ホロムギ さんの感想・評価
3.9
物語 : 5.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
圧倒的世界観!
原作未読。小説のほうも時間があったら読みたい。
同性愛描写があって暗いお話というのをどこかで聞いて、今まで見ていなかったのですが、後悔しました!
なぜ今まで見ていなかったのでしょうか!!
一話目から引き込まれてしまいました。久しぶりにじっくり見たアニメです。非常に良かった!!
現代の文明は滅び、1000年後、呪力というサイコキネシスが使える人間の社会が舞台となっています。
5人の子供を軸に物語は進みますが、彼らが暮らす村には謎が多い。
12歳編、14歳編、26歳編と三部構成になっており、少しずつその謎の真実に迫っていくSFアニメです。
大人や人間以外の生物、そして村そのもの全て信じることができません。
誰を信じていいのか、何が真実なのか。物語の間中ずっと不安により疑心暗鬼になってしまいます。
現代とは違ったものの考え方をすることが多いので頭をやわらかくして見なければなりません。「こんなことありえない」「おかしい」と、はなから決めつけてはいけません。
決して理不尽でご都合主義なわけではなく、なぜそのような成長を遂げたのか、歴史に裏打ちされた成長過程が物語が進むにつれ徐々に解き明かされていきます。それは新たな謎を呼び、不安を駆り立てられます。
この世界観、設定こそが見どころです!!
伏線もすべて回収されますし、しっかり見ていれば大きな謎も残りません。
そう言いつつ、私がわからなかったことが2点。
ひとつは同性愛に関してです。
ボノボの生態を参考にしているとはいえ、なぜ同性愛の形しかないのか。
12歳編では男女の恋愛があるように見られるのですが、14歳編では突如、同性愛者ばかりになります。
アニメでは語られていない原作の設定があったようです。
{netabare}
妊娠が許可制だということです。
ボノボの生態の説明のときに語られたように、擬似的な性行動が必要ではあるが、子供ができたら困るのです。村としての管理もありますし、未成熟な親に育てられた子供は悪鬼・豪鬼になりやすいとのこと。 {/netabare}
同性愛に関してですが、性行為に及ぶ描写はありません。
ディープキスはあります。やけに生々しく、嫌悪感を抱く人もいるでしょう。長くありませんし、描写が多いわけでもありませんので、そこまで気にすることはないと思います。
その嫌悪感は視聴者の現代の思想からのものであり、アニメの中では否定されるべきものではありません。何より、歴史の流れにそった世界観を構成する大きな要因ですので欠かすことはできません。頭をやわらかく☆
もうひとつわからなかったこと。
※ネタバレなのでアニメを見ていない人はスルーを!!
{netabare} 死んだのにどうやって子供を産んだのか。マリアとマモルの子供です。3日が過ぎ、サキたちは村に戻ってマリアたちが死んだことを報告したはずです。そして骨が送られてくる。
DNA鑑定からも本人の骨であることがわかります。
・骨の提出は子供を出産した10ヵ月後?
それでは遅すぎますね。死んだ証拠がなければ念のために猫を放つでしょ う。
・必ず子供が欲しいスクィーラからすれば、妊娠の確証が持てないうちはマモルだけを殺して骨を提出するということはないでしょう。二人とバケネズミがつながっていたのは骨の提出からも明らかです。
・生きたまま、骨を切断して提出したのでしょうか。
生きるためにそこまでした可能性はありそうですね。
私の仮説なので正解はわかりません。もしわかる人がいたら教えてください。おそらく的な感じでも構いません。考察したり語り合うのも楽しそうです☆ {/netabare}
絵や音楽など不安になるような雰囲気が徹底されているのもこのアニメの素晴らしいポイント!
その最たるものがドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」でしょう。
この曲を聴くだけで、隠れなければならない。逃げなければならないという不安と焦りがでてきます。
とはいえホラーではありませんので音などでビックリするような場面はありません。あくまで雰囲気を出すための演出です。
濃密な設定、世界観。徐々に解き明かされる歴史の謎。
そういったアニメが見たい方には強くおススメします!とても面白かったです!原作も読んでもっと理解を深めたくなる作品でした!