鸐 さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
考えさせられる
強いテーマ性と隠喩的な表現で、考えさせられるアニメでした。
タイトルのユリ・熊・嵐について
「百合」
植物の百合と、レズビアンを意味する百合双方が語られています。
前者は友情の証として意味を持ちます。
後者の意味では、確かに百合アニメらしく登場する男性キャラはライフセクシー、ライフクール、ライフビューティーの3人と、ルルの家族のみ。彼ら3人の立場は裁判官であり、主な仕事は解説です。
物語の進行はほぼ女の子によって行われますが、彼女たちはみんな百合であり、友情以上の感情を持っているようです。
その中に含まれる、嫉妬や独占欲が物語の起点となっています。
「熊」
今作で描かれる熊は、「人を食べる、そういうもの」だそうです。(しかし、見ている限りでは主食というより、欲求を満たすために食べているという感じ)
そのため、意思の疎通ができるにも関わらず、両者の間には大きな隔たりがあります。
意思の疎通ができると言う事は、どうやったら人と熊が仲良く出来るのだろうかという疑問も生まれてくる訳で、それもまた物語の発端となっています。
「嵐」(透明な嵐)
透明とは社会から抹消されてしまうという意味です。
言い方を変えると、空気とか、見えないものとして取り扱うとかそういった類の言葉です。
嵐の方は気象現象の嵐(台風)と、激しい心の変化、憤り、悲観、ざわめきを表したものを意味しています。
この二つを繋げた「透明な嵐」とは、いじめ。
周囲に壁を作って社会から排除されようとしている女の子を、社会から断絶されようとも守ろうとする熊の子が描かれていてみていると同情してしまいます。
主題歌の「あの森で待ってる」の雰囲気や同じパターンをひたすら繰り返す演出は非常に同監督作の輪るピングドラムと似ていて、好きだなと思うのですが、ピングドラムに比べてギャグが無い分、人を選ぶ作品になってしまっている気がします。