sherlock さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
地球に寄生する“人間”という生き物…
このアニメはパラサイトと呼ばれる“寄生”生物の登場で物語が始まる…
彼らは生きるために人間に“寄生”し、一方的に人間を喰らうが、
他方ではミギーと新一のように互いの命を守るために“共生”する関係も存在していた
共生とは大きく
相利共生・片利共生・片害共生・寄生の4つに分けられ
ミギーと新一は相利共生の関係にあると言えるだろう…
では、生物種間で考えたときにパラサイトとヒトはどのような関係に当たるのだろうか?
これこそがこの作品の一番大きなテーマと言えるだろう…
この問いで重要となってくる人物(ややこしいのでヒトという扱いでw)は田宮良子である
彼女は18話より無抵抗で人間に殺される前にこう言い残す…
「我々はか弱い…だからあまり虐めるな…」
自分達は人間をあっさりと殺すことができるにも関わらず弱いと感じているのだ
それはヒトの中に潜む{netabare}“種を守るためには手段を選ばない残酷さ”{/netabare}を垣間見たからだろう
そして彼女はヒトとパラサイトの中間に立つ新一に相利共生の希望を抱き歩み寄ろうとしていた
しかし、人間の{netabare}“己よりも強いものが現れるととにかく排除しようとする思想”{/netabare}が邪魔をした
個々が生き残るために人間を喰らうパラサイトと
集団が生き残るためにパラサイトを殺す警官(ヒト)達…
言葉にするとどちらが悪だとは決めつけ難い問題なのだが
直感的には警官よりもパラサイトが悪だと感じてしまう人も多いだろう
ここがこの作品の良い部分で
我々は客観的に物事を捉えているつもりでも
無意識にヒトという立場に立ってヒトが行う殺戮を
法律や倫理という言葉で正当化していることをつきつけてくれる
田宮良子と浦上…
二人はどちらも人間を殺める存在だが
一方は生活のため、もう一方は快楽のため…
私たちがこの二匹を裁くときに同じ罪の重さで殺人罪として良いのだろうか?
また別の問題についても考えて欲しい…
ヒトは地球に住む生物にとってどのような『利』をもつのだろうか?
答えは人それぞれ異なるだろうがヒトが及ぼす利と害の比率を考えると答えは自ずと出てくる
{netabare}ヒトは地球に“寄生”している生き物なのだ{/netabare}
自分たちが生きるために他の生物の恩恵だけを受けているにも拘らず
他の生物にはほとんど利はなくむしろ害になっているのが現状である
作中で後藤の致命傷が人間のゴミから生まれた毒シアン化水素だったことからも分かるだろう
これら二つの問題は戦争一つをとってみても明らかである
弱いものを従え強いものはためらわず排除する人間…
自分たちの戦のために平気で周りの植物や動物を排除していく人間…
{netabare}地球上の生物が相利共生で支え合って生きていくために戦うべき敵が一番身近にいることを忘れてはならない…{/netabare}
は~い、ということで重々しい話になってしまいましたが…
このアニメは新一と村野が高校生でもうすでに初体験を終えていて羨まs…じゃなくて(汗)ww
ヒトが無意識のうちに今まで見てこようとしなかったヒトの醜い部分に焦点を当て
客観的にヒトの行動に対して問題提起してくれているアニメなので
興味がある方はぜひ一度観てみてはいかがでしょうか?(/ω\)