どらむろ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
銀英伝作者のもう一つのスペースオペラ。タイタニア側のドラマが面白い
不朽の名作『銀河英雄伝説』の作者・田中芳樹先生原作のスペースオペラ。
NHK衛星第2で全26話放送。
人類が銀河系に広がった宇宙時代が舞台の、壮大なSFストーリー。
「タイタニア」という銀河の覇権握る支配一族と、これに反抗する勢力との抗争…なのですが、そこに様々な人物ドラマや政治的思惑等が絡んでいく。
とはいえ、そこまで複雑な話ではなく、スペースオペラとしてはとっつき易い方かも。
良くも悪くも銀河英雄伝説よりスケールは小さいので、その点も入門としてオススメ。
※原作は全5巻で完結したので、そろそろ2期…監督亡くなってるし難しいかな?
{netabare}『物語』
宇宙を舞台に繰り広げられる壮大なるスペースオペラ!
なのですが、話のスケールは意外にあまり大きく無い印象。
序盤、宇宙最強の支配者一族「タイタニア」の大軍勢vs弱小惑星国家
ここで主人公の一角、ファン・ヒューリックの奇策が炸裂!
強大なるタイタニア宇宙艦隊が歴史的大敗を喫する!(銀英伝にもあった、お約束ですな)
…本作の特徴は、単純に「強大なるタイタニア」vs「弱小だけど名将擁する反抗勢力」の抗争劇では無い点。
序盤の一戦は単なるきっかけに過ぎず、ここから「タイタニアという巨大勢力が人類の歴史に及ぼす影響、そしてこれからの激動の時代」がどうなっていくのか!?
を、ヒューリック達反抗側だけでなく、ジュスラン公爵らタイタニア側の双方の視点から、眺めていく感じ。
…本作はタイタニア視点の方が面白いです。
正直、ヒューリック視点の話がイマイチ地味なのが難かも。
スペースオペラの華である宇宙艦隊戦に関しては、戦術面では些か地味な印象。
ヒューリックの策も(凄い!)と驚くよりは小細工上等な面があり、戦闘面でのカタルシス的にはイマイチかも。
だいたい、大規模な艦隊戦やる機会自体が殆ど無いのでは、稀代の名将も宝の持ち腐れ…
それでも要所で大規模艦隊戦あるのですが、殆どはタイアニア軍の、割と王道的な戦術多い為か、戦記的な面白味は正直やや乏しいです。
タイタニア側の二人の将(知将アリアバート卿、猛将ザーリッシュ卿)共に強くて有能なのは良い感じ。
…しかし、本命であろうヒューリックvsタイタニアがイマイチ燃えない。
ヒューリック、負ける時は指揮権無いし、勝つ時は小細工しまくりのゲリラ戦ですし。
アニメラスト(原作では2巻ラスト)なんて、陸で白兵戦ですもん。
艦隊決戦しろよ…。
タイタニア側の話では、内部で権力抗争やったり、小国の聡明な幼い姫様が可愛かったり、見所多数。
リディア姫とバルアミー卿の二人が微笑ましかった♪
ジュスラン卿とアリアバート卿のタイタニアへの感情の変化も見所、彼らタイタニア側の貴公子たちの視点の方が、お話としては断然面白い。
総じて
一見壮大なスペースオペラだが、序盤以外は王道艦隊戦ばっかりなので意外と規模小さい。
ヒューリックが序盤以外まともな艦隊戦出来ていない点が消化不良。
ヒューリック視点よりもタイタニア視点の方が面白い。
(でもヒューリックとリラの話は中々盛り上がった)
原作途上で終了、銀河の動乱はこれからだ!的な終わり方。
…原作はここからが更に面白いので、原作完結した事だし続編希望したいところです。
※割と酷評気味ですが…水準以上に面白かったのは確かです!
『作画』
キャラデザは美男美女揃いです。
OPだけでも壮大なスペースオペラ感が伝わってくる。
宇宙艦隊をCG多用してヌルヌル動かしてて、当時としては中々の迫力。
2008年度、今から見るとやや違和感は感じるも、十分良作画でしょう。
…近年のシドニアの騎士等を観ると、数年でCG作画かいかに進歩を遂げているかが実感出来ます。
『声優』
ファン・ヒューリックの小西克幸さん、ジュスラン・タイタニアの岸尾だいすけさん等、声優陣は優秀。
リディア姫の名塚香織さんも良かったです。バルアミーの保志総一朗さん、未熟な若者の好演が流石。
『音楽』
OP「あの宇宙(そら)を、征け」がタイタニアの威光が凄い良曲。
ED「LOST IN SPACE」は一転してヒューリックの自由奔放な感じ。
流石はスペースオペラらしく、楽曲もかなり良いです。
『キャラ』
ファン・ヒューリックは銀英伝のヤン・ウェンリーに相当するのですが、ヤンに比べると良くも悪くも普通の凡人な印象。
戦術は天才的…なのだが、序盤以外はまともな艦隊戦やらせてもらえず、イマイチぱっとしない主人公。
…続編あったとしても、当面はアリアバートの方が目立つんだよなぁ。
ヒューリック一味は中々のクセ物揃いで面白かった。
本作はタイタニア側の人物の方が面白味がある。
タイタニアのあり方に疑問を感じていくジュスランや、敗北を糧に名将に育っていくアリアバート、脳筋に見えて意外と苦労人なザーリッシュ、若さと野心を持てあますイドリス等々。
小国の10歳のお姫様リディア姫がかなり可愛いです。
超聡明なる姫様だが年相応の無邪気さも。バルアミーとの関係がほほえまー♪
総じて壮大なるスペースオペラに相応しいキャラクター層がありますが、ヒューリックの地味さがやや足を引っ張ってる印象です。
まあ、悪い主人公じゃないんですけどね。単に機会に恵まれないと言いますか。
『追記』
ちなみに「アルスラーン戦記」も田中芳樹先生原作ですね。
アルスラーン戦記アニメ化は大変喜ばしいです。
…タイタニア続編もアニメ化してくれないかなー。{/netabare}