「花咲くいろは(TVアニメ動画)」

総合得点
90.0
感想・評価
6278
棚に入れた
26963
ランキング
68
★★★★★ 4.1 (6278)
物語
4.1
作画
4.3
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

ふりーだむ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

それぞれの「居場所」への旅、そして再び「居場所」目指して。

どこにでもいるような高校生・松前緒花は、ある日突然、「母の夜逃げ」に伴い、東京を離れ、母方の祖母が経営する湯乃鷺温泉にある老舗旅館「喜翠荘」に預けられることになる。住む条件として喜翠荘の「仲居」見習いとして働くことになった緒花。そこには祖母・四十万(しじま)スイをはじめとして、同級生の民子、菜子ら様々な人がそれぞれの思いを抱き働いていた。
十年一日の老舗旅館「喜翠荘」に「緒花」という新たな風が吹き込み、さまざまな出来事や事件が起こり、それぞれが生き方、思い、そして「居場所」を見つけていく。そんな「喜翠荘」の日常を描いた作品。

美しい画と、繊細な人物描画、そして内面を事細かに、きれいに描いている作品でした。
全編通して緒花から聞く「居場所」という言葉。住み慣れた東京から片田舎の老舗旅館で働くことになり、仲居という仕事をしつつ、同級生の民子、菜子らとともに「自分の居場所」を探していくように見えていました。
それぞれの登場人物たちも、喜翠荘の中で「緒花」という新しい風が、各々の「居場所」への一歩を踏み出すきっかけになったようにも思えます。

さまざまな出来事の中で、それぞれが見つけていく「居場所」。
代わり映えの無い東京での生活から、半ば無理矢理に来てしまった喜翠荘で仲居の仕事をする中で、「喜翠荘で仲居になる」「四十万スイになる」という夢を見つけ、東京で再び歩みだした緒花。
「板前になる」という夢を手助けしてもらった、想い人であり、師匠であり、憧れでもある徹に追いつくために日々精進する民子。
「引っ込み思案な自分を変えたい」そんな思いで始めた仲居の仕事で、民子や緒花、ライバル旅館「ふく屋」の一人娘・結奈らの影響を受け、自分らしい自分に近づいていく菜子。
親や年齢からの「結婚」という重圧に悩み(?)ながら自分の好きな「喜翠荘の仲居」を続ける巴。
経営難の「喜翠荘」を何とかしたい一心で崇子に頼ったり、アイデアを出したりするも、いつも空回りしていたが、映画の件や、「ぼんぼり祭り」での繁忙に耐え切れない現状を認識し、経営を一から学び直し、崇子ともう一度喜翠荘の再建を目指す縁。
喜翠荘の面々や、緒花の成長、豆じいの隠居、縁の結婚などで、自分と夫で築いた喜翠荘の「終わり」と、自分の思いを継ぎ、自分を目指す緒花や、本気に目覚めた縁の姿を見、新しい喜翠荘を皆に造ってもらうために、喜翠荘の閉館を決めたスイ。

「老舗旅館を舞台に、素人仲居の主人公が回りをかき乱しながら、主人公は成長し、周りも影響を受け「いつもと同じ日々」が少しずつ変化していく。」ドラマでもよくあるようなありがちなストーリーのようですが、一人一人の心理描写や、心が変化していく様子、そして各々が「自分らしくいられる場所」を模索していく様を見事に描いていたように思えます。
序盤の民子の緒花を受け入れない様子や、一人突っ走る緒花、融通の利かないスイらに多少イライラするものの、徐々に各々心が解け合い、皆で「喜翠荘を良くしたい」、「喜翠荘が自分の居場所」となっていく流れがとても良かった。

終盤の、喜翠荘を閉めるというスイに皆は反対するものの、スイの気持ちを察する緒花が一人、スイの味方となるシーン。ぼんぼり祭りの繁忙に対応できないスタッフたちが一生懸命頑張るものの、各々が力不足を感じ、スイの気持ちを察する。ここの流れがすごく良かったです。

登場するキャラクターたちも各々が各々の思いを抱きながら喜翠荘で働き、そこに自分の居場所や、思い描く自分像を目指していたように思えます。すべてのキャラクターたちに愛着がわきました。その中でも、従業員ではないですが、緒花の母、皐月の存在が特に良かったです。私生活はだらしないが、言うべきことは言い、控えるところは控える。陰ながら喜翠荘、スイ、緒花を気遣う姿が良かったです。特に時折漏らす本音の部分(片想いの件、母・スイへの思いなど)と、ぼんぼり祭りの際、自ら仲居となり、喜翠荘、縁を支える姿が良かった。本作の中で一番好きなキャラクターですね。

全編通じ、綺麗に描かれた田舎風景や、老舗旅館を舞台にした日常風景がとても心地よかったです。個人的には、「ARIA」を見ているときに感じるネオヴェネツィアにいるような心地よい感覚をこの作品にも感じました。

もう一度「喜翠荘」が営業する日を夢見て、各々がその思いを胸に新しい自分の居場所へ旅立つ。スイが描く、「新しい喜翠荘」がスタートするその日、一回り大きくなった皆が集まっていることでしょう。
私も、その日を待ちたいと思います。(続編望む^^)

投稿 : 2015/05/06
閲覧 : 192
サンキュー:

9

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