じぇりー さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
図書館も日常も恋愛もある意味戦争
考えてみれば恐ろしい未来である。
公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を規制する「メディア良化法」なるものが制定され、不適切と判断された創作物がことごとくメディア良化隊なるものによって取り締まられている日本。
それに対抗すべく、言論の自由を守るため武装化した「図書館」―
今の日本の姿から考えると絶対に現実には起こりえない事とは思いつつ、「表現の自由」「人権の侵害」という点でこの作品を見た場合、現代でも度々論争になる問題であることから、決して完全にファンタジーの世界の出来事とも思えない。
「図書館の自由法」と「メディア良化法」という、相反する法律を盾に抗争を続ける図書隊と良化隊…って何とも矛盾した危い世界である。
ここまで書くと非常にシリアスな物語で、「戦争」なんて言葉までタイトルにあるくらいだから血で血を洗う内容かと思われるかもしれないが、実際にはラブストーリーあり、コメディーありの結構ライトに楽しめる要素も大きなウエイトを占めている。
当然、図書隊と良化隊による戦闘シーンもあるが、ミリタリーものと呼ぶほど数多くは存在しない。どころか、政治的な駆け引きもあったりして、両者の抗争は単純な武力による衝突だけに留まらないところが興味深い。
ヒロインが熱血で純情な図書隊員ゆえに起こすドタバタ劇や恋愛模様は、可愛らしいのだけれども、ちょっとありきたりな感じがして物足りなく感じた。
個人的には暗躍する手塚の兄のくだりにもう少し描写が欲しかったが、1クールアニメでは原作の全てを踏襲できる内容は盛り込めなかったようで、致し方なかったのかなとも思う。
全体的にあまり非の打ちどころのない優等生的なアニメだったと思うが、諸手を挙げて良かった!とまでは言えない作品だった。
けれど、実写映画化されていることからも、万人受けしそうな内容であることは間違いないだろう。