101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
【鑑賞日記13完】私にサントラを予約させた最初のアニメ。
三話までニコニコ動画視聴組→四話よりBS11録画視聴組。
→十一話よりBS11リアルタイム視聴組
星☆は暫定変動値。
原作小説は未読。
実は私、小学生の時、マーチングバンドでトランペットを吹いていました。
ところが当時、私は小児喘息を患い、肺活量が健常者の3分の1しかなく、
リズム感以前のスタミナの部分で適応しきれず、
小学校卒業をもって金管とはお別れに…(泣)
そういう意味で高校の吹奏楽部を描く本作は
自分が健康ならば進んでいたかもしれない道。
何か青春のifを求める過剰な期待と主観に基づいた、
偏った鑑賞記録になりますがご了承下さいw
制作は京アニ、脚本は花田十輝氏が担当。
脚本に荒れ球の懸念がありますが(苦笑)
原作小説というリードがあれば暴投はないでしょうし、
まぁ、何とかなるでしょうw
各話感想{netabare}
一話感想
{netabare} 主人公が桜の花びらを吹き上げるシーンが印象的。
金管やってた頃は、継続して音を出し続けるために、
ティッシュを息で吹き上げ続けるトレーニングをよくやったっけ…。
肺活量不足だった私は全然上がらなかったけどw
そういう観点から見て、
主人公は決して楽しくやりたいだけの流されキャラでは終わらない。
……奴はできる!(笑){/netabare}
二話感想
{netabare} いきなり全国を目標にするか否かを部員の多数決で決める流れをもたらした顧問の搦め手。
コメントでもゲスい、鬼畜、不穏な空気との意見が多く見られました。
もっとも私は彼は策士だと感心しましたが…。
ガチで行くか、楽しく行くか…?
部活やクラブ活動の最大の対立点であり火種。
それを見越した上で、早期に対処したこの一手は、
プロ野球で例えると正力松太郎賞物の好采配だったと私は思います。
…奴はできる!(笑){/netabare}
三話感想
{netabare}今回は腹式呼吸が私の記憶のトリガーにw
腹式呼吸は金管楽器の演奏を安定させるだけでなく、
喘息患者が発作時に呼吸を確保する上でも重要。
自分は喘息患者の癖に金管バンドに出張っていたのではなく、
自分なりに病気と向き合って、もがいていたのかもしれない…。
と黒歴史が美化されてしみじみした気分に(笑)
そうこうしている内にメトロノームがリズムを刻み、
楽器にオイルが差されテンションアップ(笑)
そうそうw金管楽器はきちんとオイルなんかで手入れしないと、
瞬く間にピストンが固まり、マウスピースも着脱困難になるんですよw
私は楽器の手入れもヘタクソだったなぁw
あるあるが重ねられ、私もさらに上機嫌になり、
このまま一気にフォルテシモか!?
と思いきやオイルでは円滑にはできない人間関係の暗雲が立ち込めて来て…。
そして、次の曲が始まる……のか?{/netabare}{/netabare}
※私の方針転換についてw{netabare}
ここまで観て来て、思っていたよりもずっと、
リアルに真面目に青春を描いているなと好感しました。
私がわざわざニコニコ動画でまったり視聴を選択したのは、
きっと音楽と京アニ≒『けいおん!』≒ゆるふわ、萌えを無意識に期待して、
萌え殺されたコメントの悲鳴を眺めたり、
私も断末魔を上げたりしたいという希望があったからだと思われます。
が、これほどガチで青春を投げ込まれると方針も変わってきます。
『けいおん!』みたいにゆるふわが続く中に感動があるというより、
ガチでやり過ぎて引かれないように、潤滑油としてギャグもある感じ。
その部分についてだけ考えると『けいおん!』とは真逆の青春アニメとすら言えるかもしれません。
これはコメント眺めながら見るアニメじゃないと思えてきました。
そっちがガチで来るなら、こっちもガチでいくまで!
