セレナーデ さんの感想・評価
3.0
物語 : 2.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
理解できない芸術
見事にスベってましたね。やりたいことは分かるんですが、まあ退屈なこと。あの前半のエンドレスファイブ、舞台の空虚感を滲み出すための演出なのでしょうけど、結局は同じような話を繰り返し見せられてるだけ。さらに一話一話がどれも空気感がバグってるので観てるこっちはたまったもんじゃない。視聴者への心配り一切感じられず。この独善感には「実験的」を通り越して「芸術」のマインドすら覚えます。「視聴者を楽しませる精神」より「作者が面白いと思ったものを作る精神」で作られた気配。大衆を意識して技術的なセオリーに則るよりも、独りよがりな感性に任せて出来上がった風格。そんな突き抜けた性質を感じるシナリオです。しかしやはり、芸術家肌な作風でも他者のフックがかかるものがあれば良アニメとなれたものを、理解を得られなかったがためにクソアニメと化した。みたいな。
と、さんざんコキおろしてみたものの、そんなにキライでもないんですよねコレ。安っぽい死亡フラグを恥ずかしがることなく設置・回収する臆面のなさとか、スバラシイですよ。主人公に近寄ったモブは死ぬ。我慢できず逃げ出したモブも死ぬ。突如フレームのなかに飛び込んできたモブも死ぬ。ツボをおさえてますな。ハハハ。ウィンカー並みに親切で分かりやすい。この陳腐さがたまりません。
スイッチの入った大虐殺回のメリハリもクソもない乱痴気具合も好事家必見のレベルだし、クリーチャーのデザインなんかもう絶品、まさにシュールレアリズムの境地ですよ。なんでライオンの耳にヒトの腕をくっつけようと思ったのか。並みの感性では描けんよあれは。