うたプリが覇権 さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
タイトルなし
はじめに
有名なアニメ版オリジナルの科白「それはね、お風呂で寝る人なんだよ」について
これに関して小説版の巻末で宮台が言及していて、「小説版の武藤里伽子なら絶対言わないセリフ。かつ好意のようなものが感じとれてしまうので僕は原作の里伽子ほうが好きです」
この感想に僕は激しく同意する
武藤里伽子は拓に好意を持っていない
それがこの物語のペーソスであり、全編にわたってノスタルジーを感じさせている大事な要素だと私は感じている
僕が一番好きなシーンで、
里伽子と一緒に東京のお父さんに会いに行くところがある
「パパと一緒に帰りたい。一緒に暮らしたい」と話す里伽子
世田谷区成城学園前。娘が借りていたお金を返し、ホテルを借りてくれる典型的富裕層なお父さん
いざ合ってみると再婚予定の相手と暮らしていて、
居場所のない里伽子が拓のホテルに泣きながら飛び込んでくる。そしてベッドの上で二人でお酒を飲む
こんなお膳立て、ないよね
でも結局は何も起こらない。拓はお風呂で寝る
"何も起こらない"
これはそういう物語なんだ。ここが好きだ
背景について
http://nipponia.blog44.fc2.com/blog-entry-218.html
確かに、今でこそ当たり前になったけれど、背景を写真から書き起こすのはこの時代はジブリくらいしかやっていなかったかも
昔の作品でも魂のこもってかかれたものは古びれない
教室で松野と夕日を眺める場面、新宿ハイアットホテル、高知城のライトアップなどは今でも心の写真立てに飾ってある
よく対比される『耳をすませば』について
押井守が言ったとされる文章にも書いてあったけど「現実的な世界観で非現実的な人間模様を描く耳すまは悪だ」
僕も同意権である
かえって『海がきこえる』はとてつもなくリアリスティックな人間描写だと僕は考える
松野豊との関係の終わりになるあのエピソードのあと、高校卒業まで話さなかったなんてのは、思春期の学校生活ではよくありがちで、「そういうもんだよね」って分かる。経験的に言って
さっきこのサイトで感想をちょっと見ていて、「ヒロインがツンデレ」とかいう記号的な理由で『涼宮ハルヒ』と対比されていて驚いたんだけれど、それは違うと思う
主人公のモノローグが多いという一点ではないか?
ちなみに拓がいつから里伽子が好きか?ってのはまだ読解できていなくて
最後、同窓会のときに「やっぱり好きなんだ」と言葉にしていたけれど
でもその前は?いつから?
「大学は東京にしようと僕が決めたのはこの時だったかもしれない。里伽子がなんとか気を持ち直そうとしているのが感じられて、ほっとしていたからだろうか」
これもよくわからない。前後つながってなくない?
いずれにせよこれから何回も見ることになる人生アニメだ
その人生の節々で読解していければいいなと思っている