…と、いうわけで尊氏は次回からニコニコ動画視聴組からBS11録画視聴組に寝返りますw {/netabare}
各話感想~続き{netabare}
四話感想
{netabare}前回突き放したかに見えた顧問が、強力なテコ入れを開始。
硬軟織り交ぜて、吹部の姿勢を正していく過程は、楽器の調律を思わせます。
ランニングした直後に楽器を吹くって超スパルタです。しんどいですw
ティッシュ10分間吹き上げ続けるなんて私には絶対無理ですw
吹奏楽部は文化部ではなく運動部である事を実感できます(笑)
見ていたら、排水口からごっそりサビ、カビ、汚れが除去される、
どっかの洗剤のCM映像がフラッシュバックしてきましたw
こうしてまともになった合奏を聴いて少し希望が湧いてきました。
次の曲くらいは多分始まると思います♪{/netabare}
五話感想
{netabare}各校がマーチングを披露し合う〝サンフェス"。
〝水色の悪魔"だのイエローマジックオーケストラだの…。
吹部の戦いも運動部同様、宇宙世紀じみたカラフルな個性のぶつけ合いだと認識w
私も小学校の頃、マーチングやフォーメーションらしきこともやりました。
謎ステップなどの捻りもない、ただ道路を練り歩くだけの行進でしたが、
楽器の重さ以上に、下が見えない状況でリズムを合わせて、
歩くのは相当難易度が高いです。
体力的にしんどいのはチューバ辺りでしょうがw
最高難度かつ最重要なのは副部長が務めた先頭のドラムメジャー。
パレードの華になるだけでなく、彼女の動きが、指揮の役割も果たすわけで、
極めて高いリズム感と運動神経が求められます。
私の所属していた金管バンドでも先頭は、
最も身体能力の高い女の子が推挙されていました。
その難役を苦しむ様子も見せずこなしてしまう副部長…。
やはり彼女はただのメガネではない。
…奴はできる(笑){/netabare}
六話感想
{netabare}〝チュパカブラ"ことチューバの地味すぎる立ち位置。
演奏が形になっているのかつかめない初心者の憂鬱。
合奏するまで成果が見えにくい金管の苦しみを上手く描いた良回でした。
私はトランペットでしたが、ヘタクソだったので、
個人練習、パート練習で、いつも主旋律とはかけ離れて、
いつ音楽になるのか分からない低音パートを吹き続けていたので(苦笑)
気持ちがほんの少しだけ分かりますw
合奏できないって五里霧中で本当に辛いです。
これを踏まえて三話を振り返ると、
壊滅的な合奏に先走った部員たちの気持ちも少しは理解できるのではないでしょうか?
もっとも今回もオーディションを仕掛けてきた、
鬼畜眼鏡には情状を酌量してくれる余地はないわけですがw
{/netabare}
七話感想
{netabare}ついに最初の脱落者が…。
やはり一年前の亀裂は相当深いらしい。
今後も要所、要所で古傷として疼いて来そう。
それにしても本作はズレてる演奏を再現するのが上手い。
壊滅的な合奏だけじゃなく、微妙に噛み合わない合奏もあり、
練習風景に説得力があります。
こりゃ、完成した合奏が大会で披露されたら、
感極まっちゃうかも。
今のうちに涙腺を乾かして、その時に備えよう♪(笑)
{/netabare}
八話感想
{netabare}主人公と幼なじみとの関係を質す友人の一言で
三角関係の予感が漂う中、私の目を引いたのは足。
このアニメ、足の心情表現がよくできてるなと感じました。
足の組み方、シューズの角度、サンダルの脱ぎ捨て方まで、
本作の足には、キャラの感情がこうなら、足はこうなるのではないか?
