karinchaco さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
長門のラブコメ。受け入れることのできる人には見てほしい。
大ヒットラノベタイトル「涼宮ハルヒの憂鬱」のスピンオフという紹介でよいのでしょうかね。原作は漫画のようです。
むかし、アニメ版ハルヒ全盛自体のころ友人と会話していて、何かかみ合わないと思ったら友人のほうは漫画版「涼宮ハルヒちゃんの憂鬱」の話だったというエピソードを思い出しました。
さて、この作品は映画にもなった涼宮ハルヒの消失のエピソードを下敷きにしているみたいです。といっても、この作品のヒロイン長門をはじめとして登場人物はみな普通の一般人。ハルヒキャラを使ったのラブコメといったところでしょう。
この作品の特徴は、シリーズを知っている人ならキャラクターの名前と顔が一致するし、ある程度キャラの個性も把握しているはず。ヒロインの長門が原作とはかなり異なる性格をしているが、普通の引っ込み思案の女の子だったらということが理解できればすんなり受け入れられるとおもいます。
違和感を感じたのは、これまでのハルヒシリーズの作画、キャラデザに慣れ過ぎていること。安定の京アニクオリティですからそれは仕方のないことですよね。
そして、近年の1クール作品の中では珍しい16話構成になっています。後枠がプリヤ(10話予定)なので、合わせると26話でちょうど2クール分。KADOKAWA伝統の10話アニメは始まるのが遅かったりして録画忘れしやすいんですよね。こうした16話作品とセットにしてくれるとありがたいです。実際1クール13話でも収まらずにあとはネットでという作品もこれまであったのでこういう話数の使い方は好感が持てます。ただ、KADOKAWA作品に限りますが。
シナリオ的には中盤におや?と思わせる仕掛けが登場。ただのラブコメじゃなくなる場面があります。私は、この展開に深い意味なんてないと思います。大元の作品にこういう設定があったからラブコメを盛り上げるために利用しただけだと考えます。ただ、このおかげでラブコメとしてブヒれていた私のテンションは若干萎え気味に・・・。まあ、終盤はこの作品における日常に戻るわけですが、まだご覧になっていない方はぜひ自分の目で確かめていただきたい。
それと、私がこの作品の見どころだと思っているポイントは2つ。1つ目は原作とスピンオフのイベント比較です。これは、元の作品を見ていることが絶対条件になります。
ハルヒとキョン・長門はこの作品では別の高校に進学しています。この設定は元の作品における映画版涼宮ハルヒの消失を下敷きにしています。しかし、消失と違ってキョンは元の世界から迷い込んだわけではなく、この世界線におけるキョンなのでハルヒとの出会いは長門よりも当然遅いわけです。でも、涼宮ハルヒの思考回路はあくまでも涼宮ハルヒ。なのでハルヒがやろうとしていることは実現するかどうかは別として同じなのですね。
本家では悪評高きエンドレスエイトで8回にわたって見せられた夏休みのイベントも1年越しで実現。作中にハルヒが昨年もしたかったと述べていることからもこのことが窺えます。他にも、七夕ラプソディの中学校自体のエピソードをハルヒが覚えていたりとリンクするところがそこかしこに・・・。なんか、間違え探ししているみたいです。
そして、もう一点が朝倉涼子の存在。本家では統合思念体同士の戦いに敗れ早々にご退場された朝倉さん。しかし、こちらでは何かと長門さんの世話を焼く優等生として大活躍。キョンに勝るとも劣らない一般常識人です。(後半は徐々に崩れていきますが…)ラブコメに大きくモデルチェンジを果たしたこの作品においては隠れた主役とも言っていいでしょう。長門の恋を応援しつつ、自らもキョンに対してわずかばかり心を動かされるなど、キュンキュンしてしまいます。
本家でも、朝倉涼子がただの優等生であったならばどうなっていたか夢想してしまいます。(夢想した結果、朝倉とハルヒがマジ対立してハルヒがストレスを抱え閉鎖空間ED。ってことに私の中ではなりましたw。)
最後に、過去のシリーズ(特に映画版「涼宮ハルヒの消失」)に思い入れの深い人にはお勧めできませんね。特に消失は単体でもかなりの評価を受けていますので、こういった形のスピンオフを受け入れられないのかもしれません。
しかし、私的には単純にラブコメ具合も初々しさが残る感じ+本家よりも全員がなんだかんだ楽しそう。という理由で好きな部類に入ります。その辺を考慮に入れてくれれば十分楽しめるのではないでしょうか。