ポロム さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
官能的でアートな芸術
「哀しみのベラドンナ」
虫プロ製作 1973年公開
芸術的なアートを感じる静止画での表現や
水彩画を使ったりセル画少なめで実験的。
当時はあまり話題にならなかったらしい
エロティックで少々暴力ありのオトナ向けアニメ。
30年早かった作品なのか、
それ以上早かったら規制されてしまうかもしれない
前衛的なストーリーと官能的な描写が艶かしい。
アニメというよりアートとして観ると面白い。
輪るピングドラムやユリ熊嵐の幾原邦彦監督に
影響を与えた作品と言われている。
~大まかなあらすじ~
フランス革命よりもっと前の中世のとある農村が舞台で
若い2人の男女、ジャンとジャンヌが結婚式を挙げる
(大体の物語は結婚で結末を迎えるけどこの作品はそうじゃない
むしろ・・ここからが始まりだった。)
結婚の際に領主に貢ぎ物を献上するのに
貧しい農夫のジャンは領主に貢ぎ物を捧げる事が出来なかった
その代償に今まで男性を知らなかった
ジャンヌの・・初めてを領主に奪われることになる。
身も心も傷ついて夫のもとに帰ったジャンヌの前に、
悪魔が現れ、そして契約し身も心も堕ちていく・・ストーリー。
悪魔と契約してまで愛する夫を救おうと
どこまでも堕ちていくジャンヌが美しい。
それと同時に観ていてとても悲しかった。
女性ならジャンヌのカリスマ性や
観ていて共感する所、惹かれるところがあると思うし
男性なら女性への神秘性、謎、強さが少しわかるかもしれない。
(おこちゃまは見ちゃダメだよっ♪オススメは出来ないけどッ)
BGMや歌は多少古めかしく感じるけど
当時の背景が出てると思う。今聴くと新しく感じるかもしれない
物語について ネタバレ
{netabare}
多分私が見たのは79年にリバイバル上映の時に
女子大生向けに付けたされたというラストシーン付きの
色々規制あり版かもしれない
最初は悪魔の高笑いで終わるらしかったけど
それだと後味が悪い。不気味だということで
フランス革命に繋がるシーンが付いた。
個人的にはメッセージ性を持たせようとしたのか
フランス革命に繋げようとしたのが蛇足だと思う。
これが無かったら☆5にしたいなぁ。
(ちなみにジャンヌというヒロインの名前も
ジャンヌダルクから来たのだろうか?)
ジャンヌが火刑されて、燃え尽きたところで終わったほうが
芸術的で考える余韻があるかなぁって思ったかな。
{/netabare}
描写の仕方 R18注意(笑)
{netabare}
足から裂けるシーンなんてまさにアレだし
悪魔の描写の仕方とか・・
(いかにもシルエットがアレだよね?・・自粛(笑))
今だと規制が多くて実験的なことって出来ないけど・・
こういうのって良いですよね。
(直な言葉言うの好きじゃないので
アレで逃げて誤魔化そうとしてるww)
悪魔との情事のシーンも官能的で
「さあ,何が望みだ」と悪魔に問われて
「・・悪いことがしたい」と答えるジャンヌが色っぽい
憎しみや悲しみさえ美しいという悪魔に魅入られたジャンヌが
夫を救うことだけ考えていた頃と変わって
領主に「ナンバー2の座をやろう!」みたいなこと言われて
「そんなのいらないわ、私は世界が欲しい」
と最後はカリスマ的な野心家の魔女に変わった姿が逆に清々しい。
{/netabare}
個人的にこういうユニークで実験的なの好きですが、
私の少ない語彙の引き出しでは上手く説明出来ません。
独創的かつ前衛的な芸術アニメだと思いました。