STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
残念まままでいられる心地良い空間
原作は未読。
アパートや寮などで赤の他人が一つ屋根で暮らしていく展開は既に一ジャンルとなっている
印象で、古くは「めぞん一刻」、割と最近だと「さくら荘のペットな彼女」あたりを
思い出すが、この作品もその一つ。
ただ、こういった作品群に見られる、ある程度のプライベートも共有していくような環境は
最近ではあまりないみたいで、そういう意味ではこういうノスタルジーをも感じさせるこの
ジャンルも広い意味ではファンタジーの一つなのかもしれない。
正直、序盤は今一つといった印象が強かった。変人ばかりの住人達に翻弄される主人公、
憧れのヒロインと同居といった展開は既出の作品に見られたものでマンネリ感を感じたから
かもしれない。
ただ、この手の作品はキャラの人となりが掴めてくると良くなってくることが多く、この
作品も中盤から面白くなってきた感じ。
河合荘の住人はいずれも濃いメンツばかりで、特に河合 律、錦野 麻弓、渡辺 彩花の
ヒロインズは容姿はいいのにいずれも残念な性格。彩花に関してはすっぴんは知りませんが。
特に律、麻弓は残念なだけでなく、かなりめんどくさい性格をしていて、やっかいなこと
このうえない印象だが、このめんどくささが彼女達の可愛らしさの一要素でもあったりする。
律の学校での描写を見るとその容姿ゆえにもてるということもなく、どちらかと言うと変人
扱いされているようで、麻弓も職場では扱いに困っている人みたい。彩花も異性はともかく、
同性には嫌われているようで、いずれも外ではその性格が仇となっているようだが、それだけに
河合荘では残念であることが認知されつつも、それを許容する空間であることが本当に居心地が
いいのだろうなと思わせるものがある。
この河合荘の住人だが、麻弓、彩花、城崎はかき回したり、茶化したりするタイプで、
宇佐 和成や律は受動的なタイプゆえに引っ張っていくタイプがいない感じ。
そのために住人だけだと話がうまく回っていかない印象で、外部のキャラが介入した方が話が
スムーズに進む印象があった。
基本、コメディ作品だが、展開における笑いの部分より、外から持ち込んだ問題を住人達が
時に真面目に論じたり、時に馬鹿話に転じたりといった感じで語り合う部分の方が、個人的には
面白かった。
宇佐と律の恋愛要素に関しては少しずつ進展といった感じで、まあ普通といった印象だが、
ここで興味深かったのは律のぼっち状態における本人の感情と、外から見た存在である宇佐の
感じ方の違い。
宇佐から見ると回りに馴染めない律をある種可哀想な人として見ているようだが、律にして
みれば自分のペースで好きなようにできるぼっち状態が決してイヤなわけではない。
ただ河合 住子が言うように「ずっと一人でいたい」わけではないようで、人付き合いも
自分のペースでできるのが律の理想みたい。まあ、相手あってのものでそんな都合のいい状況は
そうあるものではないだろうけど。
この辺の人付き合いのスタンスに関しては住人達がなかなかいいことを言っていたが、今後の
律も少しは変われるだろうか。