Lovin さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
観た感じ
■概要{netabare}
原作:武田綾乃
原作イラスト:アサダニッキ
監督:石原立也
シリーズ構成:花田十輝
シリーズ演出:山田尚子
キャラクタデザイン:池田晶子
制作:京都アニメーション
話数:1クール全1話
OP:「DREAM SOLISTER」
by TRUE
ED:「トゥッティ」
by 北宇治カルテット
{/netabare}
■感想
原作ライトノベルは未読でTV放送を視聴。そしてまた、次の曲が始まる話。
まず、音楽についての知識は殆どない。知識と言えば、のだめのフランス語のようにアニメから得たものである。なので吹奏楽は「吹いて奏でる」と書くのに何故コントラバスが編成されているのか?シンバルは?パーカッションは?弦楽器や打楽器を吹いて奏でるのか?ならチューバより肺活量が問われるだろう?と、疑問は尽きない。
人間関係をリセットしたいという想いで高校を選んだ久美子と、それを取り巻く友人やら吹奏楽やらが描かれる。
第4話を観て「私的にこれから面白くなる」と判断した理由は、この作品に対して思い描いたボンヤリとしたイメージが繋がったからだ。自画自賛になるので詳細は避けるが、久美子と時々目線が合う少し負い目を感じている麗奈は、実は麗奈が久美子に対して興味を持っていて、仲良くなるための濃密な儀式が何れ行われる、など。
流石の京都アニメーション作品だけあって、相変わらず作画のクオリティもそれに対する評価も高い。しかし個人的に、この作品の見所は其処ではないと思っている。私の中ではある意味、京アニ作品の作画クオリティが高いのは当然なのだ。それに裏打ちされた表現力の豊さが京アニ作品のクオリティなのだと思っている。
この作品の見所は、絵コンテや演出にあると思う。わかり易いシーンで言うと最終話、麗奈の奏でるトランペットのソロパートにある、デカリボン、麗奈、中世古先輩の並んだカット、それに続く「やっぱり敵わないなぁ」なのか「やっぱり上手いなぁ」なのかはわからないが、スッキリと達観したような中世古先輩の穏やかな表情。最終話は台詞やモノローグが極端に少ないのに、何時も以上に伝わる何かがあった。
あと新任の顧問について。作品世界では「粘着悪魔」という陰口があった。現実世界では熱血教師を目指す方なのか知らないが「指導が甘い」と厳しく指摘する向きもあった。しかし私はそのどちらでもないと感じている。
顧問を厳しいと感じるのは、部活の時間に練習をしないで「いっせーので0」とかやっていて、基礎が出来ていないからである。出来不出来と習得の度合いに関係なく基礎練習は常に必要で、積み上げた基礎が要求される練習だから辛いのだ。うさぎ跳びをしなくなった現在のプロでも、アップの後はキャッチボールと決まっているのだ。そしてそういう部分をあの世代が気付くことはできない。時間を溝に捨てることが出来くなってから気付くのである。
逆に指導が甘いという指摘に関して、気持ちは買うが貴方が教師をやると1年持たずに辞めさせられるよ、と言いたい。殴って演奏が上達するなら、幼い頃から理不尽な理由で兄貴に殴られ続けた私がヘナチョコBEST10など造る訳がない。まあ、あの指導で全国にいけるのか、の問いに明確な答えを出せる知識のない人間の戯言だが。
唯一厳しいかもと感じたのは、2回目のソロパートオーディションに於いて中世古先輩に発した「貴方がソロを吹きますか?」の一言。拍手が多かったのは確かだが、殆どの生徒は中世古先輩に気遣い拍手をしていなかった上に、中世古先輩自身が演奏の違いに気付いている。だから皆を納得させるためにも敢えてそういう聴き方をしたのは仕方がない。仕方はないが、頑張っている姿を見て来た立場としては矢張り心が痛む。
京アニ作品の氷菓と言えば良く出来た物語だと思う。カンヤ祭のシリーズなどは、複数の物語が絡み合った末にあの1点で収束する見事な話だ。だがこの作品は何かが凄く伝わる作品だと思う。方向性は違うが何れの作品も見応えがある。何せこの馬鹿で愚かな私にでさえ一端のレビューを書けると感じさせたのだから。全国大会はまだ描かれていない。久美子が吹けなかったパートも残っている。続編があるならこの方向性は維持して欲しいと願いつつ、その続編も含めて是非他人にもお奨めしたい、そんな充実感のある作品だった。
ここまでのレビューで出し切った感が有るので、ここからは気に入った部分を書いていく。
{netabare}1.「緑輝」「琥珀」。ファンタジーではないこの世界にもDQNの風が・・・
2.「暴れん坊将軍のテーマ」。久しく聴いていなかったので懐かしかった。
3.「鬼軍曹」。生徒を「お前等」呼ばわりする女教師のインパクトは大きかった。
4.麗奈の「音出し禁止無視」。直後に色んなキャラの表情が出てきたが、
意味は違えど皆一様に笑っている。
こちらまでハッとさせられた。
5.最後は「ライディーン」。「フェードイン」じゃないほうの「ライディーン」。
昔ながらのマジックショーを永らく見ていない、
ましてやYMOのファンでもない私が耳にするのは非常に久しぶりだった。
以上の点が、作品自体の面白さに+αされることでSHIROBAKOに近い楽しみ方ができた。{/netabare}
□2015/09/19追記
この作品が終了して半年、振り切った温度計もようやく落ち着き、久しぶりに第1話から復習をしてみたが、凄く伝わる「何か」というものが何なのか理解できたような気がした。これも気がついたのは第4話だった。
第3話まで観て「面白そうなんだけど何か決め手が」と作品に対して少し疑心暗鬼になっていたところに、やれば出来るという部員達の感じた達成感の共有と、顧問が折れたという視聴者としての快感に同時に襲われたのかもしれないと、そして私はこのとき既にガッツリ引き込まれていたのだと言うこともわかった気がする。
■第4話後の感想{netabare}
吹奏楽に関する知識は殆どなく第4話まで視聴。
書きたいことは本編を観終わってから書くが、
今は「絶対これから面白くなる、私的に」と書いておく。
私と好みが似ていて3話斬りした方は、
是非もう一話だけ視聴してみることをお奨めする。
□2015/05/01 本編と全く関係のない事を追記
{netabare}EDの「Tutti」とはどんな意味があるのだろうか?
{netabare}ASローマのプリンス・・・{netabare}あれは「Totti(とってぃ)」か。
{netabare}あそこにあったブティックが確か・・・
{netabare}HPでも仏語っぽく喋ってたしな・・・{netabare}あれは「TOUSSI(とぅし↑)」か。
{netabare}もうネタがないからググってみると、
{netabare}「Tutti」とは、音楽用語で「全部」という意味なのだとか。
{netabare}因みに「TOUSSI」について顔見知りになった店員の話では、
{netabare}店長が「とし」の付く名前らしく、
かなり以前から本人が「TOUSSI」を推しているのだと言う。{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}
■蛇足{netabare}
スポンサー紹介の顔がぐるぐるってヤツ、
厨二病でも見たけど気に入ってんのかな?
{/netabare}