マフィア)にギフティアをリースしていたり
会社の備品のギフティアとのお別れ会をするため、顧客のギフティア回収を前倒しする等の
珍設定はあったものの、特に特筆するようなエピソードもなく
最終話まで、山も落ちも意味もないラブコメもどきの茶番劇を見せられただけで終了。
{/netabare}
製作者曰く「ハードSFでは無く、ハートフルなラブコメとして見て欲しい」との事だが
あまりにも稚拙なSF設定や、現代の我々の一般常識と乖離し過ぎている倫理観が
ご都合主義という言葉では片付けられない程に、嫌でも目に入ってくる為
とてもではないがこのアニメを「ハートフルなラブコメ」とは見れない。
そもそもこんな殺人機械売るな、将来ターミーネーターになって殺しに来るアンドロイドに恋なんて出来るわけ無いだろう。
とにかく、物語の整合性や設定の破綻等が許せない人や
「シュタインズ・ゲート」の様な物語を期待している人には本当にお勧めで出来ません。
最終話まで見終わった感想は、本当に何のひねりもない、誰もが思い付くような陳腐な結末で
果たしてこの脚本をアニメ化する意味が本当にあったのか、甚だ疑問である。