フーカム さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
スポ魂のようでスポ魂でない傑作!
スポ魂が好きな人にオススメです←タイトルに反するけど許してw見ればわかると思います
幼い頃に家族と見たステージに憧れカレイドステージ(サーカス団)に入団した少女の成長を描いた物語
作品が古いことや全51話ととても長いことからなかなか視聴するのにためらっていたのですが見てよかったと思いました
また、作画も思ったほど古臭さは感じませんでしたし、何より全ての話がまんべんなく面白いためあっという間に見終わってしまいました
彼女のまっすぐさとひたむきな努力に心が動かされ応援したくなり感動させられてしまいました(>_<)
よく見る誰かが死んだり出会えたり別れたりといったものでは無い本当の感動ってこんな感じなのかなって思いました
またOVAも作品のメッセージが伝わるもので物語の補完も出来ていて凄く良かったのでぜひ見てほしい
自分なりの考察感想
{netabare}
この作品のメッセージは前半と後半に1つずつあると感じました
その2つを終番でうまくまとめてくれたように感じます
1つ目は 【夢は信じる者の前に現れる】
これはフール(英語で愚か者の意)を用いてうまく演出している
ここに相当する話が前半では
・マーメイドの主役のチャンスを得た空がリハーサルに失敗し、そのトラウマから飛べなくなってしまいフールも見えなくなってしまった話
・幻の大技に挑む話
であり、空は自分がミスしたことにより、「やって出来ないことはない!」と自信家だったのが死の恐怖から自分を信じられなくなってしまいフールが見えなくなる
そして幻の大技は「死を恐れない」と答えるのではなく「絶対に死なない」と答えたことからフールに資格を認められた
この回答の前者と後者の違いは
前者では死の可能性を認めそれが怖くないと考えているのに対し
後者では死の可能性は絶対にないと自信を持っているのである
またレイラさんに空が質問した内容からも
空
「もし昨日フールが私たちの資格を認めてくれなかったらどうしようと思ってたんですか?」
レイラ
「考えてなかったわ。当然フールに認められるものとばかり、でも確かに普通は考えるわよね?空は?」
空
「実は私も…(二人で笑い合う)」
ここからも二人の自信が伺える
そして "フール"とは"幻"であり"夢"そのものの象徴
また "資格"とは"資質","才能","可能性"といった夢を阻むものの象徴でありそれらを信じ切れるかというものであったと考えられる
つまりステージの精であるフールはステージに上がる者の中で有り得ない幻のような夢でも自分を信じ抜ける愚か者にしか見えないのだと思う
最終話では
空
「レイラさんは正しい。
争うことがない世の中なんてありえないって私も本当はそう思ってる。
でもせめてステージの上くらい争いがなくてもいいのにともまだちょっと思ってる」
フール
「挑戦者、冒険者、開拓者。そういった名で呼ばれる者たちは全て愚か者だ。
誰も目指さぬ夢を追った愚か者を待つのは嘲りか喝采か。」
という流れからも
"絶対に無理だ、危険すぎる、有り得ないなどといった幻のような夢を信じて追う者の前にこそ夢は実現されるのだ"
ということを言いたいんじゃないかな?とおもいました
レイラさんにフールが見えなくなったのは真のカレイドスターの誕生という夢が叶ったからじゃないかなぁ
最後の二人の会話
空
「私はこれからもレイラさんの夢って思っていていいですか?」
レイラ
「いいえ、あなたはもう私の夢じゃないわ。あなたは私の誇りよ。」
そしてロゼッタにフールが見えるようになりましたが、このとき空にはもうフールがみえなくなったんじゃないかなぁ
↓更新
カレイドスター 新たなる翼EXTRA STAGE「笑わない すごい お姫様」OVAネタバレ
{netabare}
OVA見てみたらその後も空にはフールが見えていましたね
でも最終話でユーリが「これが夢のゴールか」
それに対してカロスが「夢の始まりだ」といっていることから
空の夢はまだ続いているためフールは見えるという解釈でもいいかなとおもいました、いやむしろ見えていて欲しかった
夢が叶ったら終わりじゃさびしいもんね
だからレイラさんもまた新しい夢を追っているんでしょう
また主役に自信を失ったロゼッタにフールが見えなくなったことからも私の思ってるフールの存在の象徴は合っているのかなぁと感じました
{/netabare}
結局カレイドスター(カロス=美しい、エイドス=形)とは一体何だったのかというと私は
"誰もが探している夢"
のことなんだと思います
スター(夢)は空やレイラさんのように誰かから受け取り、自らがスターとなり(夢を叶え)ロゼッタやケンのようにまた他の誰かに宿していく。そしてそのロゼッタやケンも誰かにとってのスターになるのだと思いました
二つ目は 【物事(特に争い)の二面性】
これは天使と悪魔、愛と憎しみ、、盲導犬、争いなどを使ってうまく表現している
まず一番分かりやすい提示として利用された盲導犬の話から
ドナーウォーカー
「この子(盲導犬)たちにとっては相手を喜ばすことが最高に嬉しいことなの
まわりを幸せにするただそのことだけを願っている存在、それがこのこたちを天使だと思う理由
あの頃の私にはみんなの嫌な面しか見えなかったけど、この子たちに会ってから
あーそうじゃなかったんだぁって思うようになったの
ステージに立つものならお客さんを楽しませたい!みんなを幸せにしたいっていう天使の心は
誰もがもっているはずだもの。ただ自分方がもっとうまくやれるという想いが天使の心を憎しみに変える
きっと空はステージを見ながらみんなの天使の心を受け取ったのね。その時の私には見えなかったものだけど」
空
「そっかぁフェスティバルのときは私にも見えていなかったんだ
ミュートさんたちが仲間たちと夢を語っていたその目に嘘は無かった
他の人たちにはみんな夢があってお客さんを楽しませたいっていう天使の心は皆がもっていて
憎しみも争いもその裏返し…憎しみも愛ってそうゆうこと?それなら!!
