oneandonly さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 2.5
音楽 : 4.5
キャラ : 2.0
状態:観終わった
人間の深掘りがされていない未熟な続編
世界観:8
ストーリー:5
リアリティ:5
キャラクター:3
情感:4
合計:25
第1期エンディングから1年半後。爆弾事件が起こり、新任執行官の東金朔夜と雛河翔を加えた新体制の一係も捜査にあたるが、人質に見せかけた囮を追跡していた二係の監視官・酒々井水絵が不可解な状況で姿を消してしまい、現場には血で書かれた「WC?」のメッセージが残されていた。
(ウィキペディアから拝借)
第一期がとても面白かったので期待して見たのですが、展開に驚かされることもなく(ついていくのに頭は使いますが)、心の琴線に触れる所もなく終わってしまいました。「WC?」も{netabare}ひねりがありませんでしたね。トイレではなかったですがw。{/netabare}
今回のストーリーで鹿矛囲が提示したシビュラの問題点は、{netabare}薬(とマインドコントロール)でサイコパスをクリアにできる技術と、鹿矛囲自身がそもそもシビュラに認識されないという2点のようでしたが、前者のほうが解決されていないのでは(脳の多体移植とは考えたと思いましたが、それよりも薬でサイコパスが浄化できる技術のほうがシビュラにとって脅威だと思います)。
よくわからなかったのが、鹿矛囲はシビュラに認識されないのに、何故ドミネーターを使えるのかという点。酒々井監視官の目を移植したということは、ドミネーターの起動には目があれば足りるということなんでしょうか。
それから、終盤にシビュラが朱の監視官権限を剥奪しますが、それができるなら、酒々井監視官の権限をなぜ剥奪しなかったのでしょうか。シビュラと鹿矛囲は敵対関係だったはずなので、説明がつかないです。
鹿矛囲のシビュラへの叛逆も、無差別殺人が行われては単なる自分が認識されない恨みのような私的なものに見えて、最期に感傷はありませんでした。
ストーリー的にもやや破たんの見えた今作ですが、より深刻なのはキャラクターのほうかも。朱は今回、祖母の殺害に遭遇しましたが、それでもサイコパスが濁らないというのは流石に説明が必要なレベルになっています(説明しないなら祖母を殺す必要はない)。特に後半はシビュラ以上の理性的な言動を見せていて、朱がシビュラを乗っ取ればいいんじゃないかと。主人公が人間らしさを失ってきていて、共感しづらくなってきているのは物語としてまずいです。
宜野座さんもサイコパスの濁りとの葛藤がなくなってすっきりしちゃいましたし、新人の描かれ方も魅力なく、少し面白いキャラかと思った東金朔夜は敵であることが明確になるとただのキモいマザコンに。。{/netabare}
なぜこんなことになったのか調べてみると、脚本が虚淵氏でなくなっているんですね。第一期が面白いと思ったのは、SFやアクションやグロさではなくて、一定以上のリアリティのある設定で人間が深掘りされているからなんですよ。逆に、虚淵玄は凄いと認識させられる作品です(暗いけど)。
劇場版を観ましょう!
(参考)
第1期
総監督:本広克行
監督:塩谷直義
ストーリー原案・脚本:虚淵玄
第2期
監督:塩谷直義
シリーズ構成:沖方丁
企画監修:本広克行、虚淵玄
脚本:熊谷純
(2015.5視聴)
(評価調整3.0→3.2)
<2017.1.22追記>
現在の評価基準で見直しました。劇場版のレビューでも書いたかもしれませんが、後輩監視官である霜月に魅力がないのが痛いですね。何らかの形でフォローされた人間像であれば愛された可能性もありますが、見たくないキャラになってしまいました。他の脇役も育たず、残念な2期という印象は変わらず。