という仮説を作画に込める意志を感じます。
足は重要です。
この手の合奏団は演奏中、手も顔も、楽器によっては胴体も塞がります。
合奏中、確実に見え、動くのは足くらいです。
コンサート中、拍手もする際も、足をドタドタと踏み鳴らします。
これ程、繊細な足の表現ができるなら、
きっとコンクールのアニメーションは完成度の高い物になるだろう。
改めて本番への期待が高まりました♪
だから、麗奈ちゃんに性格悪いとか、変態とか、なじられても構わないw
私はこれからも本作の足に注目していきたいと思います♪
{/netabare}
九話感想
{netabare}オーディション回。
いや~緊張しましたねぇ…。
自分がオーディション受けるわけでもないのに、結構、胃がキリキリしましたw
大体、合否結果は予想が付くのに、あがってしまったのは、
オーディションの結果によるその後の展開を思ったからでしょうか…。
でも、やはり緊張感を演出する繊細な表現がそうさせているのでしょうね。
オーディションに限らず、個別面接なんかでもそうですが、
待ってる時って、前の人の時間が長かったとか短かったとか、
どーでもいいことに囚われて自らを金縛りにしちゃうんですよねw
その辺りがとても上手くアニメーションされた緊迫の回でした。{/netabare}
十話感想
{netabare}一度オーディションで決定したソロパートを
次回でもう一度、公開オーディションで選び直すことに…。
いや…大きくでましたねぇ~(汗)
香織先輩でも滝先生でも、受けて立つ麗奈でもない。
京アニが大勝負に出たと私は戦慄しました。
近年、音楽パフォーマンスで雌雄を決するシーンが、アニメでも数多くありました。
ただ、本当に音楽でのガチンコ対決を直接表現した作品は案外多くないと思います。
勝った方だけのパフォーマンスだけを描いて強調してみたり、
対決シーンを描くこと自体を避けてみたり…。
良く言えば、音楽の良し悪しをはっきり描くなんて野暮だろう。
とも捉えられますが、悪く言えば、
誤魔化しの効かない音楽対決を表現することから逃げているとも思えて、
その辺、もやもやしたものもありました。
対して今回の場合は本当に誤魔化しが効かない展開です。
そもそも「音楽は嘘を付けない」とまで言い切っているわけです。
さらに、ここまで上手い演奏、ヘタな演奏、もう一歩な演奏を、
包み隠さず表現してきた流れから考えて、
今回も香織と麗奈の演奏を視聴者にもしっかり聴いてもらい、
違いを知ってもらった上で、結果を告げなければ
きっと納得できないでしょう。
第一話の出来でそのまま流せば良作レベルで着地できるのに…。
自らどんどんハードルを上げて、それを飛び越えて行こうとする、
本作に賭ける京アニの執念には驚かされます。
もしかしたら麗奈だけでなく、京アニもまた本作で〝特別"になりたいと思っているのかもしれません。
{/netabare}
十一話感想
{netabare}
~十話までの麗奈と香織の演奏について。
麗奈…実に力強い演奏です。自分の意志が籠っていて伝わってくるものがあります。
一方で強さゆえ、近寄りがたい孤高さも感じます。
香織…柔らかくやさしい音色です。いい演奏だと思います。
ちなみに一緒に合奏するとしたら私は麗奈より香織ですねw
私の如き凡人でも絡みやすそうですし、
しくじっても優しくフォローしてくれそうですしw
ただし、これはソロのオーディションです。
聴衆を惹き付けるにはもう少し自己主張が必要かと思います。
この辺りの殻を香織が破れるのかが焦点。
10話で交わされた香織とあすかの謎の会話がきっかけになるのか?
再オーディションに立候補するという、らしからぬ決断で一皮剥けるのか?
そこで化ければ五分に持ち込むことも可能か?
