aaa6841 さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
新しいヒロイン像
重度のオタクら数名に目をつけられ、その思いつきに巻き込まれる女子高校生。
そんな日々の煩わしさをぼやきながら、やる気も元気も主体性もないのに、他人から頼まれごとをされると何でも聞き入れてしまう、近頃の主人公のようなヒロイン。
主人公とデートをすれば膝しか映らず、顔が映ったかと思いきやピントが合っておらず、まともに映った次の瞬間にはフレームアウトする。
そんなウォーリーをさがせ並に背景に紛れている彼女と、何故だか運命的な出会いを果たした主人公が、彼女を立派なギャルゲーのメインヒロインにしてやろうと決意するところから物語が始まる。
この主人公というのが実に行動力のあるクズなのだが、女たらし能力一本で有能クリエイター(女)たちを次々とメンバーに引き込み、絶え間なく仕事を押し付けていく。
そうして集められた精鋭オタク集団の中に一人、メインヒロインとなるべく招集された一般人。
しかしこれが、決して一般人とは言い切れない異才と異物感を静かに放っていたのである。
他の女メンバー、もといハーレムエロ要員たちは、皆それぞれ派手な容姿と言動からキャラクターが仕上がっているのだが、それに比べると一見地味で静かで冴えない彼女。
その地味さ加減から、「何でお前そこそこかわいいんだよ」と本気で苦情を言われたりする可哀想なヒロイン。
しかし、それは彼女の外面の話であって、一歩彼女に踏み込めば途端にご機嫌なローテンションで場を整えてくれる。
主人公の無理難題やセクハラ行為を軽く受け流すどころか返しの一言で言いくるめ、クール系先輩からの口撃には怯む間もなく皮肉を返し、後輩バカ中学生がボケようものなら、すかさずツッコミを入れた上でそのネタに乗っかろうとする。
全て一定のローテンションで、同じ口調で、同じ顔で。
そして、デレない。
必要以上に顔を赤らめたりしない。
けれど、とても小さくて、誰よりも冴え渡った感情表現をしてみせる。
かと思えば、出会ってまもない男の家で夜を明かし、朝には男の出勤を見送る。
決して自分はそのタイミングで帰宅することはなく、その後も当然のように男の家に居座る。
これが嫁の風格なのか。
かくして、真の姿を現した彼女は、目覚ましい存在感を放つヒロインとなった。
それはもう、じんわり後光が見えるレベル。出てくる度にありがたや~と拝みたくなる。
量産型テンプレ女たちとは一線を画した様相で頭角を現した彼女の姿はまさに、砂利に紛れたダイヤの原石。
いや、回転寿司で流れている大学いもみたいな存在。
誰にも触れられず、素朴に、そして静かに輝いていた、みたいな。
別に油と蜂蜜のせいでテカテカしている芋の話ではなく、彼女の魅力の話である。
見れば見るほど感慨深く、思えば思うほど愛くるしいメインヒロイン。
そんな彼女を拝めるアニメです。