どらむろ さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
安倍晴明の孫が活躍する、陰陽バトルファンタジー
角川ビーンズ文庫の少女向けライトノベルが原作、全26話。
時は平安時代、安倍晴明の孫・安倍昌浩(あべの・まさひろ)が相棒の十二神将(神の使いだが晴明に仕えている式神ポジ)たちと共に、平安京を乱す怪異に立ち向かう!
ジャンルは陰陽道の異能バトル系です。
少女向けラノベなので、美少年美青年の活躍が目立つ作風ですが、ヒロインは結構可愛いです♪
{netabare}『物語』
全26話(2クール)を、大きく分けて2つの章に分かれている構成。
安倍晴明の孫で13歳の少年・安倍昌浩(あべの・まさひろ)が、相棒の「十二神将」の一人、紅蓮(愛称・もっくん)と一緒に陰陽バトルで頑張る感じ。
まだ未熟な昌浩が、昼は陰陽寮(昌浩たち陰陽師の職場)で働き、夜は怪異退治に奔走する…昌浩くん、過労死しそうでちょっと心配になりましたw
陰陽道の描写は結構本格派で、陰陽道の呪文や印字切りで怪異と陰陽バトルする異能バトルも中々だが、本格バトルに至る前段階での調査や呪いの出所探し等の探索パートも結構面白い。
狙われる彰子(あきこ)に対する呪詛を防ぐ結界張る等の防御術式組んだりも。
ここら辺は、流石に陰陽ファンタジーっぽい見所でした。
※本作の後にも先にも陰陽系の作品はいくつかありますが、本作が一番「ちゃんと陰陽道してる」感じ。
他にも「鬼神童子ZENKI(きしんどうじゼンキ)」とか、大抵は陰陽使ったバトルアニメなのですが、バトル以外での陰陽道描写が見られるのは少年陰陽師くらいのものなのでは。
相棒の「もっくん」との関係性が一つの見所でした。
昌浩が生まれた時から見守っている(神将は不老不死)、誰もが忌み嫌う中で唯一受け入れてくれた昌浩への想い等々、二人の絆が本作の軸になっていました。
この二人のやりとりは割とコミカルで、シリアスを幾分緩和していた感。
もうひとつ、1クール目のメインヒロインである藤原彰子(ふじわらの・あきこ)とのラブコメの波動を感じる!
敵ボスに狙われるお姫様ポジの彰子を守って戦う展開は大いに萌えました。
彰子は藤原道長の娘として帝に嫁ぐ見の上、昌浩と良い感じにラブコメの波動を感じさせても、叶わぬ恋…という切ないヒロイン。
「来年一緒に蛍を見よう」との約束が叶わず悲しむ彰子姫…切ないけど良いヒロインだった!
昌浩がそれを知りながらも、彰子を狙う敵ボス妖怪と激闘を繰り広げる展開が切なかった…。
……って、{netabare}嫁がないのかよ!?{/netabare}
えー……と思ったけれど、まあ、ハッピーエンドで良かったなw
2つの章のうち1クール目はかなり楽しめました♪
後半の章に入り、次の敵は一筋縄ではいかない感じ。
紅蓮(もっくん)以外の十二神将も活躍したり(殆ど空気な奴も居るが)晴明と旧友にして因縁の相手との確執、紅蓮が過去に犯した過ち等々が絡み、中々見所のあるストーリー展開に。
敵ボスの配下として暗躍する女・風音(美人で強い)と戦う内に、神将の一人・六合(りくごう)とちょっと良い感じにラブコメっぽくなったり?
前クールのボスよりも後半クールのボスの方が狡猾なので、周到に仕掛けられた陰謀を防ぐ為に、色々と陰陽道の攻防繰り広げられるのも面白い。
紅蓮の過去と背負った業、昌浩の決意、風音と六合の悲恋等々、後半も見所多かったです。
昌浩の成長ぶりも凄かった。
ストーリーは最後の最後までどう落着するか分からずハラハラする展開で飽きさせない。
…しかし、ラスト間際は些か消化不良というか、あまり後味は良く無かった気がします。
まあ、御都合主義の安易な奇跡起こさないのは良いのですが、この終わり方だと何かモヤモヤする…。
{netabare}ウィキ読むと、どうやら風音ちゃん後で生き返るみたいで良かった。{/netabare}
うーむ、アニメだけの内容だと報われなさ過ぎて後味悪い。
総じて
陰陽バトルファンタジーとして中々楽しめました。
どうやら原作ではまだまだ序盤らしく、2期も観たいところですが…10年近く音沙汰無い辺り、期待薄の模様。
『作画』
キャラデザは男女共に美形、京の都や貴船の山等の背景描写も中々。
陰陽バトルも十分な迫力あり。
やや古いけれど、作画は安定しており当時としては割と良いのでは。
『声優』
昌浩役の甲斐田ゆきさんの美少年声が良い感じです。野田順子さんのもっくんもナイス。
彰子の小林沙苗さん、風音の折笠富美子さんもナイスヒロイン。
高淤の神(たかおのかみ)の田中敦子さんも妖艶な女神らしい貫録でした。
他声優陣もかなり豪華で、1クールのボスを若本規夫さん、2クール目のボスは中尾隆聖さんと強力な布陣。
若本さんは一声で若本さんだと分かるw
安倍晴明の老人は麦人さん、青年バージョンは石田彰さんとイメージぴったりです。
関俊彦さん、福山潤さんも現在と変わらない感じ。
『音楽』
OP、ED共に昌浩の決意や想いが込められていて中々良い感じ。
アニソンとしてはややインパクト弱い気はしますが、良曲です。
BGMが平安時代舞台の陰陽ファンタジーとして中々。
『キャラ』
晴明の孫・昌浩(まさひろ)が非常に真面目な頑張り屋な良い子、かわいいです。
頑張り過ぎてちょっと心配になるくらいw
才能豊かだが無双出来る程には強く無い、頼りなさと成長する頼もしさのバランスが取れた良主人公でした。
その昌浩を傍で見守るもっくんはベストパートナーだったので、終盤の展開はハラハラ。
晴明はじい様バージョンと青年バージョン共にカリスマ感あり。
十二神将は個々では目立たず。印象に残ったのは風音とのロマンスあった六合くらいか。
ヒロインは藤原彰子が奥ゆかしい正妻ポジで可愛いです。
昌浩とのラブコメの波動がほほえまー。
風音は悲劇的な美女でした…
高淤の神(たかおのかみ)のカリスマ感もかなりのもの、貴船に行ってみたくなりましたw
敵は窮奇(きゅうき)が若本ボイスも相まって大物感ありw
智鋪の宮司(ちしきのぐうじ)はかなり邪悪でナイス敵役。
他には、藤原敏次が結構好きです。
当初は嫌味な先輩かと思いきや…
昌浩のような天才ではないが努力家で、ちゃんと昌浩を評価したり気づかったり、いい奴だった。
晴明に先んじて昌浩の失せ物の相を見抜いたシーンは面目躍如。
こういうタイプのキャラって好きですねぇ。
出来れば昌浩と共闘して僅かでも活躍が見たかった…。
父や兄達含め、昌浩の良き理解者が多いのが好感持てる。
総じてキャラ層は厚めで、主人公とヒロインは中々。
十二神将の大半が空気なのが残念。
続編あればもっと活躍見れるんでしょうけどねぇ…。{/netabare}