ただ、もう一つ忘れてはならい点があります。
それは「愛」です。
久美子の演奏に〝面白味”を与え、
先輩に競り勝つことに躊躇する彼女の弱さを払拭させた麗奈との愛。
それは麗奈にとっても力になっているはず。
実は八話の例のセッション以来、十話まで視聴者は、
麗奈のソロをきちんと耳にしてません。
(十一話で徐々に漏れ聞こえてはきますが…)
覚醒し〝完全体"となった愛戦士・麗奈のパワーは
未だベールに包まれているのです。
愛ならば香織にも一方的に寄せられている愛ならありますが、
麗奈のような相思相愛には至ってはいないのです…。
以上の妄想を巡らせた上で、今回より録画視聴の方針を撤回して、
『怒り新党』の党員活動をほっぽり出してまで、
正座待機して、リアルタイム視聴し、
誤魔化しなしの二人の決着…しかと見届けました。
いや~ホント…痺れまくりました♪
{/netabare}
十二話感想
{netabare}そういえば本作の主人公は黄前久美子だった…。
周りの部員がうまくなりたいという熱病に憑かれていく中、
ここに来て久美子もついに主人公として目覚めました。
この1クールというのは久美子が主人公に
なるための物語だったのかもしれません。
序盤の一言多くて、冷めている久美子のキャラは、
モヤっとした印象を与え、
人によってはマイナスポイントになりかねませんでしたが、
今回で伏線として回収されたことで、
その根暗な過去も価値のある描写となりました。
最初から見直したらまた違った捉え方で観ることができると思います♪
一方でみんなのハートに火が付いていく中、
唯一、感情の揺らぎが見えないあすかの闇が
ますます引っかかりますがw
{/netabare}
十三話感想
{netabare}
「コンクールの舞台で演奏できる時間は“たった”12分間。
それは一瞬のようで、でも永遠のようで……。
吹奏楽部員たちはその12分のために青春のすべてをかけて練習してきた。
北宇治高校吹奏楽部の演奏が始まる」~本作HPより~
私如きが語ることはもうありません。
部員たちの心情を知った上で演奏を噛みしめることができる
特等席で合奏…そしてポニーテール祭りをしっかりと目に焼き付けましょう♪
{/netabare}
{/netabare}
総評
私にとっては最高にハマった青春アニメでした。
これがリアルな青春かどうかは私には分からない部分も多いです。
{netabare} 死んでもいいと思える位、同性を想った女の子とか、
私の周りにはいませんでしたしw{/netabare}
ですが心理描写や、演奏シーン、セリフに
青春を表現しようとの強い意志と説得力を感じ、ぐいぐい引き込まれました。
私は深夜アニメを観る時はハードルを下げて観る方。
どうせ金ないし、スタッフ少ないだろうし、カオスな展開もあるだろうしw
途中で作画崩壊と共に、ズッコケてもダメージ喰らわないように、
期待しないで観る事が多いです。
だけど、本作の場合はストーリーもクオリティもどんどん上がって行って、
私も期待していいのかも?どんどんハードルを上げて行き、
そのハードルをさらに作品が越えて行くという、稀有な体験を経験させて頂きました。
勝負所で中押し、ダメ押しができる工程管理の鬼・京アニの実力を思い知りました。
ラスト3話は眠い目をこすって、正座待機して、リアルタイム視聴しましたが、
余韻が凄くて、興奮して目が冴えてなかなか寝付けませんでしたw
作品に対して、私は悔いはありません。
ただ、最初ハードルを下げて、ニコニコ動画で眺めてしまったことについては、
非常に後悔しておりますw
もう一度記憶を消して、ハードルを思いっ切り上げて視聴したいですw
サントラについて
上手い演奏、下手な演奏、もう一歩な演奏を表現し、
音楽シーンに説得力を持たせていた本作。
その微妙な違いを確認でき余韻に浸れるかも?
とろくに情報も公開されていないのに、サントラを予約していた私w
で、公開された情報がまたハードルを越えたので書かずにはいられませんw
サントラには {netabare} 劇中の吹奏楽曲のフルバージョンや、
「海兵隊」の指導前、指導後の両ver、麗奈と香織のソロ対決も収録。
さらには驚異の大型新人!?
ルビー川島&プラチナダイヤモンド川島の「増殖したチューバ」まで
劇伴を余すことなく網羅。{/netabare}
それだけでなく、サントラにはifの要素が詰まっているのが熱いです。
劇中では{netabare} 吉宗公落馬必至のクオリティのまま、
新勧の闇に葬り去られた「暴れん坊将軍のテーマ」の指導後verも収録。
さらに一番熱いのは、本編では実現しなかった、
香織先輩ソロverの「三日月の舞」も収録。
これはもう香織先輩ラブの優子先輩は10枚は買わなくてはならないでしょうw{/netabare}
私も精一杯ハードルを上げてサントラ入手の日を心待ちにしようとおもいます♪