STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ギャグにデコレートされているが
原作は未読。
ギャグものをベースに農林高校の生活を描いた作品で、原作はもっと農業問題を扱っていた
らしいが、アニメ化にあたってギャグ寄りにしたのかな。
どちらに比重を置いた方が好きかは人それぞれだろうけど、個人的にはもっとシリアス寄りに
なっても良かったかなと思う。
農林高校の日々はギャグ要素のデコレーションが激しいものの、その独特の生活振りを窺い
知ることができて、結構興味深いものがあった。
ここでは都会からやってきた元アイドルの木下 林檎というキャラが一種の視聴者視点に
なっていて、いい役割を果たしていたように思える。
テレビ放映時には同時期に同じく農業高校を舞台にした「銀の匙 Silver Spoon」が放映
されていたが、同じ農業でも本作は米や野菜作りが主体で、あちらは酪農メインとうまいこと
棲み分けができていたみたい。
都会から来た林檎の目には当初、農業というものを自然に親しむ一種の癒し的なものとして
捉えていたようだったが、その実態は風雨、疫病、獣害など、むしろ自然に抗うといったものが
多く、畑 耕作が言ったように自然を克服しての農業という部分がよく体言されていたように
思える。
その他にも現代の農業の抱える問題が多く掲示されていたが、残念ながら効果的な解決方法は
描かれない。
まあ解決方法がないから現実の問題点となっているわけだが、そういう点ではSFや
ファンタジー作品にあるようなカタルシスは得られにくいのは致し方ないところ。
キャラ達のドラマ部分は、都会の生活に疲れた林檎が次第に自分らしさを取り戻していく
過程と、自分にとっての農業というものの位置付けを判りかねていた耕作が自分が進むべき
道としての農業を見出していく過程を主軸に描かれていくが、それぞれが互いの悩みの解決
すべき存在であることが面白い。
もっともちょっとシリアス寄りのいい部分も最終的にはギャグとして落として終わることが
多く、この辺は作品自体の照れ隠しのように見えたりして。
一方のギャグの方はテンポが早い印象で、こういうスパスパ切れるような演出のギャグは結構
好み。かなりギャグ色の強い回はもはや農林高校である必要性がないようだったけど。
パロディも多めで、映像がなくセリフだけのパロディもかなり多いので油断していると
気付かないことも。
個人的にはストーリー自体で笑いを呼ぶコメディとしての作りが結構良くできていた感が
強く、パロディ主体の小ネタよりそちらの方が面白かったかな。