photon さんの感想・評価
2.7
物語 : 1.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
紙魚に始まりジギタリスに終わる
蜘蛛の話で登場する本の蟲で澁澤龍彦の紙魚の話(確かドラコニア綺譚集に収録されている)を思い出した。彼は年末だか正月に読み終えた蔵書を燃やして処分していたとか。
一期に比べて秩序の無さが目立つようになったのは伏線の回収が上手くいってないことが原因なのかなと。
主人公(壱原侑子)が往々にして不条理なのは妖怪だからなのだろうということで一期の内に納得できたけれど、妖怪が必然っていう科学的な言い回しを使い続けていたことには最後まで合点がいかなかった。例えば一神教の神やマハバーラタに登場するブラフマー(だったと思う)や運命の糸車を回すダータ、ピダータみたいな神であればそういった解釈も存在するのだけれど、それを感じさせるくだりはなかった。辛うじて服装がインドっぽくないことも無いし、一期の百鬼夜行のくだりでソーマらしきものも登場してはいるのだけれど、ヒンドゥーや仏教に造詣が深いわけでも無く、一つの存在に仕えている素振りも無い。
そもそも必然を求めるのが(全てがそうではないけれど)人であり、必然をあざ笑うように覆すのが妖怪だと思う。
妖怪を束ねる一つの存在があるとすれば話も変わって来るけれど、そんなキャラクターが登場しない処が最も合点がいかない。
考え過ぎると飽和するけれど、疑わなければ進歩がない。
作品を創る上でもう少し疑いがあれば格段に面白くなる要素を持っていると思う。
鶴の恩返し的に設定を明らかにすることを落ちとするようなストーリー展開は二期も引っ張った上で終盤まで出し惜しみすると流石に締りが悪く感じる。
但し、狙ったのかどうか分からないけれど、それをフォローする可能性を持っていたのが最終話に登場する狐の手袋かなと思った。
英語のFoxgloveはジギタリスって花のことを指すのだけれど、この花は欧州だと暗く寂れた場所に咲く不吉な植物としてのイメージがあるそうでその後の展開が決して洋々としたものではないことを暗示する。のだけれど、考え過ぎかも知れない。
ストーリーに限って言えば、類似作品の物語シリーズよりも本作の方が可能性を秘めている分面白味があると思う。