ノリノリメガネ さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
たとえ辛くても現実を生きていく勇気を持とう
僕は今敏監督のファンで、彼の作品はいつも僕のツボを突いてくるのだけど、客観的に見れば重苦しい世界観なのもあって、人を選ぶ作品かなと思う。
ミステリー要素もあって、真相や次の展開が気になって一気に観たくなる作品。
1話完結型で、序盤はストレス社会にさらされた登場人物が精神の限界を迎えるときに少年バットが現れ、彼らを殴打していくことで現実逃避を助けていく展開が続く。それが事件化され、2人の刑事(猪狩・馬庭)が捜査をすすめていくというストーリー。
果たして少年バットとは一体何なのか。
次第に妄想が膨れ上がり、少年バットは力を付け、現実に影響を与えるように。
独自の捜査の先に刑事はひとつの結論にたどり着く。
少年バットもマロミもある少女の現実逃避から生まれた虚像であった。ラストは生み出した本人が現実を受け入れたことで虚像は消失。つまり、「妄想代理人」とは一人の少女が過去の辛い出来事を受け入れるまでの話といえる。
後半、猪狩の妻が不幸な身の上であるにもかかわらず決して現実を諦めない姿には感動した。
BGM、OP、EDも素敵。回によってまちまちなところもあるが、作画も概ね安定している。各回によって登場人物や構成を変える等意欲的。
人間のストレスや精神疾患(解離性障害)に焦点を当てつつも、絶望の中に小さな希望を見出せる素晴らしい作品。