天使の技は天使になるための技じゃなくて、みんなの中の天使の心を呼び覚ますための技なのかもしれない
ううん、きっとそうだ!
私は私の中の天使を信じる!皆の中の天使を信じる!天使の技を信じる!」
ここで初めて水上丸太の練習がうまくいく
続いて天使と悪魔、愛と憎しみについて
これは人物を用いて巧みに表現されていました
・ユーリは危険のないステージを作るという愛が強すぎて他者を蹴落とす悪魔として
・レオンはソフィーへの愛からパートナーを潰す悪魔として
最終話のユーリとレオンの会話
ユーリ
「天使の技は基本的には1人でも演じられる技だ、俺たちはまさにおまけだな。
彼女たちは強い。1人でどこまでも走っていける。
ただ、ときどきほんの少しだけ寄りかかりたくなるときがある。
俺たちはそのときだけ支えてやればいい。それが俺たちの役目だ。」
悪魔とは天使を支える存在ということ
・メイは悪魔から天使になろうとするオディールとして
メイ
「オデットを憎むことでしか愛を表現できないオディール。
ならオデットを滅ぼしたら愛を表現することができなくなるわけよね。
空がステージを降りたせいで気合いが入らなくなった私みたい…
オディールは私…オディールにとっての王子とは私にとってのステージ
オデットに勝とうとする限り王子の愛は得られないオディール…
オディールとオデットの違い…」
ミア
「それはですね、オディールは自分の愛が最も大切なのに対し、
オデットは自分自身よりも王子を大切に思ってるってとこです」
メイ
「自分自身よりステージを大切に思っている空。空に勝とうとする限り私は勝てない」
メイが天使の技習得に苦戦する空を見て
メイ
「自分よりもステージか…もしかして!空あんた…」
ここでメイは空が幻の大技を成功させたときを思い浮かべたのであろうと予想される
そのとき空にとっての王子はレイラさんであり自身よりもレイラさんのことを考えていた
そしてレイラさんの力を借りて導いてもらっていたのだと気が付いたと考えられる
ロゼッタの元へいき共演の提案を持ちかけるメイ
メイ
「あたしクライマックスの技をね、二人技にしようと思うのよ。
何ぼーっとしてるのよ!分かったら練習練習!」
ロゼッタ
「あーちょっと、私出ないっていってるでしょ?」
メイ
「あんたほんとにそれでいいの?空の覚悟は半端ないわ。
例えこの講演を最後に二度とステージに上がれないようなことになったとしてもやり抜くでしょうね。
あたしがカレイドステージに入った時にはもうレイラさんは居なかった…どんなに悔しかったか。
私が今考えている技は1人じゃできない!だからあんたに声掛けてんのよ!
あんたが断れば別の人を探すけど…どうする?」
ロゼッタが承諾し練習に入る
メイ
「あんたの役はオディールを憎しみの迷いの道から導き出す妖精なのよ。
私が表現しなくちゃならないのわ憎しみじゃない…
自分の憎しみに勝とうとするオディール…強い力で導く、誰かの力を借りてでもね…」
ここでメイが思い出したのはレイラさんという王子への愛を
空に勝とうとすることでしか表現できない自分であったと思われる
そんな自分にも導いてもらう力が必要だと考えた
そこで自分の境遇と同じ道を辿るかもしれないロゼッタを共演役に選び
ロゼッタのことを想うと共に力を借りて導いてもらおうと考えたのではないだろうか?
空
「幻の大技の時も苦しくて苦しくて逃げ出したくなった…
あのとき私が頑張れたのはレイラさんが引っ張ってくれたおかげ!
だけどレイラさんは自分だけの力で頑張り抜いたんだ!誰の力も借りずに!」
ここで初めて空が天使の技を成功させる、つまり自立できた(本物の天使になれた)ことを意味するのだと思う
・レイラさんは天使と悪魔を両方宿す中立のものとして
↓更新
カレイドスター Legend of phoenix 〜レイラ・ハミルトン物語〜 OVA ネタバレ
{netabare}
ここでは新たに "誰かを頼ること" の二面性について描かれていました
【 悪魔 ← 甘え、弱い = 頼る = 信頼、助け合い → 天使 】
このOVAを見てちょっと勘違いしていたことに気づきました
レイラは天使と悪魔を両方宿す中立な者として描きたかったのでは無くて悪魔を一切受け付けようとせず天使であろうとするレイラが悪魔を認めていくというメイとは反対方向の者を描こうとしていたんですね
{/netabare}
空が自分を追い抜くことを望む天使の心と
空を討ち負かし勝ちたいと望む悪魔の心を持ち空と争う
しかしこれらの悪魔は最終的に空という天使によって天使の心を呼び覚まさせられるのだ
そして争うこととは悪い面と良い面の二つの顔がある
【 悪魔 ← 蹴落とす、討ち負かす = 争う = 高みを目指す、守る → 天使 】
争いを象徴するものと言えば戦争だ
だから上記した空の争いのないステージへの最終的な想いや願いは
"戦争無くして平和は無いのかもしれない
でも現実では有り得ない幻のようなことだとしても
せめて夢の中だけではと信じ続ければ
そんな世界が訪れるのかもしれない"
ってことを言いたいのかなぁと思いました
{/netabare}