takekaiju さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
あっさりした味わい
原作既読。
敵地にて命を狙われる皇妃を単独飛空機によって脱出させる恋と空戦の物語。
映画アニメらしく雄大な空とぬるぬる動く飛空機の爽快なアクションが目を惹く作品です。
大まかなストーリーは原作通りですが、回想や細かな描写が省かれています。
映像作品の性であり、メディアの特性上致し方ないのだけれど、心理描写が省かれているところが、原作との大きな違い。物語の展開もテンポよく進むので、感動的なシーンにも十分に浸ることができないところは残念。
そのため、文庫を一冊読むのに比べてずいぶんあっさりと終わってしまったと思いました。原作をとんこつ醤油の家系ラーメンに例えると、アニメ劇場版はとりがら醤油ラーメンといった印象です。
特に、本作の魅力でもあるひと夏の恋の描写が不十分に感じました。原作では、心の殻に引きこもり機械人形のようだったファナが、空の旅とシャルルとの交流から徐々に自分を取り戻し淡い恋心を抱くのですが、ファナの心理描写がごっそり抜けているのでシャルルとの絆が浅く感じます。そのせいで、ラストのお別れのシーンも必死のファナの行動に違和感を覚えます。
とはいえ、小説では表現できなかった躍動感溢れる飛空機の舞や真電との決闘、空戦のシーンなど映像作品ならではの見所